
iv線のサイズ選定において最も重要なのが許容電流値の理解です。周囲温度30℃を基準とした許容電流値表を正確に読み取ることで、安全な配線設計が可能になります。
iv線の許容電流値は断面積(sq)によって決まります。代表的なサイズの許容電流値は以下の通りです。
ただし、これらの数値は単独配線時の値であり、同一管路内に複数本収納する場合は低減率を適用する必要があります。例えば、同一管内に3本以下の場合は約70%に、4本の場合は約60%に低減されます。
金属加工現場では高温環境での使用も多いため、周囲温度が30℃を超える場合の補正も重要です。40℃環境では0.82倍、50℃環境では0.58倍の補正係数を適用します。
iv線には単線タイプとより線タイプが存在し、それぞれ異なる特性を持っています。適切な使い分けが配線工事の品質と作業効率に大きく影響します。
単線iv線の特徴
より線iv線の特徴
同じ2.0sqでも単線は「IV2.0mm(1/2.0)」、より線は「IV2.0sq(7/0.6)」と表記が異なります。単線は導体径をmm、より線は断面積をsqで表示する点に注意が必要です。
金属加工機械では振動や熱膨張による配線への負荷が大きいため、可動部分にはより線タイプを選択することが故障防止の鍵となります。
iv線のサイズ選定では断面積だけでなく、仕上外径の確認も重要です。特に既設配管への追加配線や機器への接続時には、仕上外径が納まりを左右します。
主要メーカー(フジクラ、HST、矢崎)の仕上外径は統一されており、サイズ別の仕上外径は以下の通りです。
サイズ | 仕上外径 | 用途例 |
---|---|---|
1.25sq | 3.0mm | 制御回路 |
2.0sq | 3.4mm | 小型モーター |
3.5sq | 4.0mm | 中型機器 |
5.5sq | 5.0mm | 大型機器 |
8sq | 6.0mm | 主回路 |
14sq | 7.6mm | 高容量回路 |
22sq | 9.2mm | 動力配線 |
現場での簡易判別方法として、既存の電線と比較することで概算サイズを把握できます。ただし、正確なサイズ確認には電線の印字表示を確認することが確実です。
配管サイズとの適合性も重要で、配管内の占積率は40%以下に抑える必要があります。例えば内径16mmの配管では、外径6.4mm相当までの電線が適用可能です。
実際の配線設計では、計算上の必要電流値に対して適切な安全率を見込んだサイズ選定が重要です。金属加工現場特有の環境条件を考慮した安全率の算出方法を解説します。
基本安全率の設定
通常の安全率は1.25倍(25%増し)ですが、金属加工現場では以下の追加要因を考慮します。
例えば、20Aの負荷に対する実際の選定電流は。
20A × 1.25 × 1.20 × 1.15 × 1.10 = 38.3A
この場合、許容電流49Aの5.5sqが適切な選択となります。
温度上昇の実測による検証
配線完了後は赤外線温度計による実測確認を推奨します。電線表面温度が周囲温度+15℃を超える場合は、上位サイズへの変更を検討すべきです。
この計算方法により、長期間安定した電気供給が可能になり、設備の信頼性向上に直結します。
iv線のサイズによって配線工事時の注意点が異なります。適切な工法選択により、工事品質の向上と作業効率化を両立できます。
小サイズ(1.25〜3.5sq)の注意点
中サイズ(5.5〜14sq)の注意点
大サイズ(22sq以上)の注意点
金属加工現場では切削粉による汚染も考慮し、電線保護管の使用と定期清掃が欠かせません。特に20sq以上の大容量配線では、短絡時の アーク放電による被害拡大防止のため、適切な離隔距離の確保が重要です。
また、iv線は屋内配線用のため、屋外や湿潤環境では上位規格のケーブルへの変更が必要です。工場内でも水溶性切削液を使用するエリアでは、耐水性の高いケーブルタイプの選択を検討すべきです。