
アンビルがTシャツ事業を開始した1976年から80年代初期にかけて使用されたのが「初期黒タグ」です。このタグは黒地に黄色または白色の文字でブランド名がプリントされており、最も大きな特徴は上部に描かれた金床(anvil)のマークです。金床とは、加熱した金属をハンマーで加工する際の土台として使われる工具で、丈夫さや頑固さの象徴としてブランドのアイコンとなっています。
参考)anvil(アンビル)の年代別タグガイド
初期黒タグでは「ANVIL」の表記がすべて大文字になっているのが識別のポイントです。また「MADE IN U.S.A.」の表記も大文字で記載されており、ほぼすべてがアメリカ製となっています。このタグが付いたTシャツは製造から40年以上が経過しているため、ヴィンテージとしての価値も高く評価されています。
参考)http://vintagematome.com/post-512-512
🏷️ 識別ポイント
80年代後期になると、黒タグのデザインに変化が現れます。後期黒タグでは「Anvil」の表記が「A」以外は小文字になり、ブランドネームが円で囲われるようになりました。金床マークは引き続き使用されており、これが金床マークが付く最後のタグとなっています。白地に青字のバージョンも存在し、コレクターの間で人気があります。
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同時期に「Ched」または「Ched by Anvil」というタグも登場しています。これはアンビルの別ラインブランドとして展開されましたが、基本的にはアンビルと同じ品質・仕様と考えて問題ありません。Chedタグは紙製でプリントされているのが特徴で、80年代のヴィンテージTシャツとして一定の価値があります。
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📋 80年代後期タグの比較表
タグの種類 | 表記の特徴 | 素材 | 金床マーク | 生産国 |
---|---|---|---|---|
後期黒タグ | Anvil(A以外小文字) | 布製 | あり | USA製 |
Chedタグ | Ched by Anvil | 紙製 | なし | USA製 |
トリコロールタグ | Anvil刺繍 | 布製 | なし | USA製 |
1990年代に入ると、アンビルのタグデザインは大きく一新されました。「バータグ」と呼ばれるこのタグは、「anvil」のロゴの下にアンダーバーが引かれているのが最大の特徴です。初期のバータグでは黒色のアンダーバーが使用されていましたが、その後赤色のバータグが登場し、より一般的になりました。
90年代のアンビルタグで注目すべき変化は、生産国の多様化です。90年代前半まではUSA製が主流でしたが、90年代後半からはホンジュラス製の製品が増加していきました。古着市場においては、USA製の方が人気が高く、価格も高めに設定される傾向があります。バータグ自体はヴィンテージとしての価値は初期黒タグほど高くありませんが、プリントデザインによっては高値で取引されることもあります。
参考)https://ec.bazzstore.com/products/1137592371757
🌍 生産国による価値の違い
2000年以降、アンビルのタグは2枚重なった形状に変更されました。このタグは「ティアアウェイラベル」と呼ばれ、ハサミを使わなくても手で簡単にちぎり取れる仕様になっています。1枚目にはブランドネームが記載され、2枚目には素材や生産国などの詳細情報が記載されるという構造です。
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ロゴ下のアンダーバーの色も多様化し、赤色に加えて青色のバージョンも登場しました。2000年代に入ると、さらにタグをなくして生地に直接プリントするブランドも増えていきましたが、アンビルはティアアウェイラベルを採用することで、着用時の快適性とブランドアイデンティティの両立を図りました。
また、2000年代には「Tradition」ラインとして初期黒タグを復刻したタグも登場しています。これはUSA製で金床マークも再現されていますが、製造年代が新しいため、真のヴィンテージと混同しないよう注意が必要です。
✂️ 2000年代タグの進化ポイント
タグだけでなく、生地の特徴やステッチの仕様も年代判別の重要な手がかりとなります。1980年代から90年代のヴィンテージアンビルTシャツには「シングルステッチ」と「丸胴編み」という特徴的な製法が用いられています。シングルステッチとは、袖口や裾の縫い目が一本のステッチで仕上げられている仕様で、現代のダブルステッチと比べて柔らかな着心地が特徴です。
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丸胴編みは、胴体部分の脇に縫い目がない製法で、筒状に編み上げられたボディを指します。この製法は1990年代までに主流でしたが、生産効率の観点から現代ではほとんど行われていません。そのため、シングルステッチと丸胴編みの両方を備えたTシャツは、確実に90年代以前の製造と判断できる重要な識別ポイントとなります。
参考)メルカリ
また、ヴィンテージTシャツ特有の「色褪せ」「毛羽立ち」「プリント割れ」なども、年代を見極める際の参考になります。これらは経年変化による自然な劣化であり、古着の魅力の一つとして評価されることもあります。
参考)https://item.rakuten.co.jp/jtptrading/t190729-9/
🧵 ヴィンテージ判別の技術的ポイント
建築事業者やワークウェアを扱う事業者にとって、アンビルのタグ知識は作業着選定や社員ユニフォームの調達において実用的な価値があります。アンビルの歴史を振り返ると、1899年に「The High Point Manufacturing Company」として創業し、元々はワークウェアの製造を行っていたことが分かります。つまり、Tシャツボディメーカーとして知られる前は、建築・工業分野向けの頑丈な作業着を製造していたのです。
現代のアンビル製品は、その耐久性の伝統を受け継ぎながら、建築現場での使用にも適した品質を維持しています。タグの年代知識があれば、古着市場から耐久性の高いヴィンテージワークウェアを調達する際に、真贋や製造年代を正確に見極めることができます。特に80年代までのUSA製アンビル製品は、現代の製品と比較しても生地が厚く、作業着としての実用性が高いと評価されています。
また、会社のユニフォームや現場作業着として無地のアンビルTシャツを選ぶ場合、タグの知識があれば供給元の信頼性や製品の本物性を確認でき、長期的なコスト削減にもつながります。
🏗️ 建築事業での活用シーン
アンビルの詳細な年代別タグガイド(各年代のタグ画像付き解説)
ANVIL年代別タグの特徴まとめ(ヴィンテージ商品の識別方法)
アンビルのタグで見る年代の見分け方(CHED編含む詳細解説)