

建築現場や屋外での作業に従事する皆様にとって、体力維持のための食事は非常に重要です。しかし、健康に良いとされる野菜の中には「シュウ酸」という成分を多く含むものがあり、摂取方法を誤ると激痛を伴う「尿路結石」の原因となることがあります。特にこれからの季節や、空調服を着ていても大量に汗をかく環境下では、尿が濃縮されやすいためリスクが高まります。この記事では、シュウ酸が多い野菜の正しい知識と、美味しく健康的に食べるための具体的な対策を深掘りして解説していきます。
まず、私たちが普段口にしている野菜の中で、具体的にどの野菜にどれくらいのシュウ酸が含まれているのかを把握することが第一歩です。シュウ酸は水溶性のあく成分であり、独特のえぐみや苦味の原因となります。
野菜100gあたりに含まれるシュウ酸の量は、種類によって天と地ほどの差があります。一般的に、葉物野菜に多いイメージがありますが、全ての葉物野菜が危険なわけではありません。例えば、見た目が似ている「ほうれん草」と「小松菜」では、含有量に圧倒的な差があります。
以下に、注意が必要なシュウ酸が多い野菜と、比較的少ない野菜をまとめました。
| 野菜の種類 | シュウ酸の多さ | 特徴と注意点 |
|---|---|---|
| ほうれん草 | 非常に多い | 野菜の中でトップクラスの含有量(約800mg/100g)。生食は避け、必ず茹でこぼす処理が必要です。 |
| キャベツ | 少ない | シュウ酸は非常に少ないため、生でサラダとして食べても問題ありません。 |
| ブロッコリー | 少ない | 栄養価が高くシュウ酸も少ないため、筋力維持を意識する方にもおすすめです。 |
| サツマイモ | やや多い | 意外と盲点になりがちですが、根菜類の中では比較的多めに含まれています。 |
| タケノコ | 多い | えぐみが強いのはシュウ酸の影響です。しっかりとしたアク抜きが必須です。 |
| レタス | 少ない | 水分が多くシュウ酸は少なめ。手軽な水分・ビタミン補給源として優秀です。 |
| 小松菜 | 少ない | ほうれん草の代替として非常に優秀。カルシウムも豊富で結石予防に適しています。 |
この表からも分かるように、「ほうれん草」はずば抜けてシュウ酸が多いため、食べる際には意識的な工夫が必要です。一方で、小松菜やブロッコリー、キャベツなどはシュウ酸をあまり気にする必要がありません。
日々の現場仕事で疲れて帰宅した際、手軽に野菜を摂ろうとして「ほうれん草入りのスムージー」などを毎日飲む習慣は、シュウ酸の過剰摂取に直結するため注意が必要です。特に生のほうれん草をミキサーにかけると、シュウ酸をダイレクトに摂取することになります。
尿路結石の診療ガイドラインに関する情報が記載されています。
Mindsガイドラインライブラリ:尿路結石症診療ガイドライン 2013年版
なぜシュウ酸が多い野菜を摂りすぎると、尿路結石のリスクが高まるのでしょうか。ここではそのメカニズムと、具体的な予防策について解説します。
尿路結石とは、腎臓で作られた尿の中で、特定の成分が結晶化して石のようになる病気です。結石の中で最も多いのが「シュウ酸カルシウム結石」で、全体の約7割から8割を占めています。この結石ができるプロセスは以下のようになります。
つまり、「いかにシュウ酸を腸の中でブロックし、尿(腎臓)まで行かせないか」が予防の最大のカギとなります。
また、建築業などの肉体労働に従事されている方は、以下の理由から一般の方よりもさらに注意が必要です。
予防のためには、野菜の種類を選ぶだけでなく、日々の生活習慣全体を見直す必要があります。特に「夕食」での摂取には注意が必要です。寝ている間は水分補給ができず、尿が濃縮されやすいため、夕食で大量のシュウ酸を摂ると、就寝中に結石が形成されやすくなるからです。
結石のリスク要因や食事療法の基本について詳しく解説されています。
東京女子医科大学病院 腎臓内科:尿路結石症の食事療法
シュウ酸が多い野菜、特にほうれん草などを食べる場合、絶対に欠かせないのが「茹でる」という下処理です。シュウ酸は水溶性(水に溶けやすい性質)を持っているため、たっぷりの湯で茹でることによって、含有量を大幅に減らすことができます。
ここでは、シュウ酸を効率的に減らすための具体的な「茹でるコツ」と下処理の手順を紹介します。
1. たっぷりのお湯を使う
少量の水で蒸し煮にするよりも、たっぷりの沸騰したお湯で茹でる方が、シュウ酸が外に溶け出しやすくなります。お湯の中で野菜を泳がせるようなイメージで茹でましょう。
2. 茹で時間の目安
