
エコジョーズは、従来型の給湯器と比較して格段に省エネ性能が高い高効率給湯器です。その最大の特徴は、従来捨てられていた排気熱を再利用する点にあります。
従来型の給湯器では、お湯を沸かす際に発生する約200℃の高温排気をそのまま外部に排出していました。これに対してエコジョーズは、この高温排気を「二次熱交換器」という部品で回収し、給水の予備加熱に利用します。この仕組みにより、給湯熱効率は従来型の約80%から約95%へと大幅に向上しています。
具体的な流れとしては以下のようになります。
この二段階の熱交換プロセスにより、少ないガス使用量で効率よくお湯を作ることができるのです。
エコジョーズの導入によって得られる省エネ効果は非常に大きなものです。具体的な数値で見ていきましょう。
まず、ガス使用量については、従来型の給湯器と比較して約13%削減することができます。これは年間のガス料金に換算すると、家庭によって差はありますが、およそ4万円前後の節約になる可能性があります。
また、環境面での貢献も見逃せません。CO2排出量についても同様に約13%の削減効果があり、年間で約260kgのCO2削減に相当します。これは杉の木約19本分のCO2吸収量に匹敵する環境負荷の軽減となります。
さらに、最新のエコジョーズモデルでは、待機時の消費電力も従来型の1/2以下に抑えられているものもあり、電気代の節約にも貢献します。
エコジョーズの導入を検討する際に気になるのが、従来型給湯器との価格差と、その投資回収期間です。
エコジョーズの本体価格は、従来型給湯器と比較して5〜10万円程度高くなります。これに工事費を含めると、総額で10〜15万円ほどの差が生じることが一般的です。この価格差が「エコジョーズはやめとけ」という意見の一因となっています。
しかし、前述したガス使用量の削減効果により、この初期投資は3〜4年程度で回収できると言われています。つまり、給湯器の使用年数が10年以上であることを考えると、長期的には十分にお得な選択と言えるでしょう。
具体的な投資回収の計算例。
もちろん、この計算はガス料金や使用状況によって変動しますが、多くの家庭では数年以内に初期投資を回収できると考えられます。
エコジョーズを設置する際には、外壁への配慮と適切な施工が重要です。特に建築・外壁塗装に従事する方々にとって、以下のポイントは押さえておくべきでしょう。
まず、エコジョーズは従来型給湯器と異なり、ドレン水(結露水)が発生します。これは排気ガスの熱を回収する際に生じる水分で、適切に排水処理する必要があります。このドレン排水のための配管工事が必要となり、外壁に新たな穴を開ける場合もあります。
また、設置場所についても考慮が必要です。エコジョーズは従来型と比較してやや大きいサイズになることが多く、既存の給湯器からの交換時には設置スペースの確認が必須です。特に狭いバルコニーや限られたスペースへの設置では、事前の現地調査が重要になります。
外壁塗装工事と同時にエコジョーズへの交換を検討する場合は、以下の点に注意しましょう。
適切な施工を行うことで、機能性と美観の両立が可能になります。
エコジョーズを長く効率的に使用するためには、適切なメンテナンスが欠かせません。また、外壁リフォームとの関連性についても理解しておくことが重要です。
エコジョーズの特徴的なメンテナンス項目として、ドレン排水経路の点検があります。二次熱交換器で発生するドレン水は酸性を示すため、中和器を通して中性化されますが、この中和器の交換や点検が定期的に必要です。一般的には3〜5年に一度の交換が推奨されています。
また、熱交換効率を維持するためには、熱交換器の清掃も重要です。特に水質が硬い地域では、熱交換器内にスケール(水垢)が付着しやすく、これが効率低下の原因となります。
外壁リフォームとエコジョーズのメンテナンスを同時に行うメリットとしては、以下が挙げられます。
特に築10年以上の住宅では、外壁リフォームのタイミングで給湯器の更新も検討することで、工事の効率化とコスト削減が可能になります。
ノーリツ公式サイト:エコジョーズのメンテナンス情報
メンテナンス頻度の目安。
定期的なメンテナンスにより、エコジョーズの効率と寿命を最大限に引き出すことができます。
