鉄骨造と鉄筋コンクリート造の違いと特徴や構造の比較

鉄骨造と鉄筋コンクリート造の違いと特徴や構造の比較

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鉄骨造と鉄筋コンクリート造の違い

鉄骨造と鉄筋コンクリート造の主な違い
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構造材料

鉄骨造は鋼材を骨組みに使用、鉄筋コンクリート造は鉄筋とコンクリートの複合材料を使用

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施工期間

鉄骨造は工場生産・現場組立で工期短縮可能、鉄筋コンクリート造は型枠作成・コンクリート硬化に時間が必要

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コスト

鉄骨造は比較的低コスト、鉄筋コンクリート造は材料費・人件費が高く建築コストが増加

鉄骨造と鉄筋コンクリート造の基本構造と材料の違い

建築物の構造を選定する際、鉄骨造(S造)と鉄筋コンクリート造RC造)の違いを理解することは非常に重要です。これらの構造は使用材料と構造原理において根本的に異なります。

 

鉄骨造は、その名の通り鋼材(Steel)を主要構造部材として使用します。一般的に「S造」と略されることが多く、鋼材の厚さによって「軽量鉄骨造」(6mm未満)と「重量鉄骨造」(6mm以上)に分類されます。鉄骨造の特徴は、工場で事前に部材を製作し、現場で組み立てるという施工方法にあります。これにより、建築期間の短縮が可能となります。

 

一方、鉄筋コンクリート造RC造)は、鉄筋の骨組みにコンクリートを流し込んで固める構造です。「Reinforced Concrete」の頭文字を取って「RC造」と呼ばれています。RC造では、コンクリートが圧縮力に強く、鉄筋が引張力に強いという特性を活かし、両者を組み合わせることで高い強度を実現しています。

 

材料面での最大の違いは、鉄骨造が単一の鋼材を主体としているのに対し、RC造はコンクリートと鉄筋という異なる特性を持つ材料の複合体である点です。この違いが、耐久性、耐震性、施工方法など様々な面に影響を与えています。

 

鉄骨造と鉄筋コンクリート造の施工方法と工期の比較

鉄骨造と鉄筋コンクリート造は施工方法において大きく異なり、それが工期や建築コストに直接影響します。

 

鉄骨造の施工は、まず工場で鉄骨部材を製作することから始まります。設計図に基づいて正確に切断・加工された鉄骨部材は、現場に搬入されてから組み立てられます。この「プレファブリケーション」(事前製作)方式により、現場での作業時間を大幅に短縮できるのが鉄骨造の大きな利点です。天候に左右されにくく、工期を予測しやすいという特徴もあります。一般的に鉄骨造の建築は、同規模のRC造と比較して30〜40%程度工期を短縮できるとされています。

 

一方、鉄筋コンクリート造の施工は、現場での作業が中心となります。まず鉄筋を組み、型枠を設置し、そこにコンクリートを流し込みます。コンクリートが十分に硬化するまで養生期間が必要で、この期間は気温や湿度などの環境条件に影響されます。一般的に、コンクリートが所定の強度に達するまでには約4週間程度かかります。そのため、RC造は鉄骨造と比較して工期が長くなる傾向があります。

 

また、施工方法の違いは労働力の面にも表れます。RC造は型枠の組立や鉄筋の配筋など、多くの現場作業を必要とするため、より多くの労働力が必要となります。一方、鉄骨造は工場での製作が中心となるため、現場での労働力を削減できる利点があります。

 

鉄骨造と鉄筋コンクリート造の耐震性と耐久性における特徴

日本のような地震大国では、建築物の耐震性は最も重要な要素の一つです。鉄骨造と鉄筋コンクリート造は、耐震性において異なる特性を持っています。

 

鉄骨造の最大の特徴は「靭性(じんせい)」にあります。鋼材は粘りがあり、地震などの横からの力に対して変形しながらエネルギーを吸収する能力に優れています。この特性により、大きな地震が発生した場合でも、建物が完全に崩壊する前に変形することで警告を発するため、人命を守る上で有利とされています。特に重量鉄骨造は、震度6クラスの地震にも耐えられる高い耐震性を持っています。

 

一方、鉄筋コンクリート造は「剛性」が高いという特徴があります。コンクリートと鉄筋の複合効果により、建物全体が一体となって力に抵抗します。適切に設計・施工されたRC造建築物は、地震の揺れを抑制する効果が高く、内部の揺れ感を軽減できます。ただし、極端な力が加わると脆性破壊(急激な破壊)を起こす可能性があるため、設計時に十分な配慮が必要です。

 

耐久性に関しては、RC造が優位に立つことが多いです。適切に維持管理されたRC造建築物は、法定耐用年数47年を大きく超えて100年以上使用されることもあります。コンクリートは経年とともに強度が増す特性があり、適切な防水処理がなされていれば、長期間にわたって構造性能を維持できます。

 

一方、鉄骨造は錆びやすいという弱点があります。特に湿気の多い環境や海岸近くでは、鋼材の腐食が進行しやすいため、定期的なメンテナンスや防錆処理が不可欠です。ただし、近年は防錆技術の向上により、この問題は徐々に改善されています。

 

鉄骨造と鉄筋コンクリート造のコストと経済性の違い

建築プロジェクトにおいて、コストは常に重要な検討要素です。鉄骨造と鉄筋コンクリート造では、初期建設コストから維持管理費用まで、経済性に大きな違いがあります。

 

初期建設コストについては、一般的に鉄骨造の方が鉄筋コンクリート造よりも5〜7%程度低いとされています。これは主に以下の要因によるものです:

  1. 材料費:鉄骨は大量生産されており、リサイクル材の活用も進んでいるため、比較的安価に調達できます。一方、RC造ではコンクリート、鉄筋、型枠など多くの材料が必要となり、コストが増加します。

     

  2. 労働コスト:鉄骨造は工場での生産が中心となるため、現場での労働力を削減できます。RC造は現場での作業が多く、型枠の組立や鉄筋の配筋など、多くの人手を必要とします。

     

  3. 工期:鉄骨造は工期が短いため、建設期間中の金融コストや仮設費用を削減できます。

     

ただし、建物の規模や用途によってはこの関係が逆転することもあります。特に高層建築では、鉄骨造の方が高コストになる場合もあります。

 

長期的な経済性を考慮すると、維持管理コストも重要な要素です。RC造は一般的に耐久性が高く、定期的なメンテナンスの頻度が少なくて済むため、長期的な維持管理コストは比較的低くなる傾向があります。一方、鉄骨造は定期的な防錆処理や塗装の更新が必要となるため、維持管理コストが高くなることがあります。

 

また、建物のライフサイクルコストを考えると、解体・リサイクル時のコストも考慮する必要があります。鉄骨造は解体が比較