
RS60ローラーチェーンは、JIS、ASME、ISOに準拠した世界規格のドライブチェーンとして、建設現場で広く使用されています。基本的な寸法は以下の通りです。
主要寸法データ
これらの寸法は、チェーンの互換性を決定する重要な要素です。特にピッチ、ローラ径、内リンク内幅は「チェーンの基本3寸法」と呼ばれ、これらが同一であればチェーンとスプロケットの互換性が保証されます。
材質と構造
RS60チェーンはスチール製で、椿本チェインが独自開発した「ソリッドブシュ」技術により、継ぎ目のない構造を実現しています。特殊ルーブディンプル(LD)加工により潤滑油の保持効果が向上し、従来品と比較して摩耗寿命が2倍に延長されています。
RS60チェーンは列数によって大幅に性能が変化します。建設現場での用途に応じた適切な選定が重要です。
1列チェーン(RS60-1)の仕様
2列チェーン(RS60-2)の仕様
3列チェーン(RS60-3)の仕様
列数が増加するにつれて、許容張力は比例的に増加しますが、重量も同様に増加するため、建設機械の構造強度と運搬効率を考慮した選定が必要です。
建設現場でRS60チェーンが活用される主な機械と用途は多岐にわたります。
小型建設機械での活用
中型建設機械での適用
RS60の2列、3列タイプは中型建設機械の主要動力伝達部に使用されます。特に、連続運転が要求される現場では、高い許容張力と優れた耐久性が重要な選定要因となります。
選定時の重要ポイント
建設現場では、1日10時間以上の連続運転が一般的なため、標準的な工業用途よりも高い信頼性が求められます。
RS60チェーンの価格は列数と仕様によって大きく変動します。建設プロジェクトの予算管理において重要な要素です。
価格帯の目安(2025年現在)
ピン形式による価格差
リベット形(RP)と割ピン形(CP)では、割ピン形の方が約30%高価ですが、現場での分解・組立が容易なため、メンテナンス頻度の高い用途では長期的にコスト効率が良い場合があります。
調達時の注意点
建設業界では、機械の稼働停止によるプロジェクト遅延が重大な損失につながるため、予備品の確保と信頼できる供給業者との関係構築が重要です。
建設現場の過酷な環境下でRS60チェーンの性能を最大限に引き出すには、適切な保守管理が不可欠です。
潤滑管理の重要性
RS60チェーンには複数の潤滑形式があります。
現場での点検項目
延命技術のポイント
建設現場特有の粉塵環境では、防塵カバーの設置と定期的な清掃が効果的です。また、椿本チェインが開発したLD(ルーブディンプル)加工により、潤滑油の保持効果が向上し、通常の2倍の摩耗寿命を実現できます。
交換タイミングの判断
適切な保守管理により、RS60チェーンは建設現場の厳しい条件下でも長期間の安定稼働を実現し、プロジェクトの生産性向上に大きく貢献します。