床塗装 コンクリート面の塗り方と耐久性向上テクニック

床塗装 コンクリート面の塗り方と耐久性向上テクニック

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床塗装 コンクリートの基本

コンクリート床塗装の基本知識
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目的を明確に

美観向上、防塵、耐摩耗性アップなど、目的に合わせた塗料選びが重要です

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下地処理が命

塗装の80%は下地処理で決まります。適切な準備が長持ちする床塗装の秘訣です

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適切な塗料選び

用途や環境に合わせた塗料選択が、コンクリート床の寿命と美観を左右します

コンクリート床の塗装は、単なる美観向上だけでなく、床の保護や機能性向上のために重要な役割を果たします。コンクリートはそのままでは経年劣化により粉が出たり(粉化現象)、ひび割れが生じたりするため、適切な塗装を施すことで耐久性を大幅に向上させることができます。

 

床塗装の目的は主に以下の点にあります:

  • コンクリート表面の保護と耐久性向上
  • 防塵効果による環境改善
  • 美観の向上
  • 滑り止め効果の付与
  • 耐薬品性・耐油性の向上

コンクリート床塗装は、一般住宅のガレージやベランダから、工場、倉庫、商業施設まで幅広く活用されています。特に工場や倉庫では、重量物や薬品による床の損傷を防ぐために不可欠な処理となっています。

 

塗装を始める前に、コンクリートの状態を確認することが重要です。新設のコンクリートの場合は、打設後少なくとも28日間の養生期間を設けることが推奨されています。既存のコンクリートの場合は、ひび割れや剥離、油汚れなどの状態を確認し、適切な下地処理を行う必要があります。

 

床塗装 コンクリートの種類と特徴

コンクリート床に使用される塗料には、主に以下のような種類があります:

  1. エポキシ系塗料
    • 高い耐久性と耐薬品性を持つ
    • 密着性に優れ、美観も良好
    • 工場や倉庫、ガレージなどに適している
    • 硬化時間が長く、施工に専門知識が必要
  2. ウレタン系塗料
    • 柔軟性があり、ひび割れに強い
    • 耐候性に優れ、屋外使用に適している
    • エポキシに比べて耐薬品性はやや劣る
    • 比較的施工が容易
  3. アクリル系塗料
    • 速乾性があり、施工が簡単
    • コストパフォーマンスが良い
    • 耐久性はエポキシやウレタンに劣る
    • DIYにも適している
  4. シリカ系塗料
    • 無機質で耐候性に優れる
    • 通気性が良く、膨れや剥がれが少ない
    • 耐摩耗性に優れている
    • 自然な風合いの仕上がり

コンクリートの状態や使用環境、求める性能によって、最適な塗料は異なります。例えば、頻繁に重量物を移動させる工場では耐摩耗性の高いエポキシ系が、屋外の歩道などには耐候性の高いウレタン系やシリカ系が適しています。

 

また、近年では環境に配慮した水性塗料も増えており、VOC(揮発性有機化合物)の排出を抑えつつ、優れた性能を発揮する製品も登場しています。特にIPシリカのような水性でありながら耐摩耗性に優れた塗料は、環境と性能の両立を求める現場で注目されています。

 

床塗装 コンクリートの下地処理方法

コンクリート床塗装の成否を決める最も重要な工程が下地処理です。いくら高品質な塗料を使用しても、下地処理が不十分だと塗膜の密着不良や早期剥離の原因となります。

 

1. 清掃と洗浄
まず、床面の汚れやホコリ、油分などを徹底的に除去します。

 

  • 一般的な汚れ:デッキブラシや高圧洗浄機で洗浄
  • 油汚れ:専用の脱脂剤やアルカリ洗剤で除去
  • カビや藻:カビ取り剤で処理

2. レイタンス除去とエッチング処理
新設コンクリートの表面には「レイタンス」と呼ばれる脆弱層が形成されていることがあります。この層を除去するために、以下の方法を用います:

  • 機械的処理:ディスクサンダーやショットブラスト、研磨機などを使用
  • 化学的処理:エッチング剤(希塩酸や専用薬剤)を使用して表面を中和・粗面化

特に新設コンクリートは強アルカリ性のため、エッチング処理によって表面を中和することが重要です。これにより塗料の密着性が向上します。

 

3. ひび割れや欠損部の補修
床面のひび割れや欠損部は、適切な補修材で修復します。

 

  • 細かいひび割れ:エポキシ樹脂などの充填材
  • 大きな欠損:セメント系補修材やモルタル

4. 乾燥と養生
洗浄や補修後は、床面を十分に乾燥させます。コンクリート内部の水分が多いと、塗膜の密着不良や膨れの原因となります。湿度計を使用して含水率を確認することも重要です。一般的に含水率8%以下が塗装に適した状態とされています。

 

5. プライマー(下塗り)処理
多くの場合、本塗装の前にプライマー(シーラー)を塗布します。プライマーには以下の役割があります:

  • コンクリートと塗料の密着性向上
  • コンクリートの吸水性の調整
  • 後の塗装の仕上がり向上

プライマーは塗料系統に合わせて選択し、メーカー推奨の塗布量と乾燥時間を守ることが重要です。

 

下地処理は時間と手間がかかる工程ですが、ここでの丁寧な作業が塗装の耐久性と美観を大きく左右します。特にDIYで行う場合は、この工程を省略せず、十分な時間をかけて行うことをおすすめします。

 

床塗装 コンクリートの塗り方テクニック

適切な下地処理を終えたら、いよいよ塗装作業に入ります。ここでは、美しく耐久性のある仕上がりを実現するための塗り方テクニックを解説します。

 

