

家庭用品品質表示法は「一般消費者が製品の品質を正しく認識」できるよう、事業者に適正な表示を求める目的で制定され、対象品目や表示事項は見直され得る制度です。
実務の第一歩は、「対象外っぽい」かどうかの印象で判断せず、対象品目一覧で“そもそも対象に入っているか”を確認することです。
東京都の整理では、家庭用品品質表示法の対象は「93品目」とされ、繊維製品(38品目)・合成樹脂加工品(8品目)・電気機械器具(17品目)・雑貨工業品(30品目)という区分で示されています。
建築現場で混乱が起きやすいのは、同じ部材名でも「最終的に一般消費者が手に取る形で流通する商品」なのか、「施工の一部として納入される資材」なのかが、流通形態で変わる点です。
たとえば、引渡し後に施主が“家庭で使う”ことが前提の清掃用品・雑貨類をセットで納品する場合、対象品目に該当するかどうかの確認は避けられません。
参考)対象品目一覧
逆に、対象品目一覧にそもそも載っていないカテゴリの資材であれば、家庭用品品質表示法の文脈では「対象外」側に整理しやすくなります(ただし別法令の表示義務は別途検討が必要です)。
参考:制度の目的(制度概要の確認)
経済産業省:家庭用品品質表示法の制度概要(目的と見直し方針の位置づけ)
参考:対象品目の全体像(93品目・区分)
東京くらしWEB:家庭用品品質表示法の対象品目一覧(93品目の区分)
「対象外=表示が一切いらない」と短絡しやすいのですが、家庭用品品質表示法の対象外でも、現場の説明責任や別のルールで“表示相当の情報提供”が求められることがあります。
ここでいう境界は、(1) 家庭用品品質表示法としての表示義務があるか、(2) 取引・安全・化学物質など別領域の要請があるか、を分けて考えるのがコツです。
意外と効くチェック観点は「誰が、どこで、何のために使う前提で設計・流通しているか」です。
厚生労働省のQ&Aでは、家庭用品品質表示法に基づく表示がなされている製品等は、一定のラベル表示やSDS交付義務の対象から除外される趣旨が示されており、ここでも“消費者が家庭等で私的に使用する目的”かどうかが判断軸として登場します。
参考)化学物質対策に関するQ&A(ラベル・SDS関係)|厚生労働省
つまり、同じような製品でも「業務に使用することが想定されている」ものは、扱いが変わり得るという発想が、境界整理に役立ちます。
建築従事者の実務に落とすと、見積・仕様の段階で「一般消費者向け商品(対象品目に該当しうる)」と「業務用資材(対象外に寄りやすい)」が混在しがちです。
そのため、納入先が現場でも“完成後に施主が家庭で使うことが前提の付属品”は、対象品目一覧に当てて一度棚卸しするのが安全です。
「業務用を目的とした製品については、家庭用品品質表示法の対象外」と明記するガイドもあり、少なくとも実務上は“業務用”が対象外の大きな手がかりとして扱われています。
ただし、業務用かどうかはラベルの文言だけでなく、販売形態・カタログ表記・納入のされ方(例:現場一括納品、法人向け専用品番)など総合で見られるため、形式だけ「業務用」と書いても説明が破綻することがあります。
建築の現場で起きる典型パターンは次の通りです。
この場合、「家庭用品品質表示法の対象外だからOK」ではなく、対象品目に該当する可能性があるかを再確認し、該当するなら表示の整備を検討する流れが合理的です。
該当しない(=対象品目一覧にない)なら、家庭用品品質表示法とは別の観点で、現場の安全・維持管理に必要な情報(使用条件、交換周期、保管方法など)を整備した方が、結果としてトラブルが減ります。
対象品目一覧は「対象は93品目」としつつ、表示事項の詳細はハンドブック(PDF)で確認する導線になっています。
この“一覧→詳細”の2段構えが曲者で、一覧で品目名が似ているだけで早合点し、詳細の除外条件・例外条件を読み落として事故ることがあります。
たとえば繊維製品では、品目ごとに表示事項(組成、取扱い方法、はっ水性など)が整理されている解説があり、同じ「衣料品等」でも条件によって扱いが変わる構造が見て取れます。
参考)対象品目一覧表 - 一般財団法人ボーケン品質評価機構
建築従事者の領域だと、カーテン・カバー類・タオル類など、現場引渡しセットに紛れ込みやすい繊維製品が想定以上に“家庭用品”として強く扱われることがあるため、雑に「資材扱い」で流すのは危険です。
また、対象外を狙って「別カテゴリだから大丈夫」と判断しても、商品名や販促表現が家庭向け(一般消費者向け)に寄っていると、取引先や消費者対応の場面で説明が苦しくなります。
このため、対象品目一覧に該当しそうなものは、(1) 品目該当性、(2) 表示事項の必要範囲、(3) 表示責任者(輸入者・販売者含む)の3点セットで確認する運用が現場向きです。
検索上位の記事は「対象品目」「表示義務」「タグの書き方」に寄りがちですが、建築従事者が本当に困るのは“現場の引渡し形態”に起因するグレーゾーンです。
ポイントは、家庭用品品質表示法そのものの知識よりも、引渡し後に施主が触る「家庭用品っぽいもの」が現場に流れ込む経路を、設計・調達の段階で断つことです。
実務で効く運用は次の通りです。
さらに意外な落とし穴として、「家庭用品品質表示法に基づく表示がなされている製品」等は、別制度(化学物質のラベル・SDS)側で除外の考え方が示されているため、現場の安全衛生書類の整合にも影響します。
つまり、表示を軽視すると“家庭用品品質表示法の問題”にとどまらず、現場の書類体系(SDS、注意喚起、納入仕様)とのズレとして二次被害が出ることがあります。
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参考:対象品目の実数・区分(繊維/樹脂/電気/雑貨)
東京くらしWEB:対象品目一覧(家庭用品品質表示法の対象は93品目)
参考:制度の目的(消費者が品質を正しく認識するため)
経済産業省:家庭用品品質表示法の制度概要
参考:家庭用品とラベル・SDS除外の考え方(“家庭で私的に使用”の軸)
厚生労働省:化学物質対策Q&A(ラベル・SDS関係)