
たすき掛けは、acx²+(ad+bc)x+bd=(ax+b)(cx+d)という公式を利用した因数分解の解法です。この方法は、他の因数分解の公式が使えない場合や、共通因数でくくれない式に対して有効な手段となります。
参考)たすきがけの因数分解のやり方【問題付き】
具体的な手順として、まず直線を引き、その下にx²の係数、定数項、xの係数を左から順に配置します。次に、x²の係数と定数項それぞれについて、掛け算で元の数になる整数のペアを探します。例えば3x²+7x+2を因数分解する場合、3は1×3、2は1×2と分解できます。
参考)【中学数学】たすき掛け因数分解のやり方がわかる5つのステップ…
見つけたペアを斜めに掛け算し、その和がxの係数と一致するか確認します。一致すれば、その組み合わせを使って(3x+1)(x+2)のように因数分解できます。一致しない場合は、符号や数字の組み合わせを変えて再度試行します。
参考)たすきがけによる因数分解のやり方・例題・他の方法
たすき掛けの計算では、斜めの掛け算の和を求める作業が最も重要です。2x×1=2x、x×3=3xをたすきのように掛け算して2x+3x=5xを導き出すという仕組みになっています。この「たして5」になるというヒントを活用することで、正しい組み合わせを見つけられます。
参考)【高校数学Ⅰ】「たすきがけを使う因数分解」
符号の扱いには特に注意が必要で、マイナスの組み合わせも考慮する必要があります。例えば、定数項が-6の場合、(1×-6)、(-1×6)、(2×-3)、(-2×3)といった複数のパターンを試す必要があります。掛け算と足し算の際に符号を確認することで、計算ミスを防げます。
参考)たすき掛けの因数分解の裏ワザを簡単に塾長が解説!早く見つける…
スピードアップのコツとして、x²の係数が小さい数の場合は組み合わせのパターンが限られるため、効率的に絞り込めます。また、練習を重ねることで、どの組み合わせが適切かの見当がつくようになります。
たすきがけの因数分解のやり方【問題付き】 - 理系ラボ
たすき掛けの詳しい手順と複数の例題が掲載されており、段階的な理解に役立ちます。
練習問題として、2x²+x-6を因数分解してみましょう。まずx²の係数2について、掛けて2になる組み合わせは1×2です。次に定数項-6について、掛けて-6になる組み合わせを探すと、(-3)×2や(-2)×3などが候補になります。
参考)数学Ⅰ|問題演習|たすき掛けを用いる因数分解
たすき掛けを試すと、1×2と(-3)×2の組み合わせで、斜めの掛け算は1×2=2と2×(-3)=-6となり、和は2+(-6)=-4となって不一致です。組み合わせを変えて1×2と2×(-3)で試すと、1×(-3)=-3と2×2=4で、和が-3+4=1となりxの係数と一致します。
この組み合わせから、答えは(2x-3)(x+2)となります。同様に3x²+x-4の場合は、たすき掛けで(3x+4)(x-1)と因数分解できます。複数の問題を解くことで、組み合わせを見つける感覚が養われます。
【問題演習】因数分解(たすき掛け) - 教科書より詳しい高校数学
たすき掛けを用いる因数分解の演習問題が多数掲載されており、解答と詳しい解説が確認できます。
たすき掛けを使う前に、因数分解の基本手順を確認することが重要です。まず共通因数でくくれるか確認し、次に最低次数の文字について整理し、その後で公式利用かたすき掛けを選択します。この手順を踏むことで、どの解法が適切か判断できます。
参考)中学生の因数分解!やり方をわかりやすく解説(公式・計算方法・…
文字が2つ以上ある式では、最低次数の文字について整理するのがセオリーです。例えばx²+xy-6y²+8x-y+15のような式では、xとyの次数を比較し、整理する文字を決めます。最低次数の文字で整理することで、複雑な式も段階的に因数分解できます。
参考)最低次数の文字について整理して因数分解する方法をわかりやすく…
公式が使える場合は、たすき掛けよりも公式を優先すべきです。和と差の積や平方の公式に当てはまる式は、公式を使った方が速く正確に解けます。項の数や式の形に注目して、公式が使えるかチェックすることが解法選択の第一歩となります。
建築業界では、構造計算や図面作成の際に二次方程式を扱う場面が多く存在します。たすき掛けによる因数分解は、荷重計算や断面性能の算出など、実務で必要な数式処理の基礎となる技術です。特に建材の強度計算や梁のたわみ計算では、複雑な二次式を因数分解して簡略化する必要があります。
現場での応用例として、鉄筋コンクリートの配筋計算があります。断面積と配筋量の関係を表す二次式を因数分解することで、最適な鉄筋径と本数を効率的に導き出せます。また、屋根勾配の計算や階段の寸法決定でも、たすき掛けの考え方が役立ちます。
デジタル化が進む現代でも、現場での概算や検算では手計算が重要です。たすき掛けの技術を習得しておくことで、CADソフトの計算結果を素早く確認でき、設計ミスの早期発見につながります。建築士試験や施工管理技士試験でも因数分解の問題が出題されるため、実務と資格取得の両面で役立つスキルとなります。