

建築従事者が「特許図面 サイズ」で最初に押さえるべきなのは、A4用紙そのものの縦横寸法よりも、図として収めるべき“図面領域”の上限です。特許庁の電子出願(図面の作成方法)では、図は横170mm・縦255mm以内に収まるように作図してから電子化すると明記されています。
つまり、A4(210×297mm)の全面にベタで描く発想ではなく、「周囲に余白が存在する前提」で、170×255mmの箱に情報を配置するのが基本です。
建築図面の感覚だと、A3→A4縮小、縮尺1/100・1/50といった“印刷縮尺”で成立させがちですが、特許図面は「縮尺の正確さ」よりも「公開公報で読めるか」「線が明瞭か」が優先されます。特許庁の図面作成案内でも、図面は各図ごとにスキャン等で電子化し、各図をファイルとして扱う運用が前提です。
参考)https://www.inpit.go.jp/blob/archives/pdf/patent.pdf
建築の平面図・立面図をそのまま持ち込むと、凡例・寸法線・注記が密集し、170×255mmに収めた時点で可読性が落ちやすいので、「発明の説明に必要な要素だけを残す編集」が実務では重要になります。
参考)図面:特許
参考:図面の作り方(図面領域170×255mm、図ごとの電子化・挿入例)
図面:特許
「余白」は単なる見た目ではなく、方式要件として各国で規定されているため、海外展開(PCT、米国、欧州等)を見据えると早めに整えるほど後工程が楽になります。日本の図面領域は縦255mm×横170mmと整理されており、同じA4でも“描いてよい領域”を各制度が持っている点がポイントです。
また、JPAAの資料では、日本はA4原則(例外としてA4横長も可)としつつ、図面領域や余白の考え方、さらに米国・欧州・PCTなどがA4で図面領域(例:縦262mm×横170mm)や余白を規定していることが示されています。
建築系の発明(たとえば「耐震接合金物」「断熱構造」「設備ユニット」など)は、部材符号が多く図番も増えがちです。ここで余白ぎりぎりまで詰めると、スキャン時の傾き補正や、電子出願での変換処理により端部が欠けたように見えるリスクが上がります。電子出願手順でも「横170mm・縦255mm以内に収まるように作図」して電子化するとされており、限界値を攻めるより数mm〜数cmの“安全域”を作る方が事故が減ります。
意外と見落とされがちですが、将来「外国語図面」や「外国語明細書」の提出を伴う手続では、画像の扱い(組み込み箇所や形式の制限)が絡みます。特許庁の「イメージファイルの規定」では、画像を組み込める項目や、形式・画素密度(200/300/400dpi)などが整理されています。
電子出願の現場で頻出する事故は、「dpi設定は合っているのに、出願ソフト上のサイズ判定が想定と違う」問題です。特許庁の規定では、インターネット出願ソフトは画像の解像度(dpi情報)を無視し、ドット数からイメージの大きさを判断すると明記されています。
つまり、IllustratorやCADから書き出した画像に「300dpi」と付いていても、実際には“ピクセル数”が図面領域を超えていれば、別の扱い(300dpi相当や400dpi相当)に判定され得ます。規定ページには、ドット数からcm換算する計算式(ドット数÷dpi×2.54≒長さ)も掲載されています。
形式についても、特許(実用)図面は基本的にモノクロ2値のPNG/GIF/BMPが前提です。規定では、PNG/GIFがモノクロ2値でない場合は警告の上で2値変換され、透過や透明度は「背景が白」前提で反映された後に変換されるため意図通りにならない場合があるとされています。
この「背景が白」前提は、建築図面でよくある薄いグレーの補助線・ハッチング・陰影表現と相性が悪く、2値化で情報が消えるか、逆に黒ベタ化して判読不能になる原因になります。さらに、アニメーションGIFはエラーになる、BMPはモノクロ2値でないとエラーになるなど、形式ごとに地雷が違う点も実務的な注意点です。
ここは“意外なコツ”として、図面を最初から「黒1色+白背景」だけで設計し、線種は太さだけで階層表現する方が、出願ソフトの変換を受けても崩れにくくなります。特許庁側も「なるべく作成段階でモノクロ2値に」と推奨しており、提出前に必ず送信ファイルを印刷して出力結果を確認するよう注意しています。
参考:画像形式・dpi・変換(透過、2値化、ドット数判定、計算式)
https://www.pcinfo.jpo.go.jp/guide/Content/Rules/ImageRules.htm
建築図面(CAD)を「特許図面 サイズ」に合わせて作るなら、作業は“縮小して貼る”より“情報設計をやり直す”と割り切る方が早いです。特許庁の案内では、各図ごとに電子化して、HTML文書の図面にイメージタグで挿入する例が示されており、図は「図1」「図2」のように分割して管理するのが自然です。
建築図面を1枚に集約しがちな文化と違い、特許は「全体図」「分解斜視」「要部拡大」「断面」など、理解の流れに沿って図を分けるのが読み手(審査官・第三者)に優しい構成になります。
実務手順(事故を減らす順番)は次の通りです。
・📌 図の役割を決めて分割:全体→要部→断面→効果が分かる比較、のように“理解の順”で図番を決める。
・📌 図面領域170×255mmの枠を作る:枠内に入る最大情報量ではなく、余白を残して配置する。
・📌 線と文字を2値前提にする:薄グレー・網掛け・透過を捨て、線幅と白黒だけで表現する。
・📌 書き出し後に「印刷」で確認:規定でも印刷確認が推奨され、変換の癖(透過、Exif削除等)を早期に見つけられます。
特に建築系で多いのが、寸法線・通り芯・レベル表示など「発明の本質ではないが図面に載りがち」な要素です。これらは情報密度を上げて可読性を落とし、2値化で線が潰れて“何が重要か”が逆に伝わらなくなるため、発明の説明に必要な構成要素だけに絞るのが得策です。
検索上位では「A4」「170×255」「解像度」といったスペック話が中心になりがちですが、建築従事者にとって本当に効くのは「図面の可読性を“変換後”に担保する設計」です。特許庁の規定が示す通り、PNG/GIFは2値化変換され得て、透過の扱いも「背景白」前提で反映されるため、提出データ=最終見え方ではありません。
このギャップを埋める発想として、図面を“スクリーンで綺麗に見える設計”から“モノクロ複製されても意味が壊れない設計”へ寄せるのがコツです。
建築の図面文化では、階層(レイヤ)や線色で役割分担するのが普通ですが、特許では最終的にモノクロ2値の世界に落ちる場面があるため、レイヤ戦略を「線幅戦略」に切り替えるのが有効です。特許庁は図面代用写真(顕微鏡写真等)以外の図表・線図等は、GIF/BMP(いずれもモノクロ2値)で保存するよう注記しています。
この注記の意味は、「線図は写真品質より“輪郭の明瞭さ”が価値」ということなので、CAD出力でもアンチエイリアス(半透明の縁取り)を切って、ピクセルの中間色を作らない設定にするだけで、2値化後の欠け・滲みが減ります。
最後に、提出直前のチェック観点を“建築向け”に言い換えるとこうなります。
・🔍 図面領域からはみ出していないか(170×255mm以内)。
・🔍 2値化で消える要素(薄線・ハッチ・透過)がないか。
・🔍 ドット数が過大で、出願ソフトに想定外のサイズ判定をされないか。
・🔍 印刷した時に、要部が一発で追えるか(図番→符号→構成の流れ)。
この「変換後の読め方」を先に設計すると、特許図面サイズの調整は単なる作図作業ではなく、審査官に伝えるための編集作業になります。