
雨戸は住宅の外側に位置し、常に風雨にさらされているため、経年劣化や自然災害の影響を受けやすい部分です。雨戸の修理が必要になる主な症状には以下のようなものがあります。
・開閉時に異音がする(ギギギなど)
・雨戸が閉まるスピードが異常に速いまたは遅い
・完全に閉まらず隙間ができる
・雨漏りが発生している
・表面にひび割れや歪みがある
・レールが変形している
これらの症状が現れる主な原因としては、以下のようなことが考えられます。
早期に症状に気づいて対処することで、大掛かりな修理や交換を避けることができます。定期的に雨戸の状態をチェックし、異常を感じたら早めに対応することをおすすめします。
雨戸の不具合のうち、軽微な症状であれば自分で修理することが可能です。DIYで対応できる範囲と具体的な修理方法を紹介します。
DIYで対応可能な症状
・開閉時に異音がする
・雨戸が閉まるスピードが異常
・レールに詰まりがある
1. レールの清掃と潤滑
レールにゴミや埃が溜まると、雨戸の動きが悪くなります。以下の手順で清掃しましょう。
① 掃除機でレール内の大きなゴミを吸い取る
② 古い歯ブラシなどを使って細かい溝のゴミを掻き出す
③ 湿らせた布でレールを拭く
④ 完全に乾いたことを確認する
⑤ シリコンタイプの潤滑スプレーをレールに塗布する
潤滑スプレーを使用することで、レールの滑りが良くなり、異音も解消されることが多いです。ただし、油性の潤滑剤は埃を吸着しやすいので避けましょう。
2. 戸車の交換
引き戸型の雨戸は、レールと雨戸本体の間に「戸車」という小さな車輪があります。この戸車が破損していると、スムーズな開閉ができなくなります。
① 雨戸をレールから取り外す(2人以上で作業するとより安全)
② 戸車の取り付け方法を確認(はめ込み式かネジ留め式か)
③ 古い戸車を取り外す
④ 新しい戸車を取り付ける
⑤ 雨戸をレールに戻し、動作確認をする
戸車は雨戸のメーカーや種類によって形状が異なります。交換部品を購入する際は、雨戸のメーカーに問い合わせるか、取り外した戸車を持参してホームセンターで適合するものを探すとよいでしょう。
DIYの限界と注意点
以下のような症状の場合は、DIYでの修理は避け、専門業者に依頼することをおすすめします。
・雨戸本体にひび割れや歪みがある
・雨漏りが発生している
・レール自体が変形している
・可動ルーバー式の雨戸の修理
特に可動ルーバー式の雨戸は構造が複雑なため、専門知識がなければ修理は困難です。無理な修理を試みると、かえって状態を悪化させる恐れがあります。
DIYでは対応できない大きな破損や複雑な修理が必要な場合は、専門業者に依頼するのが賢明です。ここでは、業者に依頼する場合の費用相場と依頼する際のポイントを解説します。
修理内容別の費用相場
修理内容 | 費用相場 |
---|---|
サッシ・レールの修理 | 1万~5万円 |
雨戸本体・戸袋修理 | 3万~10万円 |
戸車修理(業者依頼の場合) | 1万~1.5万円 |
単板引き違い雨戸の交換 | 2万~6万円 |
通風雨戸(ルーバー式)の交換 | 3万~6万円 |
アコーディオン雨戸の交換 | 2万~6万円 |
手動シャッターへの交換 | 8万~15万円 |
電動シャッターへの交換 | 10万~30万円 |
これらの費用に加えて、2階部分の雨戸を修理・交換する場合は、足場費用として別途8万円~12万円程度かかることがあります。
業者選びのポイント
複数の業者から見積もりを取ることで、適正価格を知ることができます。また、過度に高い料金を請求する悪徳業者を避けることにもつながります。
多くのリフォーム業者は無料で現地調査・診断を行っています。この機会に建物の状態を専門家に見てもらい、複数の優良業者から見積もりを出してもらうとよいでしょう。
施工実績や口コミ評判を確認し、信頼できる業者を選びましょう。可能であれば、過去の施工例を見せてもらうのもおすすめです。
修理後のアフターフォローや保証期間についても事前に確認しておくことが重要です。
雨戸交換の選択肢
修理ではなく交換を検討する場合は、以下のような選択肢があります。
・従来型の雨戸への交換
・通風雨戸(ルーバー式)への交換:閉めていても風を取り入れられる
・シャッターへの交換:防犯性能が高い
最近は防犯や防災の観点から、従来の雨戸からシャッターへの交換を選ぶ家庭が増えています。電動シャッターは便利ですが、すべての窓に設置すると費用がかさむため、頻繁に開閉する窓のみ電動にするなど、使用頻度に応じて選択するとコスト削減につながります。
雨戸の修理費用は決して安くありません。しかし、条件が合えば火災保険を利用して修理費用をカバーできる可能性があります。ここでは、火災保険の適用条件と申請方法について解説します。
火災保険が適用される条件
火災保険は火災だけでなく、以下のような自然災害による住宅の破損も補償の対象となることが多いです。