1. 塗料の準備
塗料は使用前に十分に攪拌することが重要です。特に顔料が沈殿している場合は、底から均一になるまでしっかりと混ぜます。電動攪拌機を使用すると効率的です。

 

塗料の粘度が高く塗りにくい場合は、メーカー指定の希釈剤で適切に調整します。ただし、過度の希釈は塗膜性能の低下を招くため、製品の指示(多くの場合5%以内)を守りましょう。

 

2. 塗装の順序
効率的に塗装するためには、以下の順序で作業を進めるのがコツです:

  1. まずコーナーや壁際、柱の周りなど、ローラーが届きにくい部分を刷毛やミニローラーで塗装(カット作業)
  2. 広い面積をローラーで塗装
  3. 塗りムラがないように確認しながら進める

3. 塗装道具の選択

  • 刷毛:細部や角の塗装に使用
  • ローラー:広い面積の塗装に最適
    • 毛足の長さは塗料の種類や床の凹凸に合わせて選択
    • エポキシ系には短毛、凹凸のある面には中〜長毛が適している
  • コテバケ:均一な厚みで塗装したい場合に使用

4. 塗装のコツ

  • 均一な厚み:塗料が溜まりすぎると乾燥不良や剥がれの原因になるため、均一な厚みで塗布
  • 適切な塗り重ね時間:塗料の指定する塗り重ね可能時間を守る(早すぎても遅すぎても密着不良の原因に)
  • 塗り継ぎ:塗り継ぎ部分が目立たないよう、濡れ色のうちに次の区画を塗装
  • 養生テープ:塗装範囲の境界にはマスキングテープを貼り、塗装後は塗料が手につかなくなる前(半乾き状態)に剥がす

5. 多層塗装のテクニック
耐久性を高めるために、多くの場合2〜3回の塗り重ねを行います。

 

  • 1回目(下塗り):やや薄めに塗布し、コンクリートへの浸透を促進
  • 2回目以降(上塗り):適切な厚みで均一に塗布

塗り重ねの際は、前の層が指定の乾燥時間を経過していることを確認します。特にエポキシ系は塗り重ね可能時間を過ぎると層間の密着が悪くなるため注意が必要です。

 

6. すべり止め加工
必要に応じて、すべり止め材を混ぜたり、塗装後に骨材を散布したりすることで、滑りにくい床面に仕上げることができます。特に屋外や水回りでは安全のためにすべり止め加工を検討しましょう。

 

7. 乾燥と養生
塗装後は十分な乾燥時間を設けます。表面乾燥と完全硬化には時間差があり、特にエポキシ系は完全硬化まで7日程度かかることもあります。早期の重量物設置や水洗いは避け、メーカー指定の養生期間を守りましょう。

 

塗装作業は天候や気温、湿度の影響を受けやすいため、適切な環境条件(一般的に気温5〜35℃、湿度80%以下)で作業することも重要です。

 

床塗装 コンクリートの耐久性を高める秘訣

コンクリート床塗装の耐久性を最大限に高めるためには、塗装前の準備から塗装後のメンテナンスまで、いくつかの重要なポイントがあります。

 

1. 適切な塗料システムの選択
使用環境に合わせた最適な塗料システムを選ぶことが耐久性の基本です。

 

  • 重荷重エリア:高強度エポキシ系
  • 屋外や紫外線にさらされる場所:耐候性の高いウレタントップコートやシリカ系
  • 薬品を扱う場所:耐薬品性の高い特殊エポキシ
  • 温度変化の激しい場所:柔軟性のあるウレタン系

また、単一の塗料ではなく、プライマー、中塗り、トップコートを組み合わせた「塗装システム」を採用することで、それぞれの長所を活かした高耐久な床を実現できます。

 

2. 適切な膜厚の確保
塗膜の耐久性は膜厚に大きく依存します。用途に応じた適切な膜厚を確保しましょう。

 

  • 軽負荷(一般住宅のガレージなど):100〜200μm
  • 中負荷(倉庫、軽作業場など):200〜500μm
  • 重負荷(工場、重量物の移動がある場所):500μm以上

必要な膜厚を得るためには、塗り重ねや適切な塗布量の管理が重要です。

 

3. 下地の水分管理
コンクリート内部の水分は塗膜の膨れや剥離の大きな原因となります。特に以下の点に注意しましょう:

  • 新設コンクリートは十分な養生期間(最低28日)を設ける
  • 湿度計で含水率を測定し、8%以下であることを確認
  • 地下からの湿気がある場合は、防湿層の設置や透湿性のある塗料の選択を検討

4. 適切な下地補強
コンクリートの強度が不足している場合や、ひび割れが多い場合は、塗装前に下地補強を行います。

 

  • エポキシ樹脂の含浸による強化
  • ガラス繊維やカーボン繊維による補強
  • 自己平坦性モルタルによる平滑化と強化

5. 定期的なメンテナンス
どんなに高品質な塗装でも、時間の経過とともに劣化します。定期的なメンテナンスにより、大規模な補修を未然に防ぎ、床の寿命を延ばすことができます。

 

  • 日常的な清掃:汚れや砂などの研磨物質の除去
  • 小さな損傷の早期補修:小さなひび割れや剥がれを放置しない
  • トップコートの定期的な塗り替え:下地まで劣化する前に表面層を更新

6. 最新技術の活用
床塗装の技術は日々進化しています。最新の技術を取り入れることで、従来よりも高い耐久性を実現できることがあります。

 

  • ナノテクノロジーを応用した高密度塗料
  • 自己修復機能を持つ特殊塗料
  • 環境負荷の少ない高耐久水性塗料

例えば、前述のIPシリカのような無機系塗料は、従来の有機系塗料に比べて紫外線による劣化が少なく、長期間美観を保つことができます。

 

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