RS60チェーン寸法一覧と建設現場での選定ポイント

RS60チェーン寸法一覧と建設現場での選定ポイント

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RS60チェーン寸法一覧

RS60チェーンの重要寸法データ
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基本寸法

ピッチ19.05mm、ローラ径11.91mm、内リンク内幅12.70mmの標準仕様

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列数別仕様

1列、2列、3列タイプで許容張力と重量が大幅に変化

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建設機械適用

コンベア、ホイスト、クレーンなど多様な建設機械に対応

RS60チェーンの基本寸法と仕様詳細

RS60ローラーチェーンは、JIS、ASME、ISOに準拠した世界規格のドライブチェーンとして、建設現場で広く使用されています。基本的な寸法は以下の通りです。

 

主要寸法データ

  • ピッチ(P):19.05mm
  • ローラ径(R):11.91mm
  • 内リンク内幅(W):12.70mm
  • プレート厚さ(T):2.4mm
  • ピン径(D):5.96mm
  • プレート幅(H):18.1mm

これらの寸法は、チェーンの互換性を決定する重要な要素です。特にピッチ、ローラ径、内リンク内幅は「チェーンの基本3寸法」と呼ばれ、これらが同一であればチェーンとスプロケットの互換性が保証されます。

 

材質と構造
RS60チェーンはスチール製で、椿本チェインが独自開発した「ソリッドブシュ」技術により、継ぎ目のない構造を実現しています。特殊ルーブディンプル(LD)加工により潤滑油の保持効果が向上し、従来品と比較して摩耗寿命が2倍に延長されています。

 

RS60チェーンの列数別寸法比較と性能差

RS60チェーンは列数によって大幅に性能が変化します。建設現場での用途に応じた適切な選定が重要です。

 

1列チェーン(RS60-1)の仕様

  • 最大許容張力:8.83kN
  • 平均引張強さ:44.1kN
  • 概略質量:1.53kg/m
  • ピン長(L1+L2):27.6mm

2列チェーン(RS60-2)の仕様

  • 最大許容張力:15.0kN(1列の約1.7倍)
  • 平均引張強さ:88.3kN
  • 概略質量:3.04kg/m(1列の約2倍)
  • 横ピッチ(C):22.8mm

3列チェーン(RS60-3)の仕様

  • 最大許容張力:22.1kN(1列の約2.5倍)
  • 平均引張強さ:132kN
  • 概略質量:4.54kg/m(1列の約3倍)

列数が増加するにつれて、許容張力は比例的に増加しますが、重量も同様に増加するため、建設機械の構造強度と運搬効率を考慮した選定が必要です。

 

RS60チェーンの建設機械での適用事例と選定基準

建設現場でRS60チェーンが活用される主な機械と用途は多岐にわたります。

 

小型建設機械での活用

  • ミニショベルのトラック駆動システム
  • 小型クレーンのホイスト機構
  • 移動式コンクリートミキサーの撹拌装置
  • ベルトコンベアの駆動部11

中型建設機械での適用
RS60の2列、3列タイプは中型建設機械の主要動力伝達部に使用されます。特に、連続運転が要求される現場では、高い許容張力と優れた耐久性が重要な選定要因となります。

 

選定時の重要ポイント

  • 運転速度:低速大荷重に最適化された設計
  • 環境条件:粉塵や水分に対する耐性
  • メンテナンス性:現場での交換作業の容易さ
  • コスト効率:初期費用と長期運用コストのバランス

建設現場では、1日10時間以上の連続運転が一般的なため、標準的な工業用途よりも高い信頼性が求められます。

 

RS60チェーンの価格動向と調達戦略

RS60チェーンの価格は列数と仕様によって大きく変動します。建設プロジェクトの予算管理において重要な要素です。

 

価格帯の目安(2025年現在)

  • RS60-1-RP-U(1列):約11,200円
  • RS60-2-RP-U(2列):約24,800円
  • RS60-3-RP-U(3列):約39,800円

ピン形式による価格差
リベット形(RP)と割ピン形(CP)では、割ピン形の方が約30%高価ですが、現場での分解・組立が容易なため、メンテナンス頻度の高い用途では長期的にコスト効率が良い場合があります。

 

調達時の注意点

  • ユニット単位(U)での発注が一般的
  • 継手リンク(JL)とオフセットリンク(OL)の別途手配が必要な場合がある
  • 特殊長さの場合は編成品として発注可能

建設業界では、機械の稼働停止によるプロジェクト遅延が重大な損失につながるため、予備品の確保と信頼できる供給業者との関係構築が重要です。

 

RS60チェーンの保守管理と現場での寿命延長技術

建設現場の過酷な環境下でRS60チェーンの性能を最大限に引き出すには、適切な保守管理が不可欠です。

 

潤滑管理の重要性
RS60チェーンには複数の潤滑形式があります。

  • 無給油タイプ:メンテナンスフリーだが寿命は短め
  • 強力タイプ:高負荷用途に適用
  • 耐環境タイプ:粉塵や湿度の高い現場向け

現場での点検項目

  • チェーンの伸び測定(ピッチ誤差の確認)
  • ローラーの回転状況
  • プレートの亀裂や摩耗状況
  • ピンの緩みや変形
  • スプロケットとの噛み合い状況

延命技術のポイント
建設現場特有の粉塵環境では、防塵カバーの設置と定期的な清掃が効果的です。また、椿本チェインが開発したLD(ルーブディンプル)加工により、潤滑油の保持効果が向上し、通常の2倍の摩耗寿命を実現できます。

 

交換タイミングの判断

  • チェーン伸びが初期長の2%を超えた場合
  • ローラーの摩耗が径の10%を超えた場合
  • 異音や振動が発生した場合
  • スプロケットとの噛み合い不良が確認された場合

適切な保守管理により、RS60チェーンは建設現場の厳しい条件下でも長期間の安定稼働を実現し、プロジェクトの生産性向上に大きく貢献します。