ほうれん草の場合、約3分程度茹でることで、シュウ酸の量を30%〜50%程度減らすことができると言われています。硬めに茹でたい場合でも、サッと湯通しするだけではシュウ酸が残ってしまうため、ある程度の加熱時間は必要です。
3. 茹で汁は必ず捨てる
これは非常に重要です。茹でたお湯には溶け出したシュウ酸が含まれています。この茹で汁を味噌汁やスープの出汁として使ってしまうと、せっかく溶け出したシュウ酸を全て飲み干すことになってしまいます。味噌汁に入れる場合でも、一度別鍋で下茹でし、水気を絞ってから最後に加えるのが鉄則です。
4. 水にさらす
茹で上がった後に冷水にさらすことで、さらにシュウ酸を抜く効果が期待できます(「水さらし」)。また、色止め効果もあり、見た目も鮮やかになります。
電子レンジ調理の注意点
最近は時短のために電子レンジで野菜を加熱することも多いですが、シュウ酸対策の観点からは注意が必要です。レンジ加熱は水をあまり使わないため、シュウ酸が野菜の中に留まってしまいます。シュウ酸が多い野菜に関しては、レンジではなく「お湯で茹でる」方法を選択すべきです。
ベーコンや肉との炒め物にする場合
ほうれん草のソテーなどを作る際も、生のままフライパンで炒めるのではなく、一度下茹でしてから炒めるのが正解です。手間はかかりますが、この「ひと手間」が将来の激痛を回避する防波堤となります。
シュウ酸が多い野菜を食べる際、最も効果的な相棒となるのが「カルシウム」です。先ほど触れた通り、シュウ酸はカルシウムと結合する性質があります。この結合を「腎臓」ではなく「腸の中」で起こさせてしまえば、結石にはなりません。
つまり、「シュウ酸が多い野菜を食べる時は、必ずカルシウムが多い食品を一緒に食べる」というルールを設けるだけで、リスクを劇的に下げることができます。
現場のお弁当や夕食の献立を考える際は、以下の組み合わせを意識してみてください。
| メニュー例 | 組み合わせの狙い |
|---|---|
| ほうれん草のグラタン | ほうれん草(シュウ酸)+ 牛乳・チーズ(カルシウム)。 非常に理にかなった最高の組み合わせです。 |
| ほうれん草のお浸し + ちりめんじゃこ | お浸しにかつお節だけでなく、カルシウム豊富なしらすやちりめんじゃこをトッピングすることで対策になります。 |
| コーヒー + ミルク | ブラックコーヒーにはシュウ酸が含まれますが、牛乳を入れてカフェオレにすることで、胃の中で結合させ吸収を抑えられます。 |
| 野菜炒め + ヨーグルト | 食事のデザートにヨーグルトを追加するだけでも、食事全体のカルシウム量を底上げし、シュウ酸の吸収を阻害します。 |
カルシウムの摂取量は、成人男性で1日あたり700mg〜800mgが推奨されていますが、実際には不足しがちです。特に現場仕事で朝が早い場合、朝食を抜いたり、おにぎりだけで済ませたりするとカルシウム不足になりがちです。
コンビニで昼食を買う場合も、サラダを選ぶなら「ごまドレッシング(ごまはカルシウムが豊富)」を選んだり、牛乳やチーズをプラス一品として加えたりする工夫が有効です。逆に、カルシウムのサプリメントによる過剰摂取は、かえって結石の原因になることもあるため、あくまで食品から摂取するのが理想的です。
最後に、一般的な健康サイトではあまり触れられない、建築現場従事者ならではの視点「極限の環境下での水分コントロール」について解説します。
シュウ酸の摂取量も重要ですが、結石予防においてそれ以上に重要なのが「尿の濃度」です。建築現場、特に夏場の足場や屋根上、内装の密閉空間などでは、1日で数リットルもの汗をかくことがあります。汗をかけばかくほど、体内の水分は失われ、尿として排出される水分量は減少します。
「尿の色が濃い黄色や茶褐色になっている」
これは危険信号です。尿が濃いということは、尿中のシュウ酸濃度が飽和状態に近く、いつ結晶化してもおかしくない状態です。
シュウ酸が多い野菜を摂取した場合でも、十分な尿量があれば、シュウ酸は薄められてスムーズに排泄されます。具体的な目標としては、1日2リットル以上の尿量を確保することが推奨されています。そのためには、食事以外で1日2〜3リットルの水分摂取が必要です。
現場での実践的な対策として以下を推奨します。
野菜からの栄養摂取は体の修復や疲労回復に不可欠ですが、それは「適切な水分管理」という土台があってこそ成り立ちます。
「シュウ酸が多い野菜を避ける」ことと、「シュウ酸を流し出すための水分を確保する」こと。この両輪を回すことが、長く現役で現場に立ち続けるための秘訣です。痛い思いをして仕事に穴を開けないよう、明日の食事と飲み物から意識を変えていきましょう。

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