統一規格例と建設業界メリット活用

統一規格例と建設業界メリット活用

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統一規格例と建設業界活用

📋 統一規格の主な種類と特徴
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全建統一様式

安全書類作成の業界標準フォーマット。第1号から第11号まであり、法令準拠で信頼性が高い。

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JIS規格

日本産業規格として鉄筋コンクリート用棒鋼や建築材料の品質・寸法を統一。建築基準法との適合性が重要。

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ISO規格

国際標準化機構による品質管理(ISO9001)や環境管理(ISO14001)の規格。公共工事の入札条件になることも。

統一規格とは建設業界標準

統一規格とは、建設業界において工事や書類作成の際に統一された基準や様式のことを指します。建設業では多数の事業者や協力会社が関わるため、共通の規格を使用することで業務の効率化と品質の均一化が実現します。
参考)【最新版】安全書類「全建統一様式」とは?|記入例と書き方まで…

代表的な統一規格として、安全書類作成に使用される全建統一様式があります。これは一般社団法人全国建設業協会が定めた様式で、第1号から第11号まで存在し、官公庁や自治体が発注する土木工事や建築工事などの公的機関に提出する書類作成に広く活用されています。全建統一様式は法令の変更に伴う改訂が定期的に行われており、現場に準拠した信頼性の高い書類作成が可能です。
参考)安全書類作成ガイド

建設業における統一規格には、材料規格として**JIS規格日本産業規格)**も重要な役割を果たしています。JIS規格は工業製品の寸法や形状、材質などの標準を決めた取り決めで、例えば鉄筋コンクリート用棒鋼は「JIS G 3112」のように分類され、建築基準法に準拠した材料として使用されます。
参考)施工の神様

統一規格の例全建統一様式

全建統一様式は、建設業界における安全書類の作成を効率化する統一規格として、現場で広く活用されています。この様式には、施工体制台帳、作業員名簿、再下請負通知書など、現場で必要とされる重要な安全書類が含まれています。
参考)建設業界の方必見! 全建統一様式の書き方をわかりやすく解説【…

全建統一様式の最大の特徴は、どの現場や事業者でも統一された規格で安全書類の作成ができ、かつ記載内容が法律等に則っていることが担保されている点です。書類作成の担当者が変わっても、同じ内容で作業できるため引継ぎもスムーズに行えます。
参考)安全書類とは?重要性と17種類の概要・記載内容・作成のコツ

具体的には、令和2年10月1日に改正建設業法が施行され、監理技術者の専任義務の緩和や作業員名簿の作成が実質的に義務化されたことに伴い、施工体制台帳や再下請負通知書などの様式が改訂されました(改訂5版)。このように、全建統一様式は法改正に迅速に対応し、常に最新の法令に準拠した様式を提供しています。​
また、全建統一様式は民間工事でもよく使用されており、独自(オリジナル)書式よりも普遍性や書類作成業務の効率性の観点で優れています。各地域の建設業協会では会員向けにテンプレートを提供している場合もあるため、利用を検討する価値があります。​

統一規格の例JIS規格とISO規格

建設業界では安全書類以外にも、材料や品質管理に関する統一規格が重要な役割を果たしています。その代表例がJIS規格ISO規格です。
参考)JIS規格・ISO規格・IEC規格の基礎知識

JIS規格(日本産業規格)は、工業製品の統一や単純化を図るために制定された国内規格で、建築・土木分野では材料の寸法や形状、材質などの標準を定めています。例えば、コンクリートや留め具、金具などはJIS規格によって品質管理されており、鉄筋コンクリート用棒鋼は「JIS G 3112」として規格化されています。JIS規格に準拠することで、利便性や相互性の確保、生産のコストダウン、開発のスピードアップ、安全の確保などのメリットが得られます。
参考)【メモ】建築業界に関わる規格の違い(JIS,JAS)|長屋悠…

一方、ISO規格は国際標準化機構(ISO)によって定められた国際規格で、建設業界では品質管理のISO9001や環境管理のISO14001が代表的です。ISO9001は公共工事の入札条件になることもあり、取引拡大に直結しやすい特徴があります。また、ISO9001とISO14001を統合したマネジメントシステム(IMS)を構築することで、文書管理の効率化や監査費用の削減も可能になります。
参考)なぜ建設業にISOは必要?取得すべき規格や成功ポイントを解説…

JIS規格とISO規格の違いとして、JIS規格は国内の建築や輸送の基準として定められているのに対し、ISO規格は国際標準として世界共通の規格という点があります。建設業では両規格を適切に活用することで、国内外の取引や品質管理において優位性を確保できます。
参考)コンテナハウスの規格を理解する

統一規格導入のメリット

統一規格を導入することで、建設業界では多くのメリットが得られます。最も大きなメリットは、業務の効率化とコスト削減です。
参考)安全書類の作成を効率化して負担軽減!6つのコツをわかりやすく…

