
アルミパンチングメタルの規格選定において、まず重要となるのが定尺サイズです。建築業界では主に以下の2つのサイズが標準規格として流通しています。
主要な定尺サイズ規格:
これらの定尺サイズは、運搬効率と加工コストを考慮して設定されており、市場流通量が多いため価格面でも優位性があります。特に1000×2000mmのメーター板は、建築外装や内装デザインで最も使用頻度が高い規格となっています。
定尺からの寸法カットも可能ですが、切断面に穴部分がかかる場合はエッジが残留しやすく、安全性に配慮した設計が必要です。そのため、材料寸法に対して穴を開ける部分の余白を設けるなどの工夫が推奨されています。
松陽産業のパンチングメタル規格品詳細情報
アルミパンチングメタルで使用される主要な材質規格は、A1050とA1100です。これらの材質は、建築用途において異なる特性を持っており、使用環境に応じた適切な選択が重要となります。
A1050の特性:
A1100の特性:
材質規格の選定では、使用環境の塩害対策や長期耐久性を考慮することが重要です。特に沿岸部や工場地帯では、より高い耐食性を持つA1050の選択が推奨されます。
片面養生仕様の製品も用意されており、施工時の傷付き防止や品質保持に有効です。この養生シートは施工完了後に剥離することで、美しい仕上がりを実現できます。
アルミパンチングメタルの性能を決定する重要な要素が、穴径とピッチの組み合わせです。開口率や強度、意匠性に直接影響するため、用途に応じた適切な規格選定が必要となります。
標準的な穴径・ピッチ規格:
穴径(mm) | ピッチ(mm) | 開口率(%) |
---|---|---|
3.0 | 5.0 | 32.6 |
5.0 | 8.0 | 35.4 |
6.0 | 9.0 | 40.2 |
8.0 | 12.0 | 40.2 |
10.0 | 15.0 | 40.2 |
開口率は通風性や採光性に直結し、外装ルーバーでは30-50%程度、内装パネルでは20-40%程度が一般的です。板厚は0.5mm、0.8mm、1.0mm、1.2mm、1.5mm、2.0mm、3.0mmが標準規格として用意されています。
構造強度が要求される用途では板厚2.0mm以上、意匠性重視の内装用途では0.8-1.2mmが適しています。穴径とピッチの関係は構造強度に大きく影響するため、荷重計算を含めた詳細検討が重要です。
アルミパンチングメタルの耐候性と意匠性を向上させる表面処理規格には、主にアルマイト処理があります。建築用途では、シルバーアルマイトとブロンズアルマイトが標準的に使用されています。
アルマイト処理規格の種類:
表面処理による膜厚は通常10-20μmで、JIS H 8601に準拠した品質管理が行われています。特に外装用途では、耐候性試験(JIS H 8602)に適合した製品の選択が重要となります。
アルマイト処理は穴あけ加工後に実施されるため、切断面も含めて均一な被膜形成が可能です。ただし、現場での追加加工を行う場合は、切断面の防食処理が別途必要となります。
処理コストは生地品と比較して20-30%程度の上昇となりますが、長期メンテナンス性を考慮すると経済性に優れる選択肢といえます。
標準規格品では対応できない特殊用途では、カスタマイズによる特注製作が可能です。しかし、統一規格が存在しないパンチングメタル業界では、メーカー間で微細な寸法差が存在するため注意が必要です。
特注対応可能範囲:
特注製作では初期投資として金型費用が発生し、数量によってはコスト増加が顕著となります。そのため、標準規格品の組み合わせによる設計検討を優先することが経済的です。
設計段階で重要となるのが、構造計算における安全率の確保です。パンチング加工により材料の断面積が減少するため、許容応力の見直しが必要となります。開口率50%の場合、実質的な材料強度は約60-70%程度まで低下することを考慮した設計が重要です。
また、製造時の穴位置精度は±0.1mm程度が標準的であり、高精度が要求される用途では製造公差の確認が不可欠です。施工時の取り付け金具との位置関係や、隣接パネルとの継ぎ目処理についても事前検討が必要となります。