アブソリュートインクリメンタルと指令と原点と座標

アブソリュートインクリメンタルと指令と原点と座標

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アブソリュートインクリメンタルと指令

アブソリュートインクリメンタルと指令の要点
🧭
原点と座標の違い

アブソリュートは「原点からの座標」、インクリメンタルは「今いる位置からの移動量」。どちらも正しいが、ミスの出方が変わる。

🛠️
指令ミスの直しやすさ

アブソリュートは該当座標の修正で済む場面が多い。インクリメンタルは後続の指令へ影響が連鎖しやすい。

📏
現場の運用設計

「主はアブソリュート、微調整はインクリメンタル」のように役割分担すると、読みやすさと作業性の両立がしやすい。

アブソリュートインクリメンタルの原点と座標の基本


「アブソリュートインクリメンタル」として話題になる中心は、“座標をどこ基準で扱うか”です。加工や測定、位置決めの世界では、同じ「移動」でも、基準の置き方で作業の安全性と復旧性が大きく変わります。
アブソリュート(絶対)側の考え方は、ワーク座標(プログラム原点)をゼロ点とし、移動先の座標値を直接指令するものです。モノタロウの解説では、インクリメンタルが「現在位置から移動先までの移動量」を指令するのに対し、アブソリュートは「プログラム原点をゼロ点として移動先の座標」を指令すると整理されています。


この違いは、例えるなら地図の「住所指定」と「曲がり角からの道順指定」です。モノタロウは地図の例で、道程(移動量)で教えるのがインクリメンタル、経度緯度(位置)で教えるのがアブソリュート、と説明しています。


建築の現場に置き換えると、墨出し・通り芯・基準墨・レベル基準のような「原点(基準)」をどこに置き、それを共通言語として座標化するか、という話と似ています。基準が揃っているとアブソリュートは読みやすい一方、現場の“いまの位置から少しずつ詰める”作業にはインクリメンタル的な思考が馴染むことがあります。


アブソリュートインクリメンタルの指令と修正のしやすさ

実務で効いてくるのは、「間違えたときに、どれだけ早く戻せるか」です。モノタロウの説明では、アブソリュート指令は工具位置が把握しやすく、座標値の指令ミスがあった場合も「その座標値のみ修正すればよい」ことが利点として挙げられています。さらに、ツールパス修正など設計変更が入った場合も、アブソリュートはインクリメンタルより容易になりやすい、とされています。
インクリメンタル側の落とし穴は「連鎖」です。たとえば、ある移動量を 1mm 間違えると、その後の移動も“間違った現在位置”を起点に積み上がり、見かけ上は指令通りでも、結果がズレることが起きます。これは建築でも、基準墨の読み違いが次工程の割付や孔位置に波及する状況と感覚的に近いでしょう。


一方で、インクリメンタルが悪いわけではありません。現場の“微調整”は、絶対座標で目的地を打つより、現在位置からの差分で詰めた方が分かりやすい局面があります。ポイントは「どちらか一択」ではなく、工程や責任分界に応じて使い分ける設計です。


アブソリュートインクリメンタルとエンコーダの方式

アブソリュート/インクリメンタルという言葉は、NCの指令だけでなく、回転角センサー(ロータリーエンコーダ等)の世界でも中核概念です。AKM(旭化成マイクロデバイス)の技術解説では、インクリメンタル方式は回転に応じてデジタルのパルス信号を出力し、パルス数から角度変化(移動量)を表現する、と説明されています。さらにA相/B相の位相差を使い、回転方向も判別できる構成が一般的とされています。
同じ解説で、アブソリュート方式は“現在の絶対角度”をデジタルのシリアルコードまたはアナログ電圧で出力し、インクリメンタルと異なり、絶対位置を直接表す、と整理されています。例として、スリットが複数列のコードホイールでバイナリーコードを作り、角度の絶対位置を得る説明もあります。


建築設備やFA寄りの現場では、位置決め・開度・回転角の管理が絡むと、エンコーダ選定や制御方式の判断が必要になります。ここで“アブソリュートの復帰性”や“インクリメンタルの簡素さ”という性格が、そのまま保全性や復旧手順に影響します。つまり「言葉が同じ」だけでなく、「運用上のメリット・デメリット」も似た構図で現れます。


アブソリュートインクリメンタルの現場手順とヒューマンエラー

建築従事者向けに噛み砕くと、アブソリュートインクリメンタルの差は「手順書に“住所”で書くか、“道順”で書くか」です。住所(アブソリュート)で書けば、途中の行を読み飛ばしても最終地点を復元しやすい反面、毎回の記述量は増えがちです(=手順が長くなる)。モノタロウでも、アブソリュートはNCプログラムが長くなることが欠点、と明記されています。
逆に、道順(インクリメンタル)で書くと、書く量は抑えられる場合がある一方、途中の一手を間違えると後が総崩れになりやすい。これは作業者の経験値やダブルチェック体制の有無によって、リスクの見え方が変わります。


現場運用としては、次のような設計が扱いやすいです。


  • 🧱 基準を固定できる工程(通り芯、基準墨、設計座標と整合が必要な作業):アブソリュート寄りで管理し、記録を残す。
  • 🔧 その場で合わせ込みが必要な工程(建具調整、機器据付の微調整、逃げ寸法の最終追い込み):インクリメンタル寄りの差分管理を使う。
  • 📝 変更が入りやすい工程:アブソリュートの方が差し替え・再計算の範囲が局所化しやすい(ただし前提の原点管理が必須)。

このあたりは「作業が速いか」だけではなく、「復旧に強いか」「引き継ぎが効くか」という観点で評価すると、上司チェックでも説明が通りやすくなります。


アブソリュートインクリメンタルの独自視点:疑似アブソリュートの発想

検索上位で語られがちな二択(アブソリュート vs インクリメンタル)に対して、現場で効く“第3の発想”が「疑似アブソリュート」です。AKMの解説では、インクリメンタル方式にZ相(1回転に1回のパルス)を追加して原点として扱い、原点からの回転量を積算して絶対角度を表す方式を「疑似アブソリュート方式」と呼ぶ、と説明されています。
これを建築寄りの運用に翻訳すると、「完全な絶対管理は難しいが、要所に“原点イベント”を入れて、そこからは差分で追う」という設計です。たとえば、作業開始時・階移動時・段取り替え時・測定器の設置替え時などに“基準取り直し”を必ず挟むルールを入れると、差分管理の弱点(積算ズレ)を小さくできます。


さらに重要なのは、疑似アブソリュートの考え方が「センサー」だけでなく、「手順書」「帳票」「写真管理」にも応用できる点です。要所に“基準となる証跡(写真の定点、スケール当て、基準墨の写り込み)”を置くと、差分の説明が誰にでも通りやすくなり、是正指示も出しやすくなります。


参考:インクリメンタル方式とアブソリュート方式の原理(疑似アブソリュート方式の説明を含む)
https://www.akm.com/jp/ja/products/rotation-angle-sensor/tutorial/type-mechanism-2/
参考:インクリメンタル指令とアブソリュート指令の違い、利点・欠点(修正のしやすさ、プログラムが長くなる欠点)
https://www.monotaro.com/note/readingseries/machiningcenterkiso/0301/




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