
クリンプ金網の規格は、主に線径(φ)、目開き(mm)、材質の3要素で構成されています。規格表を読む際の基本として、線径は金網を構成する線の太さを示し、目開きは線と線の内側の寸法を表します。
クリンプ(Crimp)とは「波を付ける」という意味で、縦線と横線に波状の屈曲を施して組み合わせることで、網目が正確に保持される構造が特徴です。この構造により、平織金網と比較してより太い線径を使用できるため、強度面で優れた性能を発揮します。
標準的な規格範囲は以下のようになっています。
この組み合わせにより、用途に応じた最適な規格選択が可能になります。
ステンレスクリンプ金網は、耐食性と強度のバランスに優れた規格として広く採用されています。JIS記号では「CR-S(ステンレス鋼線クリンプ金網)」として分類され、建築現場での長期使用に適した性能を持ちます。
主要規格の開口率と重量の関係を見ると。
線径/目開き | 1.6φ | 2.0φ | 2.6φ | 3.0φ |
---|---|---|---|---|
10mm目 | 74.3%/2.9kg | 69.4%/4.5kg | 63.0%/7.9kg | - |
15mm目 | 81.6%/2.1kg | 77.8%/3.0kg | 72.6%/5.6kg | 69.4%/7.3kg |
20mm目 | 82.6%/2.4kg | 79.0%/3.8kg | 78.3%/4.1kg | 74.3%/6.2kg |
特筆すべき点として、線径3.2mm以上では50mm目まで対応可能で、大きな開口部が必要な用途にも対応できます。また、1mesh(25.4mm)規格も用意されており、国際基準との互換性も確保されています。
耐候性については、屋外使用でも錆びにくい特性があり、メンテナンス頻度の削減に大きく貢献します。
亜鉛メッキ鉄線クリンプ金網は、コストパフォーマンスに優れた規格として建築業界で重宝されています。JIS記号「CR-G(亜鉛メッキ鉄線クリンプ金網)」として規定され、一般的な建築用途では十分な性能を発揮します。
亜鉛メッキ材の主要規格。
線径(mm) | 推奨目開き範囲 | 開口率範囲 | 主用途 |
---|---|---|---|
1.6 | 10-20mm | 74.3-85.7% | 細かいふるい分け |
2.0 | 10-25mm | 69.4-85.7% | 一般的な濾過 |
2.6 | 15-30mm | 72.6-84.7% | 中目の間仕切り |
3.2 | 20-50mm | 74.3-88.3% | 粗い濾過・保安用 |
メッキ量の指定も可能で、使用環境に応じて防錆性能を調整できる点が特徴的です。屋内使用や短期使用では標準メッキで十分ですが、湿度の高い環境では厚メッキ仕様を選択することで、ステンレスに近い耐久性を実現できます。
経済性の観点から、同じ規格でステンレスの約1/3のコストで調達可能であり、大量使用する場合の予算削減効果は大きいものがあります。
開口率は、クリンプ金網の性能を決定する重要な指標で、通過物質の大きさと流量に直接関係します。規格選定時には、この開口率を正確に把握することが失敗を防ぐ鍵となります。
開口率の計算方法。
開口率(%)= (目開き)² ÷ (目開き + 線径)² × 100
実際の規格例で見ると。
同じ目開きでも線径が太くなるほど開口率は低下し、強度と通過性のトレードオフが生じます。
用途別推奨開口率。
建築現場では、施工後の変更が困難なため、事前の綿密な計算と用途の明確化が重要です。
標準規格では対応できない特殊用途において、クリンプ金網の特注製作は重要な選択肢となります。建築業界では、設計要求に完全に適合した規格の実現が品質向上に直結するケースが多く見られます。
特注対応の主要パターン。
興味深い事例として、食品工場の乾燥ラックでは、線径1.8mm×目開き12mmという特注規格が採用されています。これは標準の1.6mmでは強度不足、2.0mmでは重量過多という課題を解決した例で、開口率75.2%を実現しています。
また、建築現場の安全ネットでは、線径4.5mm×目開き45mmという特注規格により、作業性と安全性の両立を図った事例もあります。標準規格の組み合わせでは実現できない開口率87.1%を達成し、落下物の視認性を大幅に向上させました。
特注製作では最小ロット100m²からの対応が一般的で、標準品の約1.5-2倍のコストで製作可能です。設計段階での検討により、現場のニーズに最適化した規格選択が実現できます。