光ファイバーどうやって繋がってる?海底から建物まで仕組み解説

光ファイバーどうやって繋がってる?海底から建物まで仕組み解説

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光ファイバーどうやって繋がってる

📡 光ファイバー接続の全体像
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海底ケーブルで世界と接続

光ファイバーは海底ケーブルを通じて国際的なネットワークと繋がり、大容量データ通信を実現しています

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局舎と伝送装置で中継

全国の局舎に設置された伝送装置が光信号を増幅・中継し、任意の二箇所を光回線で結びます

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建物内に引き込み接続

電柱から建物へ光ファイバーを引き込み、光コンセントとONUを経由してインターネットに接続します

光ファイバー海底ケーブルで世界と接続

光ファイバーは海底ケーブルを通じて世界中のネットワークと繋がっています。海底ケーブルは髪の毛程度の細さの光ファイバーを束ね、周囲を保護した構造になっており、国際通信やインターネットの高速大容量データ通信を実現しています。
参考)国際通信の大動脈 光海底ケーブルで世界をつなぐ

光信号は長距離伝送において減衰するため、海底ケーブルには一定間隔で中継器が設置されています。中継器は光信号を増幅し、通信品質を担保する重要な役割を果たします。WDM(波長分割多重)技術により、複数の光信号を1本のファイバーにまとめて大量の情報を伝送することが可能です。
参考)海底ケーブルに使用されるレンズドファイバ - Orbray …

実は海底ケーブルは衛星通信よりも信頼性と通信容量の面で優れており、国際電話やインターネット、TV中継などに幅広く利用されています。日本と世界を結ぶ大動脈として、海底光ファイバーケーブルは現代の情報通信社会を支える基盤となっているのです。​

光ファイバー局舎と伝送装置の仕組み

海底ケーブルから上陸した光ファイバーは、全国に配置された局舎を経由して各地域へ届けられます。日本全国には大小無数の局舎があり、局舎間も光ファイバで結ばれています。局舎には伝送装置が置かれ、引き込まれた光ファイバーが無数に接続されています。
参考)インターネットはどのように世界とつながっているのか

伝送装置は光ファイバーを通る途中で減衰した光信号を増幅し、別の光ファイバーに中継する役割を担っています。この仕組みをつなげていくことで、任意の二箇所が光回線で結ばれる仕組みです。GC(Group Unit Center)局と呼ばれる通信局舎は全国市町村に合計3千個程度あり、地域のネットワークの要となっています。
参考)モバイルネットワークにおける光回線設備の役割 - ケータイ …

建築業に携わる方にとって重要なのは、新築やリノベーション時に局舎からの光ファイバー引き込みルートを事前に確保することです。配線ルートを予め計画しておくことで、内装工事の手戻り防止や建物外観を損ねることなく、スムーズな開通が可能となります。
参考)商業施設・オフィスビル・マンション等への光配線を検討中の施工…

光ファイバー電柱からの引き込み配線

局舎から各地域へ届けられた光ファイバーは、電柱を経由して個々の建物へ引き込まれます。光ファイバーケーブルが通っている近くの電柱から、家屋まで回線を引き込む際、電話線と同じように家の外壁まで架け渡します。
参考)光コンセントとは? 探し方やない場合の設置工事の流れ

電柱の途中には、枕くらいの大きさの黒や灰色の箱である「クロージャー」が設置されています。クロージャーの中には複数の接続点を収納するトレイが内蔵されており、光ファイバーを分岐させる役割を果たします。家から出た光ファイバーは他の線と合流し、最終的にこのクロージャーに入り、束になっている光ファイバーに接続されて最寄りの局舎へ向かいます。
参考)https://solidcable.com/guide/optical-closures.html

建築現場では、光ファイバーが電柱の上だけでなく、地下に埋まっている管路や洞道から引き込まれる場合もあります。ビルやマンションによっては地下配線を採用することで、建物の外観を損ねずに光回線を導入できます。架空設置クロージャーは経済性、作業性、景観との調和を考慮して設計されており、需要の変化にも柔軟に対応できる構造となっています。
参考)架空設置クロージャ|NTTアクセスサービスシステム研究所

IIJ技術レポート:インターネットの物理的な接続構造について詳細な解説(クロージャーと局舎間の接続方法)

