障子寸法一覧と設計時の重要ポイント

障子寸法一覧と設計時の重要ポイント

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障子寸法一覧と設計基準

障子寸法設計の基本要素
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基本規格寸法

3尺×6尺(900×1800mm)が標準基準

🔧
組子詳細寸法

見付7.5mm、見込み15mmが一般的

⚖️
設計時の注意点

材料規格との整合性が重要

障子寸法の基本規格と標準サイズ

障子の寸法設計において最も重要な基準となるのが、3尺×6尺(900×1800mm)の基本規格です。この寸法は日本の建築において長年にわたって標準化されており、多くの襖紙や障子紙もこの寸法を基準として製造されています。

 

基本的なサイズ分類は以下の通りです。

  • 大サイズ(基本サイズ):巾900×丈601~1850mm以内
  • 中サイズ:巾900×丈401~600mm以内
  • 小サイズ(天袋サイズ):巾900×丈400mm以内
  • 幅広サイズ:巾901~1500mm以内

特注対応として巾広品で4尺(1200mm)、丈長品で8尺(2400mm)のものも存在しますが、材料選択の範囲が狭まることに注意が必要です。設計時は市場に供給されている材料規格に合わせることが、施工をスムーズに進めるための重要なポイントとなります。

 

建具業界では、掃き出し障子(W900×H1800mm)を基準として、横方向に4等分、高さ方向に6等分して組子を配置するのが一般的な手法です。この基準寸法を理解することで、効率的な設計と施工が可能になります。

 

障子組子の見付・見込み寸法詳細

障子の美観と機能性を決定する重要な要素が組子の寸法です。組子の寸法は「見付」と「見込み」という建築用語で表現されます。

 

見付寸法の基準値

  • 一般的な組子:見付け(正面幅)7.5mm
  • 竪子(縦の部材):基本7.5mm
  • 横子(横の部材):基本7.5mm

見込み寸法の基準値

  • 一般的な組子:見込み(奥行き)15mm
  • 耐久性との関係:建具が高くなるほど見込み寸法を大きくする必要がある

組子の配置については、1面に横子を5~6本入れるのが基本とされています。格子が細かい(繁る)ほど組子は細く、少ないほど太くなる傾向があります。美濃紙1枚分(縦9寸×横1尺3寸)の縦サイズを基本に割り付けられるのが伝統的な手法です。

 

見込み寸法は建具の耐久性や耐風性に直接関係するため、設計時には建物の立地条件や使用環境を考慮した適切な寸法設定が求められます。

 

障子腰板高さの設計基準

腰板の高さ設定は、障子の機能性と美観の両面に大きく影響する重要な要素です。伝統的な基準では、腰の高さは尺二寸(36.3cm)から八寸(24.2cm)までの範囲で設定されます。

 

腰板高さの分類

  • 標準腰板:24.2cm~36.3cm
  • 腰高障子:60.6cm~90.9cm(2~3尺)
  • 水腰障子:腰板なし

書院座敷では、書院の地袋の高さと座敷の障子の腰板の高さを揃える手法が見られます。これは空間全体の統一感を創出する重要な設計手法です。

 

近年の傾向として、腰板のない水腰障子が増加していますが、これは現代の生活様式の変化と関連しています。座敷での生活が減り、立位での使用が多くなったことが背景にあります。

 

設計時には以下の要素を考慮する必要があります。

  • 使用者の視線の高さ
  • 空間の用途と格式
  • 他の建具との調和
  • メンテナンス性

障子サイズ分類と用途別選定

障子の選定は用途と設置場所に応じた適切なサイズ分類の理解が重要です。ワーロン紙の有効サイズが900mm以内という制約もあり、材料特性を考慮した設計が必要です。

 

用途別サイズ選定指針
🏠 住宅用途

  • 掃き出し窓:900×1800mm(基本サイズ)
  • 腰窓:900×600mm程度(中サイズ)
  • 天袋:900×400mm以内(小サイズ)

🏢 商業・業務用途

  • エントランス:1200mm幅以上(幅広サイズ)
  • 会議室:標準サイズの組み合わせ
  • 茶室:伝統寸法の厳格な適用

障子の種類による分類も重要な選定要素です。

  • 荒組障子:縦3本、横5本の基本構成
  • 竪繁障子:縦の組子を多く配置(7・9・11・13本)
  • 横繁障子:横子16~18本の繁い構成
  • 雪見障子:下部にガラスを組み込んだ摺上げ機能付き

ホームワーロン紙は厚みがあるため、摺り上げのある雪見障子には使用できない場合が多いことも設計時の重要な留意点です。

 

障子寸法設計時の施工上の注意点

実際の施工現場では、理論的な寸法だけでなく、施工性や将来のメンテナンス性を考慮した寸法設定が求められます。

 

材料調達との整合性
市場で入手可能な障子紙や建具材料の規格に合わせた設計が重要です。特殊寸法の採用は、材料コストの増加と納期の延長を招く可能性があります。

 

建築用語の正確な理解

  • 散り(ちり):平面と平面の間の差で、木製の場合10~15mmが基本
  • 小口(こぐち):部材の横断面の切り口
  • 見え掛かり:斜めや下から見た時の寸法

框戸との寸法関係
框戸の場合、基本となる框の見付寸法は和風で75mm、洋風で100~120mmとされています。障子設計時にはこれらとの調和も考慮が必要です。

 

施工精度の確保
組子の精密な組み込みには高度な技術が必要で、現在では伝承者が減少している状況です。設計時には施工業者の技術レベルも考慮した仕様決定が重要です。

 

メンテナンス性の考慮

  • 張替え頻度を考慮した材料選択
  • アクセスしやすい構造の採用
  • 部分的な修理が可能な設計

これらの要素を総合的に検討することで、美観と機能性を両立した障子の設計が可能になります。設計者は伝統的な寸法体系を理解しつつ、現代の施工環境や使用条件に適応した柔軟な対応が求められます。

 

建築業界における障子寸法の標準化は、日本の伝統的な建築技術の継承と現代建築への適用という二つの側面を持っています。適切な寸法設計により、機能性と美観を兼ね備えた建具の実現が可能となります。