発光効率LEDの基本と選定のポイント

発光効率LEDの基本と選定のポイント

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発光効率LEDの基本と実務

この記事で分かること
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発光効率の基礎知識

ルーメン、ワット、lm/Wの関係性と計算方法を理解できます

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光源の比較データ

LED、蛍光灯、白熱電球の効率と寿命の違いを数値で比較

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建築現場での選定方法

用途別の照明選定と設計時の注意点を実例で解説

発光効率LEDとは何か

発光効率LEDとは、消費電力1ワット(W)あたりにどれだけの光量を発生させられるかを示す指標を持つLED照明のことです。この効率は「lm/W(ルーメン・パー・ワット)」という単位で表され、数値が高いほど省エネ性能に優れています。建築業の現場では、電気代削減とメンテナンスコスト低減の両面から、発光効率の高いLED照明の採用が進んでいます。
参考)https://www.my-craft.jp/html/aboutled/led_kouritsu.html

発光効率の計算式は非常にシンプルで、「全光束(ルーメン)÷ 消費電力(ワット)= 発光効率(lm/W)」となります。例えば、1000ルーメンの明るさを10ワットで実現できるLEDの発光効率は100lm/Wとなり、同じ明るさを20ワットで実現するLEDの50lm/Wと比較して2倍の効率を持つことになります。
参考)LED照明の「発光効率」で何がわかる?|LED照明の「発光効…

現在の市場に流通しているLED照明の発光効率は平均して150lm/W前後とされており、製品によっては180lm/Wを超える高効率モデルも登場しています。一方で白熱電球の発光効率は10〜20lm/W程度、蛍光灯は40〜110lm/W程度であることから、LEDの優位性は明確です。
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発光効率LEDのルーメンとワットの関係

ルーメン(lm)は光源が全方向に放つ光の総量を表す明るさの単位であり、ワット(W)は消費電力を示す単位です。白熱電球の時代には「60W」といったワット数が明るさの目安として使われていましたが、LEDではルーメンで明るさを判断する必要があります。
参考)ルーメンとワットの違いとは?明るさの目安とLED電球の選び方…

60Wの白熱電球と同等の明るさは約800ルーメンに相当し、発光効率100lm/WのLED電球なら消費電力はわずか8Wで同じ明るさを実現できます。これは白熱電球の発光効率がメーカーによらずほぼ一定(約10〜20lm/W)であるのに対し、LEDは80〜100lm/Wと4〜5倍以上の効率を持つためです。
参考)https://www.tdk.com/ja/tech-mag/knowledge/171

建築現場で照明計画を立てる際には、必要な照度(lux)から逆算して必要なルーメン数を算出し、それを高効率なLEDで実現することで大幅な省エネが可能になります。特に工場や倉庫など長時間点灯する施設では、発光効率の差が年間の電気代に大きく影響します。
参考)基礎編 住宅照明設計のポイント

発光効率LED照明の寿命と劣化特性

LED照明の寿命は約40,000〜60,000時間とされており、白熱電球(1,000〜2,000時間)や蛍光灯(6,000〜12,000時間)と比較して圧倒的に長寿命です。1日10時間使用した場合、LEDは約10年以上交換不要となり、高所や交換作業が困難な場所への設置に適しています。
参考)LED照明の発光効率とは?白熱電球とどっちがお得か比較

ただし、LEDは完全に消灯するのではなく、徐々に明るさが低下していく劣化特性を持ちます。LED素子や蛍光体、樹脂などの素材が劣化することが主な原因で、特に熱による影響が大きいとされています。LEDの変換効率は20〜30%程度で、残りの70%は熱として放出されるため、放熱設計が不十分な製品は寿命が短くなる傾向があります。
参考)https://www.my-craft.jp/html/aboutled/led_jyumyou.html

建築現場で長期的なコストメリットを得るには、初期の発光効率だけでなく、温度管理や放熱構造がしっかりした製品を選定することが重要です。特に密閉型器具や高温環境での使用では、熱による発光効率の低下(thermal droop)が顕著になるため注意が必要です。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7105460/

発光効率LED照明の色温度と演色性

LED照明の性能は発光効率だけでなく、色温度と演色性も重要な選定基準となります。色温度はケルビン(K)で表され、電球色(約3000K)から昼白色(約5000K)、昼光色(約6500K)まで幅広い選択肢があります。一般的に色温度が低いほど発光効率はやや低下する傾向があるため、明るさ表示を確認する際は注意が必要です。
参考)器具選択の5つのポイント

演色性はRa(平均演色評価数)で示され、自然光に近い色の見え方を実現するには Ra80以上が推奨されます。建築現場では作業内容に応じて適切な色温度と演色性を選ぶことが重要で、例えば精密作業には高演色性(Ra90以上)で昼白色系の照明が適しています。
参考)https://www.tlt.co.jp/tlt/lighting_design/design/basic/data/10_22.pdf

照度レベルと色温度の組み合わせも考慮すべき点で、実験結果によれば低照度環境では色温度の低い暖かみのある光が好まれ、高照度環境では高色温度の光が適しているとされています。また、発光効率を最大化しながら演色性を維持するには、蛍光体の選定が鍵となり、現在も材料技術の開発が進められています。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11325363/

発光効率LED照明の技術開発動向

LED照明の発光効率は技術革新により年々向上しており、研究開発レベルでは250lm/W以上を達成した事例も報告されています。日本では国家プロジェクトとして「次世代照明等の実現に向けた窒化物半導体等基盤技術開発」が推進され、蛍光灯の約2倍の発光効率を目指した技術開発が行われてきました。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieejjournal/131/1/131_1_34/_pdf

発光効率向上の鍵となるのは、LED素子そのものの内部量子効率(IQE)と光取り出し効率(LEE)の改善です。フォトニック結晶(PhC)構造を導入することで光取り出し効率を最大80%まで改善できる技術や、GaN基板を用いた高効率LEDの開発など、多角的なアプローチが進められています。
参考)LEDの発光効率を大幅に向上する インテグレーションを共同開…

建築業界で実用化が進んでいるマイクロLED技術は、従来のLEDチップを微細化することで高輝度と低消費電力を両立させた次世代の照明・ディスプレイ技術です。また、ペロブスカイトLEDの発光効率を4倍に向上させる研究成果など、新素材の開発も活発化しており、今後さらなる高効率化とコスト削減が期待されています。
参考)マイクロLEDを用いた高画質でスケーラブルなCrystal …

発光効率LEDによるコスト削減効果

LED照明への切り替えによる経済効果は、電気代削減とメンテナンスコスト低減の両面から評価できます。蛍光灯1本あたりの月間電気代が約95円であるのに対し、LED照明は約53円となり、月間約42円の差が生まれます。
参考)LED照明に切り替えると電気代はどうなる?電気代の削減方法も…

オフィスや工場で100本の照明をLEDに切り替えた場合、月間約4,300円、年間約5万円以上の電気代削減が可能です。さらに白熱電球と比較した場合、LED照明の消費電力は約8分の1となり、削減効果はより顕著になります。
参考)LED照明の消費電力と電気代は︖蛍光灯・白熱電球と徹底比較︕…

交換工事の費用相場は、蛍光灯のLED化で1ヶ所あたり3,000〜5,000円程度とされています。初期投資は必要ですが、LEDの長寿命(40,000時間以上)により交換頻度が大幅に減少し、高所作業のコストや作業中の業務停止時間も削減できるため、トータルコストでは大きなメリットがあります。特に建築現場や工場など照明数が多い施設では、投資回収期間が短く、長期的な経営改善につながります。
参考)http://slemaj.sljol.info/articles/10.4038/slemaj.v19i2.10/galley/17/download/

発光効率LED照明の選定ポイント

建築現場でLED照明を選定する際は、発光効率だけでなく複数の要素を総合的に判断する必要があります。まず設置環境の天井高さに応じた器具選択が重要で、8〜10mの中天井空間では高天井用照明器具、20m以上の極端に高い天井では高天井用照明と投光器の組み合わせが推奨されます。
参考)https://search.sugatsune.co.jp/product/knowledge/r/rledterm/

配光特性も重要な選定基準で、作業エリアには狭角配光で高照度を確保し、通路や共用部には広配光で均一な照明を実現するなど、用途に応じた使い分けが省エネにつながります。また、調光機能付きLEDを採用することで、時間帯や作業内容に応じた最適な照度管理が可能となり、さらなる省エネ効果が期待できます。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9656912/

製品選定時には、発光効率(lm/W)の数値だけでなく、放熱設計の品質、防塵・防水性能(IP等級)、保証期間なども確認すべきです。特に粉塵が多い工場や湿気の多い環境では、適切な保護等級を持つ製品を選ぶことで長期的な性能維持が可能になります。信頼できるメーカーの製品を選び、施工業者と十分に協議することで、最適なLED照明システムを構築できます。
参考)https://dergipark.org.tr/en/download/article-file/1394308

発光効率LED照明のメンテナンス戦略

LED照明は長寿命であるものの、適切なメンテナンス計画により性能を最大限に引き出すことができます。LEDは使用時間とともに徐々に光束が減衰するため、初期照度補正率を考慮した設計と、定期的な照度測定による更新時期の判断が重要です。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11492578/

国際規格LM-80-08ではLEDの光束維持率に関する試験方法が規定されており、これに基づいて製品の劣化特性を評価できます。建築施設の照明システムでは、照度が初期値の70%まで低下した時点を交換時期とする基準が一般的ですが、LED照明の場合は40,000時間以上の長期使用が可能なため、計画的な一斉更新が効率的です。​
清掃メンテナンスも発光効率の維持に重要で、器具表面の汚れは光の透過を妨げ、実質的な発光効率を低下させます。工場や建築現場など粉塵の多い環境では、定期的な清掃スケジュールを設定することで、照明性能を長期間維持できます。また、放熱フィンの目詰まりは熱劣化を促進するため、清掃時には放熱部分のチェックも欠かせません。
参考)https://www.ribc.or.jp/research/pdf/report/report31.pdf

大塚商会のLED発光効率解説ページでは、発光効率の基礎知識と具体的な数値データが詳しく紹介されており、照明選定の参考になります。
NEDOの次世代照明開発プロジェクトでは、国家レベルでのLED技術開発の動向と今後の展望が確認でき、最新技術トレンドの把握に役立ちます。
日本照明工業会のLED照明設計ガイドでは、住宅から産業施設まで幅広い照明設計のポイントが解説されており、実務での応用に活用できます。