

健康診断で「尿酸値」を指摘されたとき、多くの男性が気にするのはその数値の意味です。医学的に、**尿酸値の正常値(基準値)は男女ともに「7.0mg/dL以下」**と定められています。この7.0mg/dLというラインを超えると、血液中に尿酸が溶けきれずに結晶化し始め、「高尿酸血症」と診断されます。
参考)血清尿酸値の正常値は? | 公益財団法人 痛風・尿酸財団
特に男性は女性に比べて尿酸値が高くなりやすい傾向があります。これは、女性ホルモンに尿酸の排出を促す働きがあるためですが、男性にはその保護がないからです。実際、30代〜50代の働き盛りの男性の多くが、基準値ギリギリかそれ以上の数値を持っています。
参考)http://www.oita-h-cuc.jp/nenpou/R3/R3_18.pdf
数値が高い状態を放置すると、ある日突然、関節に激痛が走る「痛風発作」に襲われるリスクが高まります。痛風発作は「風が吹いても痛い」と表現されるほどの激痛で、一度発症すると歩行すら困難になります。さらに恐ろしいのは、高尿酸血症が腎臓病や尿路結石、動脈硬化といった全身の病気を引き起こす引き金になることです。まずは自分の数値が「7.0」を超えていないかを確認し、超えている場合は生活習慣の見直しが必要です。
参考)痛風だけでない、全身にかかわる 『高尿酸血症』
参考リンク:
公益財団法人 痛風・尿酸財団:尿酸値の正常値や高尿酸血症の定義について詳しく解説されています。
「毎日現場で汗をかいて体を動かしているから健康だ」と思っていませんか?実は、建設業などの激しい肉体労働そのものが尿酸値を上げる原因になることがあります。これには「乳酸」と「脱水」という2つのメカニズムが関係しています。
まず、現場での資材運搬などの強度の高い運動(無酸素運動)を行うと、エネルギー消費に伴って体内で「プリン体」が分解され、尿酸が作られます。さらに、筋肉が疲労して「乳酸」が発生すると、この乳酸が腎臓での尿酸の排出を邪魔してしまいます。つまり、一生懸命働けば働くほど、体内で尿酸が作られやすく、かつ体外に出にくくなるという悪循環に陥りやすいのです。
参考)教えて!尿酸値先生|株式会社 明治 - Meiji Co.,…
加えて、夏場の現場作業などによる大量の発汗も危険です。汗をかくと体内の水分が失われ、血液が濃縮されるため、結果として血中の尿酸値が上昇します。汗からは水分やミネラルは出ますが、尿酸はほとんど排出されません。建設現場では、朝の作業開始前に500ml程度の水分を摂る「プレハイドレーション」を行い、作業中もこまめに水を飲むことが、尿酸値の上昇を防ぐ重要な鍵となります。
参考)建設現場の夏を乗り切る!作業員のための最適な水分
参考リンク:
建設現場の水分補給:作業員の脱水リスクと効果的な水分摂取方法について解説されています。
熱中症対策として、現場でスポーツドリンクやエナジードリンクを常飲している方は注意が必要です。これらの飲み物には、実は尿酸値を上げる大きな落とし穴があります。
現場での水分補給の基本は「水」や「麦茶」にしましょう。水は1日2リットル以上飲むことで、尿酸を尿と一緒に洗い流す効果が期待できます。スポーツドリンクを飲む場合は、水で薄めるか、経口補水液のように糖分濃度が調整されたものを選び、常飲ではなく大量発汗時のみにするなどの使い分けが賢明です。最近では、尿酸値の上昇を抑える乳酸菌入りのヨーグルトドリンクなども販売されているので、休憩時間に取り入れてみるのも一つの手です。
参考)尿酸値を下げる食べ物 一覧|板橋区のNOBUヘルシーライフ内…
参考リンク:
教えて!尿酸値先生:運動や飲み物が尿酸値に与える影響について専門家が回答しています。
現場仕事のランチや夕食でコンビニを利用することは多いと思いますが、選び方ひとつで尿酸値対策が可能です。基本戦略は「プリン体の多いものを避け、尿酸排出を助けるものを足す(ちょい足し)」ことです。
避けるべきコンビニ食(プリン体・脂質過多):
選ぶべき・ちょい足しすべき食べ物:
「唐揚げ弁当」を選ぶなら、一緒に「海藻サラダ」と「お茶」を買う。これだけでもリスクは下がります。極端な食事制限は続きませんが、プラス一品の工夫なら現場でも実践できるはずです。
参考リンク:
コンビニ食のちょい足しメニュー:高尿酸血症の方に向けた具体的なコンビニ食品の選び方が紹介されています。
建設業ならではの恐怖として知っておきたいのが、「安全靴」と痛風発作の関係です。安全靴は足先を保護するために鉄板や樹脂の先芯が入っており、構造的に通常の靴よりも硬く、伸縮性がありません。
参考)https://anzen-shoes.com/2025/08/12/0001/
もし現場で痛風発作が起きたらどうなるでしょうか?痛風は足の親指の付け根や足の甲に発症することが最も多いです。発作時は「風が当たるだけで痛い」状態になりますが、そこで硬い安全靴を履いて作業を続けることは、まさに地獄のような苦しみとなります。足が腫れ上がって安全靴に足が入らなくなり、結果として現場に出られず仕事を休まざるを得なくなるケースも少なくありません。
参考)痛風が影響を与える主な部位とその対策
薬に頼らない生活習慣の防衛ライン:
「数値が高いだけだから痛くないし大丈夫」という油断が一番の敵です。安全靴を履いて現場に立ち続けるためにも、毎日の水分補給とコンビニでの小さな選択から始めてみてください。