小梁下端筋の定着における施工管理

小梁下端筋の定着における施工管理

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小梁下端筋の定着と構造設計

小梁下端筋定着の基本事項
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構造的役割と重要性

小梁下端筋は負のモーメントを受ける部材として、適切な定着が構造安全性に直結

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定着長さの基準値

L3定着として直線定着20d、フック付き定着10dを基本とし、コンクリート強度に応じた調整

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施工上の配慮事項

接合部の納まり、配筋の順序、品質管理が一体となった総合的なアプローチが重要

小梁下端筋の定着長さ基準

小梁の下端筋定着は「L3定着」として分類され、一般的な梁主筋の定着長さ(L2定着)とは異なる規定が適用されます 。コンクリート設計基準強度Fc=18~60N/mm²の範囲において、SD295AからSD390までの鉄筋を使用する場合、直線定着では20d(dは鉄筋径)、フック付き定着では10dが標準的な定着長さとなります 。
参考)建築でも土木でも無視できない!鉄筋工事における定着長さについ…

 

小梁下端筋の定着長さが一般的な梁主筋より短く設定されている理由は、小梁が受ける応力の特性にあります。小梁は大梁に支持されており、支持部における圧縮力が定着に有利に働くため、必要定着長さが軽減されています 。ただし、片持小梁や片持スラブの下端筋を直線定着とする場合は、25d以上の定着長さが必要となる点に注意が必要です 。
参考)鉄筋の定着長さについてどうして小ばりやスラブの下端筋の定着長…

 

鉄筋の定着長さに関する包括的な解説と計算方法

小梁の構造計算における下端筋配置

小梁の構造設計において、下端筋の配置は固定モーメント法による応力算定結果に基づいて決定されます 。RC小梁では端部をピン接合とすることができないため、支持梁との接合部において固定度を考慮した設計が必要となります 。単スパン梁の場合、端部で負のモーメントが発生し、中央部で正のモーメントが最大となるため、端部上端筋と中央下端筋の配筋が重要になります 。
参考)RC小梁の設計

 

設計用応力の算定では、等分布荷重w、スパンlとした場合、端部モーメントC=wl²/12、中央モーメントMo=wl²/24となります 。この応力分布に対応して、下端筋の配筋量は主筋算定式at=M/(ft・j)により求められ、せん断補強筋についてもQa=bj(αfs+0.5wft(pw-0.002))>Qの関係を満足する必要があります 。
RC小梁設計の詳細な計算手順と設計例

小梁下端筋の施工順序と配筋方法

小梁下端筋の施工は、大梁配筋の完了後に行われる一連の作業の中で重要な位置を占めます 。標準的な梁配筋の順序では、①施工順序の決定、②下端筋の配筋、③仕口部フープの仮置き、④上端筋の配筋、⑤小梁下端筋・上端筋の配筋という流れで進められます 。
参考)梁の配筋

 

小梁下端筋の配筋では、圧接の縮み代(1d程度)を考慮した長さ調整、終端部の定着確保、圧接位置の適切な設定、2段筋の場合の納まり検討が重要な管理項目となります 。特に大梁に支持される小梁では、支持梁のフープ筋との干渉を避けながら、所定の定着長さを確保する必要があります 。
参考)大梁に小梁が端部で接する場合の配筋は小梁下の肋筋は通しではな…

 

施工管理においては、配筋完了後の落とし込み作業が重要で、両端から中央に向かって進めることで、梁のアンカー部分が柱筋の間から飛び出すことを防ぎます 。

小梁下端筋の曲げ上げ定着工法

近年の施工基準では、小梁下端筋の定着方法として「曲げ上げ定着」が標準的な工法となっています 。従来は下向きの「曲げ下げ定着」が一般的でしたが、現在では上向きの曲げ上げ定着が推奨されており、困難な場合のみ監督職員の承諾を受けて曲げ下げることができます 。
参考)https://www.city.iiyama.nagano.jp/assets/files/kodomo/johoku-tougou/tougousyoukouji-shitsugishiryo3.pdf

 

この変更の技術的根拠は、曲げ上げ定着の方が鉄筋の内側にあるコンクリート量が多くなり、鉄筋を引張ってもコンクリートが割れにくいという構造的優位性にあります 。曲げた鉄筋の内側のコンクリートがより多く確保されることで、定着部における付着応力の分散が図られ、局部的な応力集中を回避できます 。
参考)http://blog.livedoor.jp/aozora_bbq/archives/51186921.html

 

基礎梁下端筋についても同様の考え方が適用され、最下端筋の定着タイプとして曲上げ定着Aタイプまたは曲上げ定着Bタイプが基本となっています 。
参考)https://dbhead.com/sekkei/images/20180531.pdf

 

小梁下端筋定着の品質管理と検査要点

小梁下端筋の定着品質管理では、定着長さの実測確認が最重要項目となります。直線定着の場合は支持梁面からの投影定着長さLbを確保し、フック付き定着では折曲げ終点からの余長を含めた全長を検査します 。投影定着長さとは、主筋を接続先部材へ水平方向にどれだけ入れなければならないかを示す値で、小梁の場合は梁への梁の接続で重要になります 。
参考)https://sabtec.or.jp/pdf/web_lec20-2_contents140428.pdf

 

配筋検査においては、設計かぶり、鉄筋のあき、継手長さと併せて定着長さが厳格にチェックされます 。特に片持小梁の場合は、通常の小梁とは異なる定着長さ25d以上の規定があるため、構造図との整合性確認が重要です 。
参考)【配筋検査】設計かぶり、鉄筋のあき、継手長さ、定着長一覧

 

検査で定着長さが不足している場合の対応策として、接続元の梁主筋径を小さくする、主筋段数を2段から1段にする、接続先の柱・梁断面を大きくする、コンクリート設計基準強度Fcを高めるなどの設計変更が検討されます 。
参考)RC造 小梁の構造設計・計算方法 href="https://kozo-ve.com/https-kozo-ve-com-rc_kobari_how_to_structural_design/" target="_blank">https://kozo-ve.com/https-kozo-ve-com-rc_kobari_how_to_structural_design/amp; 部材提案ツールの活用法…

 

配筋検査における定着長さを含む検査項目一覧表