

私たちの体にとって脂質は欠かせない三大栄養素の一つであり、特に体を動かす建設業や現場仕事に従事する方にとっては非常に効率の良いエネルギー源となります。しかし、脂質なら何でも良いというわけではありません。脂質を構成する「脂肪酸」には種類があり、その中でも「飽和脂肪酸」は摂りすぎると健康リスクを高める可能性があるため、どの食品に多く含まれているかを正確に把握しておくことが重要です。
飽和脂肪酸は、一般的に「常温で固体になる脂」に多く含まれています。肉の脂身やバターなどがその典型ですが、実は植物性の油やお菓子にも大量に含まれていることがあります。ここでは、文部科学省の「日本食品標準成分表」や厚生労働省のデータに基づき、飽和脂肪酸を多く含む食品をカテゴリー別に詳しく見ていきましょう。日々の食事選びや、現場での弁当選びの参考にしてください。
飽和脂肪酸の最も主要な摂取源となっているのが、動物性脂肪です。肉類や乳製品はタンパク質も豊富で、体力勝負の現場では欠かせない食材ですが、部位や種類によっては驚くほど多くの飽和脂肪酸が含まれています。
まず、肉類について見てみましょう。牛肉や豚肉の「脂身」は、その大部分が脂質であり、その中に飽和脂肪酸が高濃度で含まれています。例えば、輸入牛肉のリブロース(脂身)は、100gあたり約30g以上の飽和脂肪酸を含んでいます。これは後述する一日の摂取目安量を、たった100gの肉の脂身だけで大幅に超えてしまう量です。
特に注意が必要なのは、加工肉です。ベーコンやソーセージは、製造過程で脂身が多く使われることが多く、知らず知らずのうちに摂取量が増えてしまいます。一方で、鶏のささみや牛ヒレ肉などの赤身部分は飽和脂肪酸が少なく、良質なタンパク源となります。
次に乳製品です。乳製品に含まれる脂肪(乳脂肪)も飽和脂肪酸が豊富です。
バターはその半分が飽和脂肪酸と言っても過言ではありません。パンにたっぷりバターを塗る習慣や、料理にバターを多用する場合は注意が必要です。また、チーズ類も含有量が高いため、お酒のつまみとして大量に食べるのは避けたほうが賢明です。牛乳は水分が多いため100gあたりの含有量は低いですが、毎日500mlなどを水代わりに飲むと、トータルの摂取量は無視できないレベルになります。
参考リンク:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」 - 食品ごとの正確な栄養成分データが検索可能です。
では、具体的に一日どれくらいの飽和脂肪酸なら摂取しても問題ないのでしょうか。厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」および最新の2025年版の案では、生活習慣病の発症予防を目的とした目標量が設定されています。
結論から言うと、飽和脂肪酸の摂取目標量は**「総エネルギー摂取量の7%以下」**とされています。
この「7%」という数字を、具体的なグラム数に換算してみましょう。建設業など体を動かす仕事をしている男性の場合、一日に必要なエネルギー量は比較的多く、約2600kcal〜3000kcal程度が必要になることもあります。
つまり、現場でバリバリ働く男性であっても、一日に摂取してよい飽和脂肪酸の上限は約20g程度ということになります。先ほどの食品一覧を思い出してください。バターをたっぷり使ったトーストを食べ、昼にカルビ弁当(脂身の多い肉)を食べ、夜にチーズをつまみに晩酌をすれば、あっという間にこの基準を超えてしまいます。
事務職など活動量が少ない人の場合は、必要エネルギーが2000kcal程度になるため、目安量はさらに厳しくなり、約15g程度となります。
重要なのは、「脂質全体の摂取量を減らす」ことではなく、「脂質の中身を見直す」ことです。脂質全体を減らしすぎるとエネルギー不足になり、現場でのスタミナ切れや集中力低下を招きます。飽和脂肪酸(肉の脂やバター)を減らし、代わりに不飽和脂肪酸(魚の油、オリーブオイル、えごま油など)から脂質を摂取するように切り替えることが、健康的に働き続けるための鍵となります。
参考リンク:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」 - エネルギーや各栄養素の摂取目標量が詳細に記載されています。
「自分は甘いものを食べないし、肉の脂身も避けているから大丈夫」と思っている方も油断はできません。実は、飽和脂肪酸の摂取源として見落としがちなのが、**「植物油脂」**を使った加工食品やお菓子です。
一般的に「植物油」と聞くと、サラダ油やオリーブオイルのような液体でヘルシーなイメージを持つかもしれません。しかし、植物油の中には、常温で固まりやすく飽和脂肪酸を非常に多く含む種類があります。その代表格が**「パーム油」と「ココナッツオイル」**です。