・風災(台風、暴風など)
・雪災(雪の重みによる破損など)
・雹災、落雷
・水災(洪水、高潮など)
特に台風などの強風で雨戸が破損した場合は、火災保険の「風災」として補償される可能性が高いです。ただし、保険会社や契約内容によって補償範囲は異なりますので、自分の加入している保険の内容を確認することが重要です。
火災保険申請の流れ
まず、自分が加入している火災保険の補償内容を確認します。特に「風災」「雪災」などの自然災害が補償対象に含まれているか、免責金額(自己負担額)はいくらかを確認しましょう。
いきなり保険会社に連絡するのではなく、まずはリフォーム業者に現地調査を依頼し、破損状況の確認と修理見積もりを取得します。この際、火災保険が適用できそうかどうかも相談するとよいでしょう。
破損が保険適用の可能性が高いと判断できたら、保険会社に連絡します。その際、以下の情報を伝えます。
・いつ、どのような災害で破損したか
・どの部分がどのように破損しているか
・修理見積もりの金額
保険会社は調査員を派遣して破損状況を確認することがあります。台風などの自然災害の場合は、発生日時や気象データなども確認されます。
保険会社が補償を認めれば、修理費用が保険金として支払われます。支払い方法は、実際にかかった修理費用を後から精算する「実費精算方式」と、あらかじめ決められた金額が支払われる「定額払い方式」があります。
申請時の注意点
・保険の申請は一度拒否されると再申請が難しいため、専門家のアドバイスを受けてから申請するのが賢明です。
・経年劣化による破損は補償対象外となることが多いため、自然災害との因果関係を明確にすることが重要です。
・修理前に写真撮影などで破損状況を記録しておくと、申請時の証拠として役立ちます。
・保険適用の場合でも、免責金額(自己負担額)がある場合は差し引かれます。
火災保険が適用されれば、足場費用なども含めた修理費用を保険金でカバーできるため、経済的な負担を大きく軽減できます。
雨戸の修理やメンテナンスを行うタイミングは、季節や天候によって大きく影響を受けます。効果的なメンテナンス時期と予防策について解説します。
最適な修理時期
雨戸の修理に最適な時期は、以下のような点を考慮して決めるとよいでしょう。
9月から10月は台風が多く発生する時期です。台風シーズンの前に雨戸の点検・修理を行っておくことで、強風による被害を最小限に抑えることができます。
梅雨の時期は湿気が多く、修理後の塗装や部品の乾燥に時間がかかります。梅雨明け後の晴れた日が続く時期は、修理作業がスムーズに進みやすいです。
夏休みや年末年始など、長期間家を空ける予定がある場合は、その前に雨戸の点検・修理を済ませておくことをおすすめします。不在中に台風などが来ても、しっかりと雨戸が機能するよう準備しておきましょう。
定期的な予防メンテナンス
雨戸の大きな修理を避けるためには、定期的な予防メンテナンスが効果的です。以下のような簡単なメンテナンスを行うことで、雨戸の寿命を延ばすことができます。
レールに溜まったゴミや埃を定期的に掃除することで、スムーズな開閉を維持できます。掃除機や刷毛を使って清掃し、その後シリコンスプレーで潤滑させるとよいでしょう。
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雨戸本体に付着した汚れや塩分(特に海岸近くの住宅)を洗い流すことで、腐食や劣化を防ぐことができます。中性洗剤を薄めた水で洗い、しっかりと乾かしましょう。
金属製の雨戸やレールは、錆びが発生しやすいです。錆び止めスプレーを塗布することで、腐食を防ぐことができます。
木製の雨戸は、定期的に塗装を塗り直すことで防水性を維持し、腐食を防ぐことができます。塗装の剥がれや色あせが目立ち始めたら、メンテナンスのタイミングです。
雨戸の寿命を延ばすコツ
・強風時には必ず雨戸を閉める(半開きは避ける)
・開閉時に無理な力をかけない
・レールに異物を放置しない
・雨戸に物を立てかけない
特に台風シーズンには、気象情報に注意して早めに雨戸を閉めるようにしましょう。また、普段使わない雨戸も定期的に開閉して、動作確認をすることが重要です。
雨戸は適切なメンテナンスを行うことで、10年以上の長期間にわたって使用することができます。小さな異常に早めに対処することで、大掛かりな修理や交換の必要性
雨戸の修理は、自分で行うことも可能です。ただし、雨戸の種類や修理内容によっては、専門業者に依頼した方が安全です。
作業を依頼する業者選びで迷ったら、イエコマのような紹介センターに紹介してもらうのもいいでしょう。
こういった紹介サービスは、利用者からのクレームが多い評判の悪い業者は自動的に排除されるので、悪徳業者に当たることはそうそうないでしょう。
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