せっ器とタイルと磁器質と陶器質

せっ器とタイルと磁器質と陶器質

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せっ器とタイル

せっ器とタイルで押さえる要点
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分類は「吸水率」が核

旧表記(せっ器質など)と新JISの区分(Ⅱ類など)が混在するため、まず吸水率の数値で読み替えるのが安全。

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外装・床は低吸水が基本

雨・凍結・摩耗の影響を受ける部位ほど、せっ器質・磁器質のような低吸水の素地が選ばれやすい。

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カタログ表記のズレに注意

メーカーや資料によっては旧分類名を残しているので、現場では「旧分類⇄新分類」を行き来できる知識が必要。

せっ器の定義と磁器質と陶器質の違い

せっ器(炻器)は、陶器と磁器の「中間的」性質として説明されることが多く、不透明で打音は濁りやすい一方、素地が緻密で吸水しにくい点が重要です。
建築の現場で「せっ器」という語が出てきた場合、食器など工芸領域の炻器を指すこともありますが、タイル文脈では「せっ器質タイル(Ⅱ類相当)」のニュアンスで使われることが多いので、まず用途(外装・床・内装)と要求性能をセットで確認します。
見分けを急ぐときは、仕様書やカタログの「吸水率」「用途区分(外部壁・床など)」「表記(Ⅱ類/せっ器質)」の3点を同時に見て、言葉より数値と適用部位で判断するとブレが減ります。

せっ器質タイルとⅡ類の吸水率とJIS改正

タイルの素地分類は旧JISで「磁器質・せっ器質・陶器質」という言い方が一般的でしたが、JIS改正後はⅠ類・Ⅱ類・Ⅲ類のような区分に移行し、資料やメーカーによって表記が混在しています。
旧分類と新分類の読み替え例として、磁器質(旧:自然吸水率1.0%以下)→Ⅰ類(新:強制吸水率3.0%以下)、せっ器質(旧:5.0%以下)→Ⅱ類(新:10.0%以下)、陶器質(旧:22.0%以下)→Ⅲ類(新:50.0%以下)が示されています。
ここでの実務的なポイントは「旧表記の“せっ器質”=低吸水で外部にも使える“だいたい安心枠”」と短絡せず、必ず当該製品の試験値(吸水率)と適用範囲(外壁可否、床可否、耐凍害の扱い)を確認することです。
せっ器質タイル(Ⅱ類)参考:旧分類⇄新分類(吸水率の読み替え)
https://kenzai-digest.com/artmozaictile/

せっ器質タイルの外装と床の使い分け

外装タイルは雨風や日射の影響を受けるため、高強度で吸水率が低く、耐候性・耐久性に優れる磁器質およびせっ器質が用いられる、と整理されています。
床タイルは耐摩耗が要求されるため、磁器質およびせっ器質が用いられる、という説明もあり、外装と同じく「水と摩耗」が選定理由の中心になります。
一方で、内装タイルは一般に陶器質が多いとされつつ、寒冷地の凍害防止など条件によっては磁器質またはせっ器質を採用する、という整理もあるため、「部位」だけでなく「地域条件(寒冷地)」や「水回り」まで含めた要求性能で最終判断するのが現場向きです。

せっ器と成形と釉薬の現場チェック

せっ器質タイルは「粘土・長石などを約1,200度前後で焼いたタイル」「吸水率は10%以下」「外部壁・床に使用される」といった特徴で説明され、磁器質ほどの緻密さ・低吸水ではないが、外部に回せる強度レンジとして語られます。
同じ“せっ器質”でも、釉薬の有無(施釉/無釉)や表面テクスチャは、滑りや清掃性、汚れの見え方に直結するため、外部床では特に「雨天時のすべり」「土砂汚れの残り方」を想定してサンプルで確認するのが堅い進め方です。
また、タイルは材質だけでなく「表面の質感・サイズ・形・デザイン・色」などの要素で推奨部位が変わる、というメーカー側の整理もあるため、材質(せっ器質)だけで一発決めせず、部位条件と仕上げ意図を同時に詰めるのが失敗しにくいです。

せっ器の独自視点:打音と吸水の誤解を減らす

せっ器を含むやきものの分類では「打音」を比較指標として挙げ、ただし音は器の厚みや口径によっても変化するため一例として参考にする、という注意書きが示されています。
この考え方を建築(タイル)に持ち込むと、現場で「コンコン叩いて高い音=良いタイル」のように短絡しがちな判断を抑制でき、厚み・裏足形状・下地状況で音が変わることを前提に、最終的には吸水率など規格値と適用部位で評価する姿勢に戻れます。
つまり、打音は“違和感検知”としては使えても、“材質確定”の根拠にしないのが安全で、疑わしい場合は「Ⅱ類(せっ器質)相当か」を仕様書・試験値・製品情報で照合して決着させるのが、施工不具合の芽を減らす実務的な手順です。