

PCの消費電力を正確に計算するには、まず各パーツの消費電力を把握することが重要です。CPUとGPU(グラフィックカード)はPC全体の消費電力の6~8割を占めるため、これらのワット数を正確に調べることが計算の基本となります。CPUの消費電力はIntel製品であれば「最大ターボパワー」の数値を、AMD製品であれば「TDP×1.35」の値を参考にします。GPUについては製品の仕様表またはNVIDIAやAMDの公式ページで「総グラフィックスパワー」を確認しましょう。
参考)https://zisalog.com/power-unit-capa-calc/
メモリ、マザーボード、ストレージなどのパーツは個別の消費電力が小さく、目安値で計算できます。メモリは1枚あたり約5W、マザーボードは約30W、NVMe SSDは約25W、SATA SSDは約3W、ケースファンは1台あたり約3Wです。これらの数値に搭載台数を掛けて合計することで、PC全体の消費電力が算出できます。
電源ユニットを選ぶ際は、算出した消費電力の合計に1.5倍の余裕を持たせることが推奨されます。この余裕は高負荷時の安定動作、電源の効率的な運用、長寿命化、将来のアップグレードに対応するために必要です。例えば合計消費電力が342Wであれば、500~550Wクラスの電源ユニットが適切となります。
参考)https://motionworks.jp/calculating-pc-power-supply
パソコン工房の電源容量計算シミュレーター
電源容量の選び方と各パーツの消費電力を自動計算できる公式ツールです。
PCの電気代を計算するには、消費電力(W)をkW(キロワット)に換算し、使用時間と電力量料金単価を掛け合わせます。基本的な計算式は「消費電力(kW)× 使用時間(時間)× 電力量料金単価(円/kWh)」です。消費電力のW(ワット)をkWに変換するには1000で割ります。例えば100Wのデスクトップパソコンであれば0.1kWとなります。
参考)https://energy.rakuten.co.jp/column/posts/20240813_19/
電力量料金単価は電力会社によって異なりますが、全国家庭電気製品公正取引協議会が定める目安単価は31円/kWhです。この単価を使って計算すると、100Wのデスクトップパソコンを1時間使用した場合の電気代は「0.1kW × 1時間 × 31円/kWh = 3.1円」となります。ノートパソコンの場合、平均消費電力が33Wであれば1時間あたり約1円の電気代です。
参考)https://contents.shirokumapower.com/blog-2c/pps-54
1ヶ月の電気代を算出するには、1日の使用時間に日数を掛けて総使用時間を求めます。例えば1日8時間、月20日間使用する場合、デスクトップパソコン(100W)の月間電気代は「0.1kW × 8時間 × 20日 × 31円/kWh = 496円」です。ゲーミングPCなど高性能PCは消費電力が200W以上になることもあり、月間電気代は大幅に増加します。
参考)https://www.cdedirect.co.jp/media/c1-electricity/c11-e-savings/2058/
楽天エナジーの電気代計算ガイド
パソコンの消費電力と電気代の詳しい計算方法と節約のコツを解説しています。
PCの消費電力を実測する方法は大きく2つあります。1つ目はソフトウェアによる測定で、マザーボード上のセンサーと通信してCPUやGPUの使用電力を推定します。Windows 11のタスクマネージャーでは、タスクバーを右クリックして「タスクマネージャー」を選択することで、各プロセスの電力消費状況を確認できます。HWMonitorやGPU-Zなどの無料ソフトでは「CPU Package Power」や「Total GPU Power」といった項目から現在値、最小値、最大値、平均値が表示されます。
参考)https://dosparaplus.com/library/details/001137.html
2つ目はワットチェッカー(電力計)による物理的な測定です。PCの電源プラグとコンセントの間にワットチェッカーを接続することで、PC全体の正確な消費電力を計測できます。ソフトウェアでの測定はCPUとGPUの電力が中心で、マザーボードや電源ユニットの変換ロス、ストレージなどは含まれないため、全体の電力を知りたい場合はワットチェッカーが最も正確です。
参考)https://gmpc-navi.com/shohidenryoku-kakuninhouhou/
測定時は、アイドル状態と高負荷状態(ゲームや動画編集など)の両方を計測すると、電力変化とピーク時の消費電力が把握できます。特に不動産オフィスで複数台のPCを運用している場合、実測データを基に電力コストを正確に見積もることで、適切な電気契約プランの選択や省エネ対策の効果測定が可能になります。
電源ユニットの容量選びは、PCの安定動作と効率的な電力運用に直結します。容量不足だと起動しない、高負荷時にフリーズする、突然落ちるといった問題が発生し、最悪の場合パーツが故障します。逆に過剰な容量を選ぶと価格が高くなり、効率も低下する場合があります。
適切な電源容量を決めるには、まず全パーツの消費電力を合計します。次にその合計値に1.5倍の余裕を持たせた値を推奨電源容量とします。この1.5倍という倍率には理由があります。電源ユニットは出力の50%から70%の範囲で使用すると最も効率が高く、熱損失が最小限に抑えられます。高負荷状態で90%や100%で動作させると電解コンデンサなどの部品が劣化しやすくなり、電源ユニットの寿命が短くなります。
パソコン工房の電源容量計算シミュレーターでは、合計消費電力に25%増し(1.25倍)を推奨電源容量としています。生成AIや演算処理など、CPUやグラフィックカードを最大消費電力で長時間使用する場合は、さらに余裕を持った容量の検討が必要です。電源の負荷率50%時に最も変換効率が高くなるため、実際の消費電力の2倍の容量を選ぶのが理想的です。
参考)https://www.pc-koubou.jp/goods/power_supply_calculation.php
ジサログの電源容量計算ツール
パーツごとの消費電力目安と余裕を持たせた電源容量の計算方法を詳しく解説しています。
不動産業界では物件管理や顧客対応のため、複数台のPCを長時間稼働させることが多く、オフィス全体の電気代における割合が無視できません。不動産オフィス特有の視点として、来客対応や外出の多い業務形態を活かした省エネ対策が効果的です。
参考)https://enechange.jp/articles/pc-save-energy
離席時や昼休みにPCをスリープモードにすることで、消費電力を大幅に削減できます。Windows標準機能で一定時間操作がないと自動的にスリープモードに移行する設定が可能です。ディスプレイの明るさを100%から40%に下げると約23%の節電効果があるとマイクロソフト社の調査で示されています。ただし暗くし過ぎは目に悪いため、適度な調整と画面の映り込みを防ぐ設置場所の工夫が重要です。
参考)https://miraiz.chuden.co.jp/business/eco/column07/
不動産業務では図面閲覧や写真編集など高負荷作業も多いため、通気口の掃除をマメに行い、風通しの良い場所にPCを設置することで冷却効率が上がり、ファンの稼働率が下がって消費電力が抑えられます。オフィス全体で複数台のPCを運用している場合、ワットチェッカーで実測し、デスクトップからノートPCへの置き換えを検討することで、1台あたり月200円程度の電気代削減が期待できます。年間で計算すると、10台で約24,000円のコスト削減になり、不動産事業の利益率改善に貢献します。
参考)https://www.a-tm.co.jp/top/energy/cost-pc/
中部電力の法人向け省エネガイド
オフィスのパソコン消費電力を削減する具体的な方法と心がけを紹介しています。