オウム病 衛生管理 建築現場 鳥糞対策と感染防止策

オウム病はクラミジア・シッタシ（Chlamydia psittaci）という細菌による人獣共通感染症で、主に鳥類の糞や分泌物を介して人に感染する。建築現場では、外壁や屋根、換気設備などに付着した鳥の糞が乾燥し、作業時に粉塵として舞い上がることで吸入感染のリスクが高まる。特にハトやカラスが多い都市部の現場や、長期間清掃されていない施設改修時には注意が必要。感染すると高熱、頭痛、倦怠感、咳、肺炎などの症状が現れ、高齢者や免疫力の低い作業員は重症化しやすい[2][3][4]。

鳥糞を放置すると建物の美観や資産価値の低下だけでなく、オウム病やクリプトコッカス症などの感染症リスクが増加する。衛生管理の基本は、定期的な点検と速やかな清掃。乾燥した糞は粉塵化しやすいため、清掃時は必ずマスク（N95推奨）、手袋、長袖作業着を着用し、作業後は手洗い・うがいを徹底する。清掃は水を使って湿らせてから行い、糞の飛散を防ぐ。集塵機やHEPAフィルター付き掃除機の利用も有効。清掃後は消毒剤（次亜塩素酸ナトリウムなど）で表面を消毒し、廃棄物は密閉して処分する[1][7]。

過去には展示施設や会社敷地内でのハト糞清掃作業中にオウム病の集団感染が発生した事例がある。集団感染の背景には、衛生教育不足、マスクや手袋の未着用、鳥類の検疫・個体識別の不徹底などが共通している。厚生労働省は「小鳥のオウム病対策の徹底」通知を発出し、施設管理者や作業員への衛生教育、感染症発生時の早期通報、感染源となる鳥類の隔離・治療、施設の消毒などを義務付けている。感染症法や労働安全衛生法に基づき、現場責任者は感染リスク評価と対策を計画的に実施する必要がある[3][4][5]。

建築現場では、鳥の侵入・営巣防止のためにネットやスパイク設置、定期的な点検・清掃ルートの明確化、作業員への衛生教育マニュアルの導入が有効。特に換気ダクトや屋上、未使用スペースは鳥の営巣が多いため、着工前点検で糞害をチェックし、必要に応じて専門業者と連携する。現場ごとに感染症対策責任者を置き、感染リスクが高い作業には事前に注意喚起と装備チェックを徹底。作業日誌に清掃・消毒履歴を記録し、感染疑い時は速やかに医療機関と連携する体制づくりが重要。鳥糞の多い現場では定期的な健康診断や抗体検査も検討できる。

オウム病や鳥糞衛生管理の最新情報は、厚生労働省や国立感染症研究所のウェブサイトで随時公開されている。自治体の保健所や労働基準監督署も、現場での感染症対策や衛生管理の相談窓口となる。感染症発生時は速やかに保健所へ報告し、行政指導を受けることで、現場の安全確保と拡大防止につながる。衛生管理マニュアルや教育資料も各自治体で配布されているので、積極的に活用したい。