

板金工事は国土交通省が定める29種類の専門工事業の一つとして位置づけられており、建築物の内外装に薄い金属板を加工・取り付ける専門技術です。建築物の屋根や外壁、雨樋などに金属板を施工することで、防水性や耐久性を高める重要な役割を担っています。板金工事は主に屋根板金工事、外壁板金工事、雨樋工事、庇板金工事などの種類に分類されます。
参考)https://www.kurihara-bankin.com/blog/199147.html
屋根板金工事は、屋根の防水性と耐久性を確保するために不可欠な工事です。屋根板金には棟板金、谷板金、水切り板金、軒先板金、破風板板金などの種類があり、それぞれ異なる役割を果たしています。
参考)https://www.sk-nw.com/nakamuraworks/blog__detail.php?id=2766
主な屋根板金の種類:
参考)https://www.fujiiseikawara.co.jp/blog/roof-maintenance/bannkinnyane-about/
屋根板金工事で使用される金属屋根材には、素材や形状によって複数の種類があります。近年ではガルバリウム鋼板が主流となっていますが、用途や予算に応じて様々な材料が選択されます。
参考)https://mitsumado.com/column/1598/
屋根材料の種類:
| 材料名 | メリット | デメリット | 用途 |
|---|---|---|---|
| ガルバリウム鋼板 | 耐久性・耐候性に優れ、サビにくい。軽量で施工しやすい | 価格が高め | 新築・リフォーム全般 |
| カラー鋼板 | デザイン性が高く、豊富なカラーバリエーション。比較的安価 | ガルバリウム鋼板に比べて耐久性が劣る | 一般住宅 |
| トタン | 施工が容易でコストが安い | サビやすく耐久性が低い | 従来の住宅(現在は減少) |
| 銅板 | 高級感があり、経年変化で味わいが出る | 価格が非常に高い | 神社仏閣など特殊建築物 |
ガルバリウム鋼板は、アルミニウム・亜鉛・シリコンの合金めっき鋼板で、優れた耐食性と耐久性を持つため現在の主流となっています。特にカバー工法(既存の屋根や外壁の上に新しい素材を重ねる工法)に適しており、リフォーム工事で広く採用されています。
参考)https://www.japan-build.jp/hub/ja-jp/column/kz/05.html
外壁板金工事は、建物の外壁に金属板を施工することで防水・防風・断熱効果を高める工事です。ガルバリウム鋼板やアルミニウム合金を使用した外壁は、軽量かつ耐久性が高く、近年ではモダンなデザインの住宅にも採用されています。
参考)https://www.risaburo.jp/blog/oshigoto/metal_siding_types.html
外壁板金の主な施工方法:
外壁板金工事では、金属サイディングとしてガルバリウム鋼板が最も一般的ですが、アルミサイディングやステンレス鋼板なども使用されます。金属の外壁材は昔はブリキやトタンが主流でしたが、現在ではガルバリウム鋼板が主流となっています。
ガルバリウム鋼板の外壁施工方法の詳細
板金工事と屋根工事は密接に関係していますが、建設業許可上は明確に区別されています。屋根工事は瓦やスレート、金属屋根材など屋根全体の施工を行う工事の総称であり、板金工事は金属製の部材を加工・施工する専門工事です。
参考)https://tobeshinhome.com/column/36/
板金工事と屋根工事の主な違い:
| 項目 | 屋根工事 | 板金工事 |
|---|---|---|
| 目的 | 屋根全体の設置・修理・メンテナンス | 屋根や外壁の補強・防水・仕上げ |
| 施工対象 | 瓦屋根、スレート屋根、金属屋根など | 屋根の棟板金、水切り板金、外壁板金など |
| 主な施工方法 | 葺き替え工事、カバー工法、塗装、修理 | 金属板の加工・取り付け、防水処理 |
| 使用材料 | 瓦、スレート、ガルバリウム鋼板、アスファルトシングル | ガルバリウム鋼板、ステンレス、アルミニウム |
| 建設業許可 | 屋根工事業の許可が必要 |
板金工事業の許可が必要 |
具体的には、瓦屋根の場合、瓦の施工は屋根工事の範囲ですが、その谷部分に設置される谷板金の施工は板金工事の範疇となります。また、板金工事は雨樋の取り付けや外壁の金属サイディング工事なども含む、より広い施工範囲を持っています。屋根に金属板を張り付ける作業内容は板金工事ですが、同じ作業を指して屋根工事と呼ぶこともあり、実務上は重複する部分があります。
参考)https://mizuno-2003-hoon.com/column/hoonkouji-bankinkouji-syaonkouji/1432
板金工事は建物の耐久性を維持するために定期的なメンテナンスが不可欠です。特に棟板金は施工から7~10年程度で釘の浮きなどの経年劣化が発生するため、定期点検が推奨されます。
参考)https://yuko-navi.com/sheet-metal-on-roof
板金工事の主なメンテナンス種類と費用相場:
| メンテナンス種類 | 費用相場 | 実施時期の目安 |
|---|---|---|
| 棟板金釘打ちコーキング | 2~4万円 | 7~10年ごと |
| 板金周りの清掃 | 1~3万円 | 年1~2回 |
| 棟板金交換 | 7,000~12,000円/m | 劣化時・飛散時 |
| サビ止め塗装 | 5~7万円 | サビ発見時 |
| 谷板金交換 |
数万円~15万円程度 |
20~30年 |
| 足場代(必要時) | 800~1,100円/㎡ | - |
💡 重要な劣化のサイン:
板金工事のメンテナンスはDIYでの作業は危険です。屋根に登っての作業中に転落して死亡した実例もあり、必ず専門業者に依頼することが重要です。また、板金は雨水が入らないように精密に計算されて施工されているため、知識のない方が思いつきでコーキング材を充填するとかえって雨漏りを引き起こす恐れがあります。
屋根板金のメンテナンスと費用の詳細解説