
バネ座金はJIS B1251:2018によって規格化されており、建築業界で最も重要な締結部品の一つです。この規格では、一般用(2号)と重荷重用(3号)の2種類が定められており、それぞれ異なる用途に対応しています。
2号は一般的なボルト・小ねじ・ナットに使用され、3号は重荷重が想定される一般用ボルト・ナットに適用されます。建築現場では主に2号が多用されており、軽量鉄骨造から木造建築まで幅広く活用されています。
規格の特徴として、外径は最大値、厚さは最小値で規定されている点が挙げられます。これにより、製造時のばらつきを考慮しつつ、確実な機能性を担保しています。
JIS B1251規格による一般用バネ座金(2号)の主要寸法を以下に示します。
呼び | 内径d(mm) | 外径D(mm) | 厚さt(mm) | 幅b(mm) |
---|---|---|---|---|
M3 | 3.1 | 5.9 | 0.7 | 1.1 |
M4 | 4.1 | 7.6 | 1.0 | 1.4 |
M5 | 5.1 | 9.2 | 1.3 | 1.7 |
M6 | 6.1 | 12.2 | 1.5 | 2.7 |
M8 | 8.2 | 15.4 | 2.0 | 3.2 |
M10 | 10.2 | 18.4 | 2.5 | 3.7 |
M12 | 12.2 | 21.5 | 3.0 | 4.2 |
サイズ選定時の注意点として、括弧付きの呼び寸法(M3.5、M4.5など)は使用を避けることが推奨されています。これは製造コストと在庫管理の観点から、標準サイズへの統一が図られているためです。
内径の許容差は呼び寸法が大きくなるにつれて増加し、M12以上では+0.6〜+1.4mmの範囲で設定されています。この数値は、ボルトとの適合性を確保しつつ、作業効率を向上させる設計思想に基づいています。
バネ座金の材質は鋼製とステンレス鋼製の2種類が規格化され、それぞれ異なる強度特性を持ちます。鋼製は一般的な建築用途に適しており、コストパフォーマンスに優れています。
ステンレス鋼製(主にSUS304)は耐食性が要求される環境で使用され、海岸地域や化学工場などの過酷な条件下での長期使用に適しています。建築現場では、外装部分や湿度の高い場所での使用が推奨されます。
表面処理については、**ドブメッキ(溶融亜鉛メッキ)**が一般的で、防錆性能を大幅に向上させます。メッキ厚は通常25〜75μmで管理され、屋外使用時の耐久性を確保しています。
意外な事実として、バネ座金の圧縮試験後の自由高さも規格で定められており、繰り返し荷重に対する復元力が数値化されています。これにより、長期使用時の性能劣化を予測できます。
NBK鍋屋バイテック会社の技術資料では、JIS B1251の詳細な寸法表と材質特性について解説
建築設計においてバネ座金を選定する際、荷重条件と使用環境が最重要要素となります。一般用2号は設計荷重が比較的軽微で、静的荷重が主体の接合部に適用されます。
重荷重用3号は、強度区分8.8以上の高張力ボルトとの組み合わせで使用され、動的荷重や繰り返し荷重が作用する部位に採用されます。鉄骨構造の主要接合部や耐震ブレースの取り付け部などが該当します。
設計時の留意点として、ボルトピッチと座金外径の関係を十分検討する必要があります。狭いピッチでは隣接する座金同士が干渉する可能性があり、最小クリアランスは座金外径の1.2倍以上確保することが推奨されています。
組み込み用バネ座金は内径が狭く設計されており、六角ボルトの頭部から外れない構造となっています。これにより、高所作業時の部品落下リスクを軽減でき、安全性向上に寄与します。
JIS B1251では、バネ座金の品質を保証するため詳細な検査基準が設定されています。圧縮試験では、規定荷重下での変形量と復元力を測定し、弾性特性を評価します。
試験荷重は呼び寸法によって異なり、M3で0.85kN、M10で10.8kN、M20で47.1kNと段階的に増加します。この数値は実際の使用荷重の2〜3倍に設定され、十分な安全率を確保しています。
製造時の品質管理では、硬度測定と寸法検査が必須項目となります。硬度はHRC40〜50の範囲で管理され、適切な弾性と耐久性のバランスを実現しています。
意外な検査項目として、自由高さの測定があります。これは座金が無負荷状態での高さを示し、約2倍の厚さ(2t)に設定されています。この数値により、適切な締付け力と弾性復元力の関係を把握できます。
購入時の品質確認では、表面の傷や亀裂の有無を目視検査し、JISマークまたは製造者記号の表示を確認することが重要です。不適合品の使用は接合部の信頼性低下を招く可能性があります。