

建築現場で汗を流す皆さん、毎日の食事をどのように選んでいますか。早朝の現場入り前にコンビニでおにぎりを買い、昼食は手軽なカップ麺や弁当、休憩時には缶コーヒーで一服、というルーティンが定着していないでしょうか。実は、その何気ない食事の中に、建築従事者にとって無視できない「リン酸塩」のリスクが潜んでいます。
リン酸塩は、食品の結着力を高めたり、色を鮮やかに保ったりするために使われる非常に便利な食品添加物です 。ハムやソーセージのプリプリとした食感、変色しない鮮やかなおにぎりの具材、ふわふわのパン。これらは多くの場合、リン酸塩の働きによるものです 。
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しかし、便利さの代償として、リン酸塩の過剰摂取は私たちの体に深刻な「危険性」をもたらします。特に体力と体が資本である建築・建設業の方にとって、骨が脆くなることや血管が老化することは、仕事のパフォーマンスだけでなく、選手生命そのものを縮めることになりかねません。ここでは、現場で働く皆さんが知らず知らずのうちに摂取しているリン酸塩の正体と、その具体的な危険性について深掘りしていきます。
現代の食生活において、リン酸塩を完全に避けることは困難ですが、特に注意が必要なのが加工食品への依存です。コンビニ弁当、インスタントラーメン、練り物(ちくわ、かまぼこ)、プロセスチーズ、そして清涼飲料水など、現場飯の定番とも言える食品には、添加物としてのリン酸塩が多く含まれている可能性があります 。
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リン(Phosphorus)自体は、本来私たちの体に必要なミネラルであり、骨や歯を形成したり、細胞膜を作ったりする重要な役割を持っています 。しかし、問題なのは「無機リン」と呼ばれる食品添加物のリン酸塩です。肉や魚、豆類にもともと含まれる「有機リン」は、体内での吸収率が40〜60%程度にとどまり、不要な分は排出されやすい性質があります 。一方で、添加物として使われる「無機リン(リン酸塩)」は水溶性で吸収率が非常に高く、90%以上が体内に取り込まれてしまうと言われています 。
参考)リンの働きと1日の摂取量
現代食の危険性 | リンの過剰摂取 - imok Academy(有機リンと無機リンの吸収率の違いについて解説)
現場で手軽に済ませる食事が続くと、知らず知らずのうちに吸収率の高い無機リンを大量に摂取することになり、血中のリン濃度が急上昇します。これが体内のミネラルバランスを崩す引き金となるのです。
建築現場での作業は、常に危険と隣り合わせであり、強靭な肉体が求められます。しかし、リン酸塩の過剰摂取は、まさにその肉体の「骨組み」を弱くしてしまう危険性があります。
血液中のリン濃度が高くなると、体は恒常性を保とうとして、骨の中に蓄えられているカルシウムを血液中に溶かし出す働きをします 。これは、カルシウムとリンが結合してバランスを取ろうとする化学的な反応によるものです。つまり、リン酸塩を摂りすぎると、せっかく食事でカルシウムを摂っていても、骨からカルシウムが奪われ続け、骨密度が低下し、骨がスカスカになるリスクが高まるのです 。高所作業や重量物を扱う現場において、わずかな衝撃で骨折してしまうような事態は、職人としてのキャリアに関わります。
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さらに、骨から溶け出した余分なカルシウムは、血管の壁に付着して石灰化を引き起こすことがあります 。これを「血管の石灰化」と呼び、血管が硬く脆くなる動脈硬化の原因となります。血管が老化すれば、高血圧や脳卒中、心筋梗塞のリスクも跳ね上がります 。現場での急な体調不良や脳血管疾患による事故を防ぐためにも、血管の健康維持は不可欠です。
参考)脳を守るなら知っておきたい添加物と脳卒中リスクの関係
脳を守るなら知っておきたい添加物と脳卒中リスクの関係 - NeurotechJP(リン酸塩と血管老化、脳卒中リスクの関連性)
「成分表示を見て、リン酸塩と書いてあるものを避ければいい」と思われるかもしれませんが、ここに大きな落とし穴があります。日本の食品表示法では、物質名そのものではなく、使用する「目的」を一括して表示することが認められている場合があるためです 。
例えば、コンビニのおにぎりや弁当によく見られる「pH調整剤」という表記。この中には、リン酸塩が含まれていることが非常に多いのですが、消費者はそれを知る由もありません 。また、「酸味料」「乳化剤」「イーストフード」「かんすい」「膨張剤」といった表記の背後にも、リン酸塩が隠れているケースが多々あります 。
このように、成分表に「リン酸塩」という文字がなくても、加工食品を食べている限り、回避するのは非常に困難な構造になっています。特に「pH調整剤」は日持ちを良くするために多くの惣菜に使われており、夏場の現場などでお弁当の傷みを防ぐために必要不可欠とされていますが、その裏には摂取過多のリスクがあることを認識しておく必要があります。
【危険な食品添加物一覧表】 - OurAge(一括表示に隠された添加物の詳細な解説)
リン酸塩の過剰摂取が最も直接的なダメージを与える臓器の一つが「腎臓」です。腎臓は、体内の老廃物をろ過し、余分なリンを尿として排出する役割を担っています。しかし、加工食品によって大量の無機リンが体内に送り込まれると、腎臓はフル稼働で処理を続けなければならず、大きな負担がかかります 。
この状態が長期間続くと、腎臓のろ過機能が徐々に低下し、リンを十分に排出できなくなります。すると血中のリン濃度がさらに高まり、骨からのカルシウム流出や血管の石灰化が悪化するという悪循環(負のスパイラル)に陥ります 。腎機能が極端に低下すれば、最終的には人工透析が必要になるケースもあります。
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特に現場仕事では、発汗によって体内の水分が失われやすく、腎臓への血流が減少して負担がかかりやすい環境にあります。そこにリン酸塩の過剰摂取が重なれば、腎臓へのダメージは計り知れません。「最近疲れが取れない」「むくみがひどい」といった症状は、腎臓からのSOSかもしれません。
ここまでリン酸塩の怖さをお伝えしましたが、現実的に全ての加工食品を避けるのは、忙しい現場仕事では不可能です。重要なのは「減らす意識」と「排出を助ける工夫」です。
まず、コンビニで食事を選ぶ際は、以下のポイントを意識してください。
とくに食品添加物が多い食品10種類 - アイチョイス(添加物を避ける具体的な選び方の参考)
仕事終わりの一杯や、空腹を満たすガッツリ飯は格別ですが、その一口が明日の自分の体を作ります。長く現役で活躍し続けるためにも、リン酸塩という「見えない負担」を少しずつ減らしていく選択を始めてみてはいかがでしょうか。