
日本の耐震基準は、1950年の建築基準法制定から始まりましたが、1978年の宮城県沖地震を受けて1981年に大幅改正され、「旧耐震基準」と「新耐震基準」に分かれます。旧耐震基準は震度5強程度の地震に耐えることを想定していましたが、新耐震基準では震度6強~7程度の大地震でも倒壊しないことが求められるようになりました。
東日本大震災(2011年)は、マグニチュード9.0という未曾有の規模で、宮城県栗原市では最大震度7を観測。新耐震基準で建てられた建物の大破はほぼゼロであり、基準の有効性が実証されました[1][2][5]。
新耐震基準(1981年6月1日以降の建築確認申請に適用)は、「震度6強~7の地震でも倒壊しない」ことを明確に規定しています。旧耐震基準は震度5強程度での倒壊防止が主眼でした。
新基準では、建物の高さや構造バランス、耐力壁の配置、建材の強度などが厳格に定められ、2000年には木造住宅の接合部や壁配置の規定も強化されました。
竣工日だけでなく「建築確認日」で基準の適用が決まるため、購入やリフォーム時は注意が必要です[2][5][6]。
東日本大震災では、新耐震基準の建物の大破はほぼ皆無で、旧耐震基準の建物に被害が集中しました。特に木造住宅は築21年以上(多くが旧耐震基準)のうち9割が大地震で倒壊または倒壊の危険があると判定されています[9]。
一方、免震・制震構造を持つ建物は被害が少なく、耐震性能の高さが評価されました。震災後は、耐震性能を重視する意識が急速に高まり、建物選びや不動産価値にも大きな影響を与えています[4][8]。
旧耐震基準の建物は、現行基準に比べて倒壊リスクが高く、耐震診断・耐震改修が推奨されています。診断は現地調査や設計図の確認、構造部材の検査など多段階で行われ、自治体による補助金や優遇制度も充実しています[2][9]。
住宅ローン控除や税制優遇の対象となる「耐震基準適合証明書」の取得も可能。耐震補強には、接合部の金物設置、耐力壁の追加、屋根の軽量化などがあり、費用や工事内容に応じて助成制度の利用が可能です。
東日本大震災以降、住宅メーカーや大学では実物大の建物を使った耐震実験が活発化。特に「キラーパルス」と呼ばれる周期1秒前後の揺れが低層住宅に大きなダメージを与えることが判明し、設計段階での対策が進みました[7]。
また、震災データの蓄積により、地盤特性や建物の形状、施工品質の重要性が再認識されています。今後は、設計・施工・維持管理の全段階で第三者による検査やインスペクションの導入が不可欠です。
さらに、建物の耐震性能が不動産価値や家賃にも影響することが学術的にも示されており、耐震化投資の経済的メリットも注目されています[4]。
【参考リンク】
新耐震基準の詳細や耐震診断・補助金制度について詳しく解説
TOKYO @ 14区「地震の多い日本で重要な耐震基準について」
実物大耐震実験の内容や最新の耐震技術の動向
一条工務店「実大耐震実験」
旧耐震・新耐震基準の違いと被害実態の比較
プロパティエージェント「耐震基準とは?『旧耐震基準』『新耐震基準』なにが違う?」