
ビニールホースの規格において最も基本となるのが内径と外径の仕様です。建築現場で使用される一般的な透明ビニールホースは、内径3mm×外径5mmから内径75mm×外径86mmまで幅広いサイズが規格化されています。
標準的な規格サイズ一覧
これらの規格は、流量計算や圧力損失を考慮した設計基準に基づいており、建築設備の給排水システムにおいて重要な役割を果たします。特に透明タイプは、ホース内の流体状況が一目で確認できるため、メンテナンス性に優れています。
定尺長さについても規格が定められており、小径は100~200m、中径は50~100m、大径は20~50mが標準となっています。この規格化により、現場での材料計画と施工効率の向上が図られています。
軟質ポリ塩化ビニール製のビニールホースには、用途に応じた詳細な材質規格が設定されています。建築現場で特に重要となるのは、耐候性、柔軟性、そして化学的安定性の基準です。
主要な性能規格項目
RoHSⅡ指令適合品は、鉛、水銀、カドミウム、六価クロムなど10種類の有害物質を規制値以下に抑制しており、建築現場での安全性を確保しています。これは特に飲料水配管や食品関連施設で重要な要件となります。
また、可塑剤の種類と含有量についても厳格な規格があり、フタル酸エステル系可塑剤の使用制限により、長期使用時の安全性が向上しています。建築現場では、この材質規格を理解することで、適切な用途選定と施工品質の確保が可能になります。
建築設備における水圧管理において、ビニールホースの耐圧規格は極めて重要です。一般用ガーデンホースタイプでは、最高使用圧力0.18~0.20MPaが標準規格となっています。
圧力別分類と適用範囲
耐圧ホースでは、内径15mm×外径20mmで巻径400mm×幅220mmの規格化されたコンパクト設計が採用されています。この規格により、限られた建築現場スペースでも効率的な材料保管と施工が可能です。
特筆すべきは、環境温度23℃時の基準値設定です。実際の建築現場では温度変化が大きいため、設計時には安全率を考慮した圧力設定が必要となります。また、継続使用による劣化を想定した定期点検基準も規格に含まれており、建築物の長期メンテナンス計画に活用されています。
建築現場において見落とされがちなのが、食品衛生法規格への適合性です。特に商業施設や食品工場の建築では、この規格クリアが必須条件となります。
食品衛生法厚生省告示第201号の主な基準
これらの基準をクリアしたビニールホースは、給水設備だけでなく、厨房排水や製造ライン配管にも使用可能です。建築現場では、用途に応じて食品衛生法適合品と一般品を使い分けることで、コスト最適化と安全性確保の両立が図れます。
意外な事実として、食品衛生法適合品は一般品より約20~30%価格が高くなりますが、将来の用途変更や法的リスクを考慮すると、初期投資としての価値は十分にあります。
建築現場特有の安全要件として、絶縁用ビニールチューブの規格があります。これは電気工事との並行作業が多い建築現場で、感電事故防止のために策定された独自の規格基準です。
絶縁用ビニールチューブ規格詳細
従来の建築現場では、一般的なビニールホースと絶縁用を区別せずに使用することが多く、これが重大な安全リスクとなっていました。最新の安全規格では、電気設備近辺で使用するビニールホースには、必ず絶縁規格適合品の使用が義務付けられています。
特に注目すべきは、AWG規格(アメリカンワイヤーゲージ)に対応した精密なサイズ設定です。20AWG(内径0.86mm)から0AWG(内径8.3mm)まで、電線サイズに完全対応した規格体系により、電気工事との整合性が保たれています。
この絶縁規格は、建築現場の多職種協働において、配管工事と電気工事の安全な同時進行を可能にする画期的な基準として、業界で高く評価されています。