
アンテナを自分で撤去するには、適切な工具と準備が不可欠です。作業を安全かつ効率的に進めるために、以下の道具を事前に揃えておきましょう。
【必須の工具】
【あると便利な道具】
特に高所作業となる屋根上のアンテナ撤去では、安全対策のための装備が重要です。フルハーネスは高所作業時の安全確保に効果的ですが、購入すると1万円以上かかることもあります。一度きりの作業のためだけに購入するとコスト面で業者依頼より高くなる可能性もあるため、レンタルも検討しましょう。
また、作業前には天候をチェックし、雨天や強風時は絶対に作業を避けてください。屋根は特に滑りやすく、雨天後も数日は注意が必要です。
テレビアンテナの撤去作業は、以下の手順で進めていきます。安全を最優先に、慎重に作業しましょう。
【1. 支持線の切断】
テレビアンテナは強風や自然災害で倒れないように、複数の支持線で固定されています。まずはこの支持線を切断します。ただし、切断する際はアンテナのバランスが急に崩れないよう注意が必要です。支持線を一度にすべて切るのではなく、アンテナを支えながら徐々に切っていくことがポイントです。
【2. アンテナ本体の撤去】
支持線を切断したら、アンテナ本体を取り外します。多くのテレビアンテナは屋根馬に取り付けられた支柱と一体になっているため、まず屋根馬から支柱を外します。取り外したアンテナは下に落下させないよう、安全な場所に一時的に置いておきましょう。
【3. 固定金具の撤去】
アンテナ本体を取り外した後は、残った屋根馬や固定金具などを撤去します。金具類は小さいものが多いので、落下させないよう細心の注意を払いましょう。特に屋根上での作業では、金具を落とすと下にいる人や物を傷つける恐れがあります。
【4. 配線の処理】
アンテナから伸びる同軸ケーブルも適切に処理します。壁に沿って配線されている場合は、必要に応じて壁からも取り外します。ケーブルを切断する際は、電気が流れている可能性を考慮し、絶縁手袋を着用しましょう。
【5. 撤去物の片付け】
取り外したアンテナ本体や金具類は、一度にまとめて降ろそうとせず、複数回に分けて安全に地上へ降ろします。特にアンテナ本体は長さがあり、はしごを降りる際に邪魔になるため、可能であれば補助者に地上で受け取ってもらうと安全です。
作業中は常に足場の安定を確認し、無理な姿勢での作業は避けましょう。また、一人での作業は危険を伴うため、できるだけ誰かに補助してもらうことをおすすめします。
DIYでアンテナを撤去する際には、いくつかの危険が伴います。安全に作業を完了するために、以下の注意点を必ず守りましょう。
【高所作業の危険性】
屋根上でのアンテナ撤去作業は、常に落下のリスクがあります。特に不慣れな方が屋根に上ると、バランスを崩しやすく非常に危険です。屋根の傾斜や素材によっては滑りやすい場合もあるため、安全対策を万全にしてください。
【感電のリスク】
アンテナには電気が流れている可能性があります。特に雨天時や湿気の多い日は感電リスクが高まります。電気配線を扱う際は必ず絶縁手袋を着用し、可能であれば事前にブレーカーを落としておくことをおすすめします。
【アンテナ本体の重量と形状】
一般的な八木式アンテナは約1kgと軽量ですが、長さが1m以上あり、形状が不規則なため持ち運びが難しいことがあります。特にはしごを上り下りする際は、片手がふさがってしまうため非常に危険です。
【天候による影響】
雨天時や雨上がりの屋根は非常に滑りやすくなります。また、強風時の作業も危険です。天候が良好な日を選んで作業を行いましょう。気象予報をチェックし、作業日を計画的に決めることが重要です。
【工具の落下】
高所での作業中に工具を落とすと、下にいる人や物に当たる危険があります。工具ベルトを使用するか、使用していない工具は安全な場所に置いておきましょう。
これらのリスクを考慮すると、DIYでの撤去に不安がある場合は、専門業者への依頼を検討するのが賢明です。特に高齢の方や高所作業に不慣れな方は、無理せず専門家に任せることをおすすめします。
アンテナを撤去した後は、適切に処分する必要があります。処分方法は自治体によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。
【一般的な処分方法】
多くの自治体では、テレビアンテナは粗大ゴミとして扱われます。処分する際は、自治体に連絡して回収を依頼し、粗大ゴミ処理券を購入して貼り付ける必要があります。
アンテナの大きさによっては、不燃ゴミとして出せる場合もあります。ただし、長さや重さに制限がある場合が多いので、事前に確認が必要です。
状態の良いアンテナであれば、リサイクルショップで引き取ってもらえる可能性もあります。特にBS/CSアンテナなど比較的新しいものは再利用価値があるかもしれません。
アンテナ工事業者の中には、撤去と同時に処分も行ってくれるサービスを提供しているところもあります。追加料金が発生する場合もありますが、手間を考えるとこの方法が便利です。
【自治体ごとのルール確認方法】
処分の際は、アンテナを適切にサイズダウンすることで処理がしやすくなる場合もあります。金属部分とプラスチック部分を分別するよう求められる自治体もありますので、指示に従って適切に処分しましょう。
アンテナ撤去を自分で行うか業者に依頼するか迷った場合は、コストと安全性のバランスを考慮して判断しましょう。それぞれのメリット・デメリットを比較してみます。
【DIYでの撤去】
◆メリット
◆デメリット
【業者依頼での撤去】
◆メリット
◆デメリット
【費用比較表】
項目 | DIY | 業者依頼 |
---|---|---|
基本費用 | 0円 | 10,000〜20,000円 |
工具代 | 3,000〜10,000円 | 0円 |
安全装備 | 5,000〜15,000円 | 0円 |
処分費用 | 500〜2,000円 | 多くの場合込み |
合計 | 3,500〜27,000円 | 10,000〜20,000円 |
この比較から分かるように、安全装備を新たに購入する場合、DIYのコストが業者依頼を上回ることもあります。特にフルハーネスなどの安全装備は一度きりの使用では費用対効果が低いため、以下のような基準で判断するとよいでしょう。
【DIYがおすすめな場合】
【業者依頼がおすすめな場合】
業者選びでは、複数の業者から見積もりを取り、価格だけでなく、実績や口コミも確認することが大切です。最低でも3社以上から見積もりを取ることで、適正価格を知ることができます。また、火災保険の「残存物取片づけ費用」が適用できる場合もありますので、加入している保険の内容も確認しておきましょう。
一般財団法人 家電製品協会:家電リサイクル・処分に関する情報
以上の情報を参考に、自分の状況や技術レベル、安全面を総合的に判断して、最適な方法を選んでください。どのような選択をする場合でも、安全を最優先に考えることが最も重要です。