エコジョーズには多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットや注意点も存在します。導入を検討する際には、これらの点も十分に理解しておくことが重要です。
主なデメリットとしては、以下が挙げられます。
また、導入前に確認すべき重要なポイントとして、以下があります。
これらのデメリットを理解した上で、自宅の状況や生活スタイルに合わせた判断をすることが大切です。
住宅の給湯システムを選ぶ際には、エコジョーズ以外にもいくつかの選択肢があります。それぞれの特徴を比較し、最適な選択をするためのポイントを解説します。
1. エコジョーズとエコキュートの比較
エコキュートは電気を使用するヒートポンプ式給湯器で、エコジョーズとは動作原理が大きく異なります。
比較項目 | エコジョーズ | エコキュート |
---|---|---|
使用エネルギー | ガス | 電気 |
初期費用 | 20〜30万円 | 40〜60万円 |
ランニングコスト | 中程度 | 安い(特に深夜電力利用時) |
設置スペース | 比較的コンパクト | 大きい(貯湯タンクが必要) |
CO2排出量 | 従来型より13%減 | 地域や電源構成による |
停電時の使用 | 使用可能 | 使用不可 |
2. エコジョーズとエネファームの比較
エネファームは、ガスから水素を取り出し発電する家庭用燃料電池で、発電時の排熱を給湯に利用するシステムです。
比較項目 | エコジョーズ | エネファーム |
---|---|---|
機能 | 給湯のみ | 発電+給湯 |
初期費用 | 20〜30万円 | 100万円前後 |
ランニングコスト | 中程度 | 非常に安い |
省エネ性 | 高い | 非常に高い |
設置スペース | 比較的コンパクト | 大きい |
メンテナンス | 比較的簡単 | 複雑 |
3. 従来型給湯器との比較
従来型のガス給湯器は初期費用が安いものの、ランニングコストでは不利になります。
比較項目 | エコジョーズ | 従来型給湯器 |
---|---|---|
初期費用 | 高い | 安い |
ランニングコスト | 安い | 高い |
熱効率 | 約95% | 約80% |
CO2排出量 | 少ない | 多い |
メンテナンス | やや複雑 | 比較的簡単 |
選択のポイント
これらの比較を踏まえ、各家庭の状況や優先事項に合わせた選択をすることが重要です。
エコジョーズの導入を検討する際に活用したいのが、各種補助金制度です。2025年現在も継続している補助金制度について解説します。
1. 国の補助金制度
現在、国レベルでは「給湯省エネ2024キャンペーン」が実施されています。このキャンペーンでは、高効率給湯器への買い替えに対して補助金が支給されます。
エコジョーズの場合、基本的な補助額は以下の通りです。
申請方法は基本的に以下の流れになります。
2. 地方自治体の補助金制度
国の制度に加えて、多くの地方自治体が独自の補助金制度を設けています。例えば。
これらの自治体補助金は国の補助金と併用できる場合が多く、合わせて活用することで初期費用の負担を大きく軽減できます。
3. 補助金申請時の注意点
補助金を確実に受け取るためには、以下の点に注意が必要です。
4. 補助金情報の入手方法
最新の補助金情報は以下から入手できます。
給湯省エネ2024キャンペーン公式サイト
補助金制度は年度ごとに内容が変更されることが多いため、最新情報を確認することが重要です。また、申請期間や予算には限りがあるため、導入を決めたら早めに手続きを進めることをお勧めします。
エコジョーズの設置は、住宅の外観にも影響を与えます。ここでは、実際の施工事例を紹介しながら、外壁デザインとの調和を図るポイントについて解説します。
1. 外壁材との色調統一
最近のエコジョーズは、外装カバーのカラーバリエーションが豊富になっています。主要メーカーでは、ホワイト、ベージュ、ブラウン、グレーなど、一般的な外壁色に合わせやすい色が用意されています。
施工事例。
2. 設置位置の工夫
給湯器の設置位置も外観に大きく影響します。
効果的な設置位置の例。
3. 配管カバーの活用
エコジョーズの設置では、ガス管や給水管、ドレン排水管などの配管が外壁に沿って設置されます。これらの配管を適切にカバーすることで、外観の美し