屋根面積計算方法:投影面積と勾配係数で正確に求める

屋根面積計算方法:投影面積と勾配係数で正確に求める

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屋根面積計算の基本方法

屋根面積計算の要点
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投影面積の測定

上から見た屋根の平面積を正確に測定することが計算の基礎となります

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勾配係数の適用

屋根の傾斜角度に応じた係数を掛けることで実際の面積を算出します

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軒の出の考慮

外壁から突き出た屋根部分も含めた正確な測定が重要です

屋根投影面積の測定と計算手順

屋根面積計算の第一歩は、屋根投影面積の正確な測定から始まります。投影面積とは、屋根を真上から見下ろした時の平面的な面積のことで、屋根の傾斜は考慮しません。

 

基本的な測定手順:

  • 建物の外壁の長さをメジャーで測定
  • 軒の出(外壁から突き出た屋根部分)の長さを測定
  • 上記を合計した全体の縦幅・横幅を算出
  • 縦幅×横幅で投影面積を計算

例えば、外壁が8m×4mで軒の出が各辺30cmの場合。
投影面積 = (8m + 0.3m + 0.3m)×(4m + 0.3m + 0.3m)= 8.6m × 4.6m = 39.56㎡
複雑な形状の屋根の場合は、長方形に分割して個別に計算し、最後に合計します。L字型や出っ張りがある建物では、補助線を引いて計算しやすい形に分けることがポイントです。

 

図面がある場合は、1階の平面図から外壁の寸法を確認できますが、軒の出だけは現地で実測する必要があります。

 

勾配係数による屋根面積の求め方

投影面積が分かったら、次に勾配係数を適用して実際の屋根面積を算出します。屋根には傾斜があるため、平面積よりも実際の面積は大きくなります。

 

主な勾配係数一覧:

屋根勾配 係数 角度(およそ)
4寸勾配 1.077 約22度
4.5寸勾配 1.097 約24度
5寸勾配 1.118 約27度
5.5寸勾配 1.141 約29度
6寸勾配 1.166 約31度
6.5寸勾配 1.193 約33度

日本の戸建住宅では4寸〜6.5寸勾配が一般的で、これらの係数は約1.1〜1.2の範囲にあります。簡略計算では、全ての勾配に対して1.15を使用することも可能です。

 

計算式:屋根面積 = 投影面積 × 勾配係数
先ほどの例(投影面積39.56㎡、5寸勾配)の場合。
屋根面積 = 39.56㎡ × 1.118 = 44.25㎡
この計算により、平面積よりも約4.7㎡大きい実際の屋根面積が求められます。

 

軒の出を含めた正確な測定方法

軒の出の測定は屋根面積計算で最も見落としやすく、かつ重要な要素です。軒の出を含まない場合、面積に大きな誤差が生じます。

 

軒の出による面積差の実例:
建物8m×4m、軒の出30cmの場合

  • 軒の出を含まない場合:32㎡ × 1.15 = 36.8㎡
  • 軒の出を含む場合:39.56㎡ × 1.15 = 45.49㎡
  • 差額:約9㎡(約24%の違い)

軒の出の測定ポイント:

  • 外壁面から屋根先端までの距離を測定
  • 建物四方すべての軒の出を確認(一律ではない場合がある)
  • ケラバ(妻側の軒)も忘れずに測定
  • 目測の場合は安全のため多めに見積もる

軒の出は建物の保護機能を持つため、近年の住宅では30cm〜90cm程度が一般的です。古い住宅や和風建築では1m以上の大きな軒の出を持つ場合もあり、これらを見落とすと大幅な計算ミスにつながります。

 

屋根材の施工や雨樋の設置においても、軒の出部分は重要な作業エリアとなるため、正確な測定が施工計画の精度向上に直結します。

 

Googleマップアプリを活用した測定技術

現地での測定が困難な場合や事前調査として、Googleマップの航空写真機能を活用した測定方法が効果的です。この方法により、安全かつ効率的に屋根の概要を把握できます。

 

スマートフォンアプリによる測定:

  • 「屋根の面積計算」アプリ(iOS版)を使用
  • 航空写真上で屋根の角を点で結んで囲む
  • 自動的に面積が表示される
  • 無料かつ匿名で利用可能

デスクトップPC版での測定手順:

  1. Googleマップで対象建物を検索
  2. 航空写真モードに切り替え
  3. 右クリック→「距離を測定」を選択
  4. 建物の各辺を順次測定
  5. 測定値をメモに記録

スマートフォン版での測定:

  • 画面右下の物差し(スケール)を基準に使用
  • 建物の各辺と物差しを目視で比較
  • 地図の縮尺を調整して精度を向上

この方法の精度は現地測定には劣りますが、概算値としては十分実用的です。特に見積もりの初期段階や、複数の物件を効率的に調査する際に威力を発揮します。

 

ただし、軒の出については航空写真では判別が困難なため、現地確認が必須となります。また、樹木や隣接建物により屋根が隠れている場合は、この方法では正確な測定ができません。

 

下屋根を含む複雑な屋根の計算方法

2階建て以上の住宅では、下屋根(1階部分の屋根)が存在するケースが多く、これらを見落とすと大幅な計算ミスにつながります。下屋根は主屋根とは別に計算し、最終的に合計する必要があります。

 

下屋根の特徴と計算ポイント:

  • 1階の玄関、浴室、キッチンなどの上部に設置
  • 主屋根より勾配が緩やかな場合が多い
  • 雨樋や板金工事の施工面積にも影響

複雑な屋根形状の計算例:
🏠 寄棟屋根の場合:

  • 台形部分2面 + 三角形部分2面で構成
  • 各面を個別に計算して合計
  • 立面図での三角形面積:底辺×高さ÷2
  • 台形面積:(上底+下底)×高さ÷2

📐 切妻屋根の場合:

  • 長方形2面で構成
  • 各面積:幅×斜面長
  • 比較的計算が簡単

🔧 方形屋根の場合:

  • 三角形4面で構成
  • 全て同じ形状のため1面×4で計算可能

実際の計算手順:

  1. 航空写真や図面で屋根形状を把握
  2. 主屋根と下屋根を分けて認識
  3. それぞれの投影面積を計算
  4. 各部分の勾配係数を適用
  5. 全ての面積を合計

例:主屋根50㎡(5寸勾配)+ 下屋根15㎡(4寸勾配)の場合

  • 主屋根:50㎡ × 1.118 = 55.9㎡
  • 下屋根:15㎡ × 1.077 = 16.2㎡
  • 合計:72.1㎡

この計算方法により、複雑な屋根形状でも正確な面積算出が可能になり、材料の発注ミスや工期の見積もり誤差を防げます。特に屋根材や防水シートの必要量は、正確な面積計算に基づいて決定されるため、施工品質の向上にも直結します。