特にココナッツオイルは健康ブームで人気ですが、100gあたりの飽和脂肪酸含有量は約80gを超え、ラードや牛脂よりもはるかに高い値を示します。MCT(中鎖脂肪酸)が含まれていてエネルギーになりやすいというメリットはありますが、摂りすぎれば当然リスクになります。
そして、もっとも警戒すべきは「パーム油」です。パーム油は安価で酸化に強く、サクサクとした食感を出しやすいため、日本の加工食品やお菓子に大量に使われています。原材料名に「植物油脂」と書かれている場合、その多くがパーム油を含んでいます。
現場の休憩中に缶コーヒーと菓子パン、あるいはカップ麺とおにぎり、といった組み合わせを日常的に摂っていると、知らず知らずのうちに血管に負担をかけている可能性があります。コンビニを利用する際は、成分表示の「脂質」の欄を見るだけでなく、原材料の「植物油脂」「ショートニング」の記載順序(前の方にあるほど多い)を確認する習慣をつけましょう。
なぜこれほどまでに飽和脂肪酸の摂取を控えるよう言われているのでしょうか。その最大の理由は、血液中の**LDLコレステロール(悪玉コレステロール)**との密接な関係にあります。
飽和脂肪酸を過剰に摂取すると、肝臓でのコレステロール合成が促進され、血液中のLDLコレステロール濃度が上昇することが多くの研究で明らかになっています。LDLコレステロールは本来、体の隅々にコレステロールを運ぶ重要な役割を持っていますが、増えすぎると血管の壁に入り込み、酸化してプラーク(コブのようなもの)を形成します。
これが進行すると動脈硬化の状態になります。動脈硬化が進むと血管が狭く、硬くなり、血流が悪くなります。そして、ある日突然プラークが破れて血栓ができ、血管を詰まらせてしまうのが心筋梗塞や脳梗塞です。
建設業の現場では、急な温度変化(冬場の寒い屋外作業など)や、重い資材を持ち上げる際の血圧上昇など、血管に負担がかかるシーンが多くあります。血管が健康であれば耐えられる負荷でも、動脈硬化が進んでいると重大な事故につながりかねません。「体が資本」の仕事だからこそ、筋肉だけでなく、血管のメンテナンスも意識する必要があります。
逆に、魚に含まれるDHAやEPA、オリーブオイルに含まれるオレイン酸などの「不飽和脂肪酸」には、LDLコレステロールを下げる働きや、血液をサラサラにする効果が期待できます。肉の脂を減らした分、魚や植物性の良質な油を取り入れることで、リスクを相殺し、健康バランスを整えることができます。
参考リンク:農林水産省「脂質による健康影響」 - 飽和脂肪酸と心疾患リスクの科学的根拠について解説されています。
最後に、一般的な検索結果にはあまり出てこない、建設業や肉体労働に従事する方ならではの「独自の視点」で脂質との付き合い方を解説します。
「現場で汗をかいて疲れているから、こってりしたラーメンや焼肉でスタミナをつけたい!」という気持ちは非常によくわかります。しかし、疲労回復の観点から見ると、飽和脂肪酸たっぷりの食事は必ずしもベストな選択ではありません。
1. 消化への負担と翌日のパフォーマンス
飽和脂肪酸(特に動物性脂肪)は、消化吸収に時間がかかります。胃腸に長時間留まるため、夜遅くに脂っこい食事を摂ると、睡眠中も内臓が働き続けることになり、睡眠の質が低下します。良質な睡眠がとれないと、筋肉の修復や疲労物質の除去が遅れ、翌日の現場での集中力低下やケガのリスクにつながります。
2. 炎症とリカバリー
激しい肉体労働をした後の体は、筋肉などで微細な炎症が起きている状態です。飽和脂肪酸やオメガ6系脂肪酸(サラダ油など)の過剰摂取は、体内の炎症反応を促進させる可能性があります。これに対し、魚の油(オメガ3系脂肪酸)には抗炎症作用があり、筋肉の炎症を抑え、リカバリーを早める効果が期待できます。
「スタミナ=肉の脂」ではなく、「リカバリー=魚の油」という意識を持つことが、長く現役を続ける秘訣です。
3. 現場でのおすすめの食事選び
コンビニや弁当屋での選択肢を少し変えるだけで、飽和脂肪酸の摂取量は劇的に減らせます。
現場での活力は、一時の満腹感ではなく、スムーズに流れる血液と酸素によって支えられています。毎食完璧にする必要はありませんが、「昨日は脂っこいものを食べたから、今日は魚にしよう」といった少しの調整が、数年後のあなたの健康とキャリアを守ることになります。
参考リンク:厚生労働省e-ヘルスネット「不飽和脂肪酸」 - 体に良い脂質の働きについて詳しく学べます。

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