
NSK深溝玉軸受は建築現場で最も使用頻度の高い軸受の一つです11。内径10~17mmの小径シリーズから大径まで、幅広いサイズラインナップが用意されています。
主要寸法構成
深溝玉軸受の寸法表では、開放形、シールド形(Z・ZZ形)、シール形(DU形、V・VV形、DDU形)の各形式別に許容回転数が明記されています。グリース潤滑と油潤滑での回転数の違いも詳細に記載されており、建築機械の運転条件に応じた適切な選定が可能です。
基本定格荷重については、動定格荷重(Cr)と静定格荷重(C0r)が併記されており、軸受寿命の計算に必要なデータが一目で確認できます。特に建築現場での重荷重用途では、これらの数値が軸受選定の重要な判断材料となります。
呼び番号の構成は、形式記号、寸法系列記号、内径番号から成り立っており、ISO規格に準拠した体系的な分類がなされています。内径番号は表形式で整理されており、0.6mm(実際は1mm)から17mmまでの範囲で段階的に設定されています。
寸法系列の特徴
直径系列記号は4、3、2、1、0、9、8、7の順で、同じ内径に対する外径の割合が小さくなる構造です。これにより、設置スペースの制約に応じた最適な軸受選定が可能となっています。
ミニアチュアベアリングは建築分野での自動化機器や精密機械において重要な役割を果たしています。内径1mmから10mmまでの極小サイズから、外径30mmクラスまでの幅広いサイズ展開が特徴です。
NSK・NTN・NMB各社対照表
ミニアチュアベアリングでは、メーカー間の型番対照が重要な情報となります。
内径(mm) | 外径(mm) | 幅(mm) | NSK | NTN | NMB |
---|---|---|---|---|---|
1 | 3 | 1.0 | 681 | L-310 | 681 |
1.5 | 4 | 1.2 | 681X | L-415 | 68/1.5 |
2 | 5 | 1.5 | 682 | L-520 | 682 |
3 | 7 | 2 | 683 | L-730 | 683 |
特にシールド形(ZZ)とシール形の区別が重要で、防塵性能が要求される建築現場では適切な選定が必要です。開放形は高速回転用途、シールド形は中程度の防塵性、シール形は高い防塵・防水性を提供します。
ミニアチュアベアリングの寸法表には、各軸受の質量も記載されており、軽量化が求められる用途での重量計算に活用できます。また、取付関係寸法として、軸の肩径(da)とハウジング座径(Da)も明記されており、設計時の干渉チェックに必要な情報が網羅されています。
許容回転数については、軸受サイズが小さくなるほど高回転対応が可能となる傾向があり、内径1mmクラスでは10万回転以上の高速回転にも対応可能です。
ニードルベアリングは建築機械の油圧シリンダーやクレーンの旋回部など、狭いスペースで高荷重を支持する用途に最適な軸受です。NSKのニードルベアリングカタログでは、多様な形式が体系的に分類されています。
主要形式分類
シェル形ニードルベアリングでは、外径許容差が厳格に管理されており、ハウジング穴とのはめあい精度が重要な要素となります。特に建築機械での使用では、振動や衝撃荷重に対する耐久性が要求されるため、適切なはめあい選定が不可欠です。
ニードルローラの直径と長さの比率(L/D比)は、軸受の負荷容量と寿命に大きく影響します。一般的にL/D比が大きいほど高い負荷容量を得られますが、組立性や偏荷重に対する感度も高くなります。
基本定格荷重の特徴
ニードルベアリングの基本動定格荷重は、同サイズの玉軸受と比較して2~3倍の値を示します。これは、接触面積が大きいニードルローラの特性によるもので、重荷重用途での優位性を表しています。
カムフォロア形やローラフォロア形では、外輪に直接荷重が作用する構造となっており、カム機構や直動案内での使用に特化した設計となっています。これらの軸受では、接触応力の計算が重要で、カム形状との適合性を十分に検討する必要があります。
精密軸受は建築分野でのCNC工作機械やロボット関節部など、高精度が要求される用途で使用されます。NSKの精密軸受は、JIS 5級以上の高精度等級に対応しており、輸出時には特別な手続きが必要な場合があります。
アンギュラ玉軸受の特徴
精密軸受の中でもアンギュラ玉軸受は、ラジアル荷重とアキシアル荷重を同時に支持できる特性があります。接触角は15°、25°、40°の3種類が標準で、用途に応じた最適な選定が可能です。
ボールねじサポート用軸受では、NSKHPSシリーズとNSKTACシリーズが用意されており、それぞれ異なる特性を持ちます。NSKHPSは高剛性用途向け、NSKTACは高負荷駆動用途向けの設計となっています。
組み合わせ軸受の表記法
精密軸受では、複数の軸受を組み合わせて使用する場合の表記法が重要です。
これらの組み合わせ方法により、軸受システム全体の剛性や荷重分散特性が大きく変わります。建築機械での使用では、運転条件に応じた最適な組み合わせ選定が性能向上の鍵となります。
円すいころ軸受では、接触角による分類が重要で、カップアングル(接触角×2)によって荷重特性が決まります。スラスト軸受との使い分けも重要な選定要素です。
NSKベアリングの呼び番号体系は、国際規格(ISO)に準拠した合理的な分類システムです。建築現場での軸受管理において、正確な呼び番号の理解は在庫管理や互換性確認に不可欠です。
呼び番号の基本構成
呼び番号は左から順に以下の要素で構成されています。
形式記号 + 寸法系列記号 + 内径番号 + 後置記号
形式記号では軸受の基本形式を表し、数字なしが深溝玉軸受、7000番台がアンギュラ玉軸受というように体系化されています。寸法系列記号は、直径系列記号と幅系列記号の組み合わせで、同一内径における外径と幅の組み合わせを表現します。
内径番号の詳細体系
内径番号は軸受の内径寸法を表す重要な要素です。
特殊な内径については、分数表記(例:1X=1.5mm、2X=2.5mm)も使用されており、ミニアチュア軸受での精密な寸法指定に対応しています。
後置記号による仕様区分
後置記号は軸受の特殊仕様を表す重要な情報です。
建築現場での使用では、防塵・防水性能を示すシール関連の後置記号が特に重要です。屋外使用や粉塵環境では、適切なシール仕様の選定が軸受寿命に直接影響します。
インチシリーズとの互換性
建築機械では、アメリカ製機械との互換性から、インチシリーズの円すいころ軸受も使用されます。ABMAスタンダードに基づく呼び番号体系も理解しておく必要があります。
荷重限度符号(EL、LL、L、LM、M、HM、H、HH、EH、J、T)により、軸受の負荷容量グレードが表現されており、建築機械の運転条件に応じた適切な選定指標となります。
NSKの技術サポートでは、具体的な使用条件に基づいた軸受選定支援も提供されており、複雑な呼び番号体系を理解することで、より効率的な技術相談が可能になります。