iv線サイズ選定と許容電流値表完全ガイド

iv線サイズ選定と許容電流値表完全ガイド

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iv線サイズ選定基準

iv線サイズ選定のポイント
許容電流値の確認

負荷電流に対して適切な余裕を持ったサイズ選定が安全の基本

📏
仕上外径の把握

配管や機器への納まりを考慮したサイズ選定が重要

🔧
用途別の使い分け

単線・より線の特性を理解した適切な線種選択

iv線サイズ許容電流値表の正しい見方

iv線のサイズ選定において最も重要なのが許容電流値の理解です。周囲温度30℃を基準とした許容電流値表を正確に読み取ることで、安全な配線設計が可能になります。

 

iv線の許容電流値は断面積(sq)によって決まります。代表的なサイズの許容電流値は以下の通りです。

  • 1.25sq: 19A
  • 2.0sq: 27A
  • 3.5sq: 37A
  • 5.5sq: 49A
  • 8sq: 61A
  • 14sq: 88A
  • 22sq: 115A

ただし、これらの数値は単独配線時の値であり、同一管路内に複数本収納する場合は低減率を適用する必要があります。例えば、同一管内に3本以下の場合は約70%に、4本の場合は約60%に低減されます。

 

金属加工現場では高温環境での使用も多いため、周囲温度が30℃を超える場合の補正も重要です。40℃環境では0.82倍、50℃環境では0.58倍の補正係数を適用します。

 

iv線単線とより線の使い分け方法

iv線には単線タイプとより線タイプが存在し、それぞれ異なる特性を持っています。適切な使い分けが配線工事の品質と作業効率に大きく影響します。

 

単線iv線の特徴

  • 導体が1本の銅線で構成
  • 配管内での引き回しが容易
  • 端子への接続が簡単
  • 曲げに対する疲労に弱い
  • 主に固定配線に使用

より線iv線の特徴

  • 細い銅線を複数本撚り合わせた構成
  • 柔軟性に優れ曲げに強い
  • 振動がある環境に適している
  • 端子接続時にバラけやすい
  • 可動部分の配線に最適

同じ2.0sqでも単線は「IV2.0mm(1/2.0)」、より線は「IV2.0sq(7/0.6)」と表記が異なります。単線は導体径をmm、より線は断面積をsqで表示する点に注意が必要です。

 

金属加工機械では振動や熱膨張による配線への負荷が大きいため、可動部分にはより線タイプを選択することが故障防止の鍵となります。

 

iv線仕上外径によるサイズ判別法

iv線のサイズ選定では断面積だけでなく、仕上外径の確認も重要です。特に既設配管への追加配線や機器への接続時には、仕上外径が納まりを左右します。

 

主要メーカー(フジクラ、HST、矢崎)の仕上外径は統一されており、サイズ別の仕上外径は以下の通りです。

サイズ 仕上外径 用途例
1.25sq 3.0mm 制御回路
2.0sq 3.4mm 小型モーター
3.5sq 4.0mm 中型機器
5.5sq 5.0mm 大型機器
8sq 6.0mm 主回路
14sq 7.6mm 高容量回路
22sq 9.2mm 動力配線

現場での簡易判別方法として、既存の電線と比較することで概算サイズを把握できます。ただし、正確なサイズ確認には電線の印字表示を確認することが確実です。

 

配管サイズとの適合性も重要で、配管内の占積率は40%以下に抑える必要があります。例えば内径16mmの配管では、外径6.4mm相当までの電線が適用可能です。

 

iv線サイズ選定時の安全率計算方法

実際の配線設計では、計算上の必要電流値に対して適切な安全率を見込んだサイズ選定が重要です。金属加工現場特有の環境条件を考慮した安全率の算出方法を解説します。

 

基本安全率の設定
通常の安全率は1.25倍(25%増し)ですが、金属加工現場では以下の追加要因を考慮します。

  • 高温環境補正: +20%(切削油ミストや発熱機器の影響)
  • 振動環境補正: +15%(加工機械の振動による接触抵抗増加)
  • 将来増設余裕: +10%(設備拡張時の対応)

例えば、20Aの負荷に対する実際の選定電流は。
20A × 1.25 × 1.20 × 1.15 × 1.10 = 38.3A
この場合、許容電流49Aの5.5sqが適切な選択となります。

 

温度上昇の実測による検証
配線完了後は赤外線温度計による実測確認を推奨します。電線表面温度が周囲温度+15℃を超える場合は、上位サイズへの変更を検討すべきです。

 

この計算方法により、長期間安定した電気供給が可能になり、設備の信頼性向上に直結します。

 

iv線サイズ別配線工事での注意点

iv線のサイズによって配線工事時の注意点が異なります。適切な工法選択により、工事品質の向上と作業効率化を両立できます。

 

小サイズ(1.25〜3.5sq)の注意点

  • 細線のため断線リスクが高い
  • 端子台接続時の締付けトルク管理が重要
  • 配管内での他線との絡まり防止
  • 制御盤内での識別表示の徹底

中サイズ(5.5〜14sq)の注意点

  • 曲げ半径の確保(外径の6倍以上)
  • 重量による垂れ下がり対策
  • 中継端子台の容量確認
  • 配管への通線時の潤滑剤使用

大サイズ(22sq以上)の注意点

  • 専用工具による圧着端子加工
  • 支持間隔の短縮(1m以下推奨)
  • 熱膨張による配線の弛み調整
  • 分岐部での応力集中回避

金属加工現場では切削粉による汚染も考慮し、電線保護管の使用と定期清掃が欠かせません。特に20sq以上の大容量配線では、短絡時の アーク放電による被害拡大防止のため、適切な離隔距離の確保が重要です。

 

また、iv線は屋内配線用のため、屋外や湿潤環境では上位規格のケーブルへの変更が必要です。工場内でも水溶性切削液を使用するエリアでは、耐水性の高いケーブルタイプの選択を検討すべきです。