光ファイバー建物内の接続とONU設置

外壁まで引き込まれた光ファイバーは、室内へと引き込まれます。その際、電話線かエアコン用の配管を利用しますが、どちらも使えなければ壁に直径1cm程の穴を開けて引き込むことになります。室内まで引き込んだ回線を情報コンセントにまとめるなどして光コンセントとして設置します。​
光コンセントは電柱から建物内に引き込んだ光ファイバーの出口となり、光コンセントにONU(光回線終端装置)またはホームゲートウェイをケーブルで接続して利用します。ONUを光コンセントと光ファイバーケーブルで接続し、ONUはルーターに似た形の装置で、レンタルで利用することが一般的です。
参考)光回線の工事とは?費用や流れ、作業内容、工事時間などを詳しく…

光コンセントとONUまたはホームゲートウェイとは光ファイバーケーブルで接続します。光ファイバーケーブルの両端にはSCコネクタという端子が付いており、これを光コンセントとONUに差し込むだけで接続が完了します。ONUとルーターをLANケーブルで接続して設定を行えば、インターネットが利用可能になります。​
建築業従事者の方は、光コンセントとONUの距離が遠いケースでは、光ファイバーケーブル用の延長ケーブルを使うと便利であることを覚えておくと良いでしょう。​

光ファイバー全反射による信号伝送原理

光ファイバーが長距離通信を可能にしている秘密は「全反射」という物理現象にあります。光ファイバーの中心にはコア、その周りにはクラッドという物質があり、コアとクラッドの屈折率が異なる点が重要です。
参考)光ファイバーの全反射の仕組みをわかりやすく解説!

コア内を進む光がクラッドに進入せずコアの壁に反射して進んでいくため、情報が遠くまで伝達できます。電気信号化された映像や音声が光ファイバーの全反射によって伝達されていくので、長距離でも情報のやり取りができます。光は非常に速く進むため、光ファイバーを使えば高速での通信も可能です。​
光ファイバーの基本構造は、クラッドの中心にコアを内包する同心円状です。クラッドはコアを物理的に保護して、コアとの屈折率の違いにより光を全反射させる役割を担います。コアとは光を伝える大元となる部分で、高い屈折率を持つことが特徴です。
参考)光ファイバの基本構造と 種類・材質ごとに生じる用途と特徴の違…

意外な事実として、光ファイバー技術は進化を続けており、2023年には1本の光ファイバで毎秒22.9ペタビットという世界最大の伝送容量が実証されました。これは8K放送の2,290万チャンネルに相当する驚異的な容量です。空間多重光ファイバ技術と波長多重技術の融合により、今後さらなる大容量化が期待されています。
参考)従来世界記録の2倍、伝送容量が毎秒22.9ペタビットの光ファ…

パンドウイット:光ファイバーの全反射メカニズムの詳細解説(コアとクラッドの屈折率の関係)

光ファイバー建築現場での配線方式の選択

建築業従事者にとって重要なのは、建物のタイプに応じた適切な配線方式の選択です。集合住宅では共用スペースに引き込んだ光回線を各戸で共有する方式があり、「光配線方式」「VDSL方式」「LAN配線方式」の3つの方式があります。
参考)光配線方式|集合住宅の導入工事と配線方式について|フレッツ光…

光配線方式は、共用スペースから各戸まで光ファイバーを直接配線する方法で、最も高速で安定した通信が可能です。マンションなどの集合住宅には大抵、MDF室と呼ばれる建物全体の電話線・光回線をまとめて管理する共有スペースがあります。​
新築やリノベーション時には、建物内の光ケーブルを予め施工主にて敷設することで、内装工事の手戻り防止や建物外観を損ねることなくスムーズな開通が可能となります。配線ルートの確保に加え、将来の通信需要の増加を見越した余裕のある設計が推奨されます。​
PON(Passive Optical Network)という技術では、局舎から1本で出た光ファイバが最終的に32分岐されてONUに繋がっています。ただ分岐しているだけなので、32個のONUには同じ情報が届き、各ONUが自分宛の情報だけを取り出す仕組みになっています。この技術により、効率的に多数の利用者へ光回線サービスを提供できるのです。
参考)ONUの向こう側の世界〜光通信の上位層に迫る〜

建築計画段階で光ファイバーの引き込みルート、MDF室の位置、各戸への配線方式を適切に設計することで、居住者や利用者に快適なインターネット環境を提供できます。​