内窓有効寸法一覧とメーカー別取付け基準

内窓有効寸法一覧

内窓有効寸法とは何か基本知識

内窓の有効寸法とは、既存の窓枠内に内窓を取り付けるために必要な奥行き寸法のことです。この寸法は単純な窓枠の奥行きではなく、室内側に最も突出している部分から窓枠先端までの実測値を指します。

 

有効寸法の測定では、以下の要素を考慮する必要があります。

• 障害物の確認：クレセントハンドルやサッシアングルなど室内側に突出する部材
• 測定基準点：最も室内側に出ている部分から窓枠先端まで
• 窓タイプ別要求寸法：引き違い窓、開き窓、FIX窓で異なる必要寸法

不動産業界では、内窓提案時にこの有効寸法を正確に把握することで、追加工事の必要性やコスト算出を事前に行えるため、顧客への適切な提案が可能になります。

 

有効寸法が不足する場合は、ふかし枠と呼ばれる延長材を使用することで対応できますが、これには追加費用が発生するため、事前の正確な測定が重要です。

 

内窓メーカー別有効寸法一覧表

主要メーカーの内窓には、それぞれ異なる有効寸法基準が設定されています。以下に詳細な一覧表を示します。
YKKAPプラマードU 有効寸法基準

窓タイプ	必要有効寸法
引き違い窓	73mm以上
開き窓	73mm以上
FIX窓	53mm以上
テラスドア	73mm以上

LIXILインプラス 有効寸法基準

窓タイプ	必要有効寸法
引き違い窓	70mm以上
引き違い窓(アジャスト上枠付)	75mm以上
開き窓	55mm以上
テラスドア	55mm以上
FIX窓	55mm以上

三協アルミプラメイクE 有効寸法基準
三協アルミの内窓プラメイクEでは、プラマードUと同様の基準が適用されることが多く、引き違い窓で73mm程度の有効寸法が必要とされています。

 

メーカーによる寸法差は最大18mmにも及ぶため、提案時には使用予定のメーカーを事前に決定し、適切な有効寸法を確認することが重要です。特にLIXILインプラスは他メーカーより寸法要求が緩く、既存窓への適用範囲が広い特徴があります。

 

内窓有効寸法の正確な測り方

内窓の有効寸法測定は、取り付け可否を判断する重要な作業です。正確な測定方法を以下に詳述します。
測定に必要な道具 📐

• 金属製メジャー（コンベックス推奨）
• 曲尺（かねじゃく）
• 水平器
• 筆記用具・記録用紙

測定手順

1. 障害物の確認

   既存窓のクレセントハンドル、サッシアングル、ジャロジー窓のハンドルなど、室内側に突出する部材を特定します。

    

2. 測定基準点の決定

   最も室内側に突出している部分を基準点とし、そこから窓枠先端までの距離を測定します。

    

3. 複数箇所での測定

   上下窓枠（A寸法）と左右窓枠（B寸法）をそれぞれ3箇所以上測定し、最小値を採用します。

    

4. 測定値の記録

   各測定箇所の数値を記録し、寸法差が3mm以内であることを確認します。

    

注意すべき測定ポイント

• クレセントを水平位置にして測定する
• メジャーが水平・垂直になるよう注意する
• 障害物がある場合は、その部分を避けた位置から測定
• 窓枠の歪みや傾きも同時にチェック

測定精度は内窓の適合性に直結するため、不動産業者としては専門業者への測定依頼も検討すべきです。

 

内窓有効寸法不足時のふかし枠対応

有効寸法が不足する場合の対応策として、ふかし枠の使用があります。ふかし枠は窓枠の奥行きを延長するオプション部材で、各メーカーから提供されています。

 

ふかし枠の種類と寸法

• 20mm延長タイプ：軽微な寸法不足に対応
• 40mm延長タイプ：中程度の延長に使用
• 50mm延長タイプ：大幅な延長が必要な場合
• 70mm延長タイプ：最大延長対応

ふかし枠使用時のコスト影響 💰
ふかし枠の追加により、以下のコストが発生します。

• ふかし枠本体費用：窓サイズに応じて変動
• 取り付け工事費：通常の内窓工事費に追加
• 仕上げ材料費：見た目調整のための追加材料

ふかし枠以外の対応方法

1. クレセント交換

   長いクレセントを短いタイプに交換することで、有効寸法を確保する方法があります。

    

2. ハンドル変更

   ジャロジー窓などでは、回転式の小型ハンドルへの交換により干渉を軽減できます。

    

3. 造作材使用

   ふかし枠以外の造作材を使用した奥行き延長も可能ですが、専門的な施工技術が必要です。

    

不動産業者としては、ふかし枠使用時の追加コストと工期延長を顧客に事前説明することで、トラブル回避につながります。

 

内窓取付け時の注意点と障害物対策

内窓取り付けにおける技術的な注意点と、よくある障害物への対策方法を詳しく解説します。

 

寸法測定時の重要注意点 ⚠️

• 最小値採用の原則：幅・高さともに3箇所測定の最小値を発注寸法とする
• 寸法差の許容範囲：各測定箇所の差が3mm以内であることを確認
• 対角測定の実施：窓枠の歪みチェックのため対角線も測定
• たわみ確認：各辺のたわみが±1.5mm以内であることを確認

よくある障害物と対策

1. クレセントハンドル干渉
   • 短いクレセントへの交換
   • クレセント位置の調整
   • ふかし枠による回避
2. サッシアングル干渉
   • アングル形状の確認
   • 必要に応じたふかし枠使用
   • 取り付け位置の微調整
3. 窓台の段差問題
   • 窓台形状の詳細確認
   • 段差対応型枠材の使用
   • 造作による調整

取り付け精度への影響要因
窓枠の状態は建物の築年数や構造により大きく異なります。特に以下の要因が取り付け精度に影響します。

• 建物の経年変化：窓枠の歪みや変形
• 施工時の精度：元々の窓枠精度のばらつき
• 使用環境：湿度変化による木枠の変形

専門業者連携のメリット
不動産業者として、以下の場合は専門業者との連携を推奨します。

• 有効寸法が基準値ギリギリの場合
• 複雑な障害物がある場合
• 築年数が古く窓枠状態が不明な場合
• 高額物件で施工精度が重要な場合

これらの注意点を把握することで、内窓提案時の精度向上と顧客満足度の向上につながります。専門知識を活用した適切な提案により、不動産業者としての信頼性も高まります。