全建統一様式を例にとると、統一された規格で安全書類を作成できるため、元請会社や協力会社など関係者間での認識のズレを防ぐことができます。どの現場でも同じ基準で書類を作成でき、確認作業が効率化され、事務処理の負担が軽減されます。また、書類作成の担当者が変わっても、同じ知識で作成できるため、労力を最低限に抑えることができます。​
ISO規格の統合マネジメントシステム(IMS)を導入した製造業の事例では、ISO9001とISO14001を統合することで、文書を30%削減し、年1回の統合監査で済むようになり、監査費用が約2割ダウンしました。建設業でも同様に、複数の現場で環境負荷と品質を同時に管理する統合マニュアルを作成することで、現場の負担が軽減され、不具合や環境トラブルへの対処が迅速になった事例があります。
参考)ISOの統合マネジメントシステム(IMS)とは?構築する必要…

さらに、統一規格は法令準拠性も担保されているため、法改正への対応が遅れたり漏れたりするリスクを減らせます。独自様式では法改正への対応が課題となることが多いですが、全建統一様式のように定期的に改訂される規格を使用することで、安心して業務を進められます。​

統一規格導入の注意点とデメリット

統一規格の導入には多くのメリットがある一方で、注意すべき点やデメリットも存在します。導入を成功させるためには、これらの課題を理解し、適切に対処することが重要です。
参考)パレット共通化のメリット・デメリットとレンタルパレットを紹介…

最も大きなデメリットは、導入コストの高さです。パレット共通化の例では、統一規格のパレットに交換する際、パレットの購入費用だけでなく、マテリアルハンドリング機器の改修や交換、商品のサイズや梱包の見直しなど、さまざまな面で莫大なコストがかかるケースがあります。場合によっては、統一規格の導入のために数億円単位のコストがかかる場合もあり、導入コストの面は非常に大きなネックとなっています。
参考)【2025年最新版】製造業における標準化とは?標準化の基本か…

また、マニュアルの見直しが必要になる点も注意が必要です。複数の規格を統合する際、既存の手順やプロセスを一本化する必要があり、これに伴って既存の文書やマニュアルを更新する作業が発生します。例えば、品質管理と環境管理の手順が統合された場合、それぞれの規格に適合する形で新たにマニュアルを作成し直す必要があり、時間と労力がかかります。
参考)ISO9001・ISO14001の統合マニュアルとは?作り方…

さらに、個別管理が必要な要求事項の判断も重要です。各規格には独自の要求事項が含まれており、それらを統合する際に一部の要件は個別に管理する必要があります。個別で管理しなければいけない要求事項を見落とすと、認証取得や維持が難しくなる可能性があるため、統合プロセスでは各規格の特異性をしっかりと理解し、適切な管理方法をすることが重要です。​
意外な注意点として、標準化にはマニュアル通りにしか動けなくなるリスクもあります。標準化された業務はミスこそ減らせるものの、イレギュラーな業務には対応できない社員が出てくる可能性も考慮しなければなりません。臨機応変に対応が必要な業務においては、マニュアルの内容を限定的に書きすぎないことや、イレギュラー対応時に過去の対応履歴を参照できる環境づくりなども必要です。​

統一規格の効果的な運用方法

統一規格を効果的に運用するためには、導入時だけでなく、継続的な改善と関係者間のコミュニケーションが不可欠です。​
まず、全建統一様式のテンプレートを使用することが効率化の第一歩です。安全書類を効率化する第一歩として、すべての安全書類を一般社団法人「全国建設業協会」の全建統一様式のテンプレートに統一することが推奨されています。このテンプレートは法律に基づいて作成されていて、基本的にどんな現場でも通用するため、義務化された内容を漏れなく記載でき、書類作成の手間を削減できます。​
次に、必要項目を事前に関係者と共有することが重要です。元請けからオリジナルのフォーマットで提出を求められる場合もあるため、どの様式を使用するか、どの項目が必要かを事前に確認しておくことで、二度手間を防ぐことができます。全建統一様式は業界で広く認知された統一規格であり、関係者間での認識違いが最小限に抑えられるため、確認作業の負担が軽減され、トラブルを防ぐことができます。​
ISO規格の運用では、建設業の実情に合ったマニュアルや書類作成のポイントを押さえることが成功の鍵です。建設業におけるISO9001認証・運用を成功させる秘訣は、ルールや仕組みをシンプルに整えることです。これが上手くいかなければ現場の負担が大きくなり、形骸化のリスクが高まります。利害関係者とのコミュニケーションの記録や、労働災害以外の不適合があった際の対応など、建設業特有の課題に対応したマニュアルを作成することが推奨されています。
参考)建設業でISO9001は必須?取得する目的や、書類作成のポイ…

さらに、クラウドシステムの導入も効果的な運用方法の一つです。パソコンの便利機能を活用するだけでなく、クラウドシステムを導入することで、複数の現場や関係者間でリアルタイムに情報を共有でき、書類作成や確認作業の効率が大幅に向上します。​
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