高層建築物 構造計算の基準とルート別設計手法徹底解説

高層建築物 構造計算の基準とルート別設計手法徹底解説

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高層建築物 構造計算の基準とルート

高層建築物 構造計算の基準とルート
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高層建築物 構造計算の法的枠組みと区分

高層建築物の構造計算は、建築基準法に基づき建物の規模や構造形式ごとに明確な区分が設けられています。
1号(超高層建築物:高さ60m超)は時刻歴応答解析が必須で、2号(大規模建築物)、3号(中規模建築物)、4号(小規模建築物)と区分されます。
超高層建築物(60m超)は耐久性や地震時の挙動を詳細に解析するため、最も高度な構造計算が求められます。
大規模・中規模建築物は許容応力度計算や保有水平耐力計算など、建物の特性に応じたルートが選択されます[6][12]。

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構造計算ルート1〜3の特徴と適用条件

構造計算の「ルート」は、建物の規模や構造形式により選択されます。
ルート1:小規模建築物向け。RC造は20m以下、鉄骨造は13m以下など、壁量や柱量の規定を満たせば二次設計不要。
ルート2:中規模〜中高層建築物向け。層間変形角、剛性率、偏心率などを詳細に計算。
ルート3:高さ31m超や特殊形状の高層建築物向け。保有水平耐力計算や弾塑性解析が必要で、地震時のエネルギー吸収能力(Ds係数)も評価対象[4][5][12]。
ルート選択は建物の高さ、階数、構造種別、延べ面積、偏心率などで決まります[9]。

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高層建築物 構造計算の実務フローとポイント

構造計算の実務は「一次設計」と「二次設計」に大別されます。一次設計では長期・短期荷重に対する部材の応力度を評価し、二次設計では大地震時の倒壊防止を検討します。
高層建築物では、地震力・風圧・積雪荷重など多様な外力を考慮し、層間変形角や保有水平耐力の確認が必須です。
解析には弾塑性立体解析や時刻歴応答解析など高度な手法が用いられ、地盤特性や建物形状の影響も詳細に検討されます[2][4][12]。
計算結果は第三者機関による構造計算適合性判定を受ける必要があり、審査の厳格化が進んでいます[3][7]。

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高層建築物 構造計算の知られざる工夫と最新動向

近年の高層建築物では、地震動予測の高度化や、マイクロゾーニング(細分化地盤評価)による設計用地震動の精緻化が進んでいます。
免震・制振技術の導入や、AI・BIMを活用した構造解析も増加。
また、2025年法改正により木造高層建築物の構造計算対象が拡大し、合理化された新ルート(ルート1-3など)が創設されるなど、設計自由度と安全性の両立が求められています[5][10]。

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高層建築物 構造計算における独自の現場ノウハウと課題

現場では、設計図と構造計算書の整合性確保や、施工段階での設計変更対応が重要な課題です。
特に高層建築物では、施工時の仮設構造計算や、地震後の健全性評価など、設計外の構造検討も必要とされます。
また、構造計算ソフトのバージョン管理や、最新法令・告示への迅速な対応、構造設計者間の情報共有も現場力向上のカギとなっています。
こうした現場ノウハウの蓄積が、設計品質と安全性の両立を支えています。

参考。
・川崎市「建築構造設計基準」では、保有水平耐力計算の詳細や地震入力補正係数の考え方がまとめられており、RC造構造計算フローも図示されています(実務での詳細な計算方法や係数設定の参考に有用)。

 

川崎市 建築構造設計基準(RC造の構造計算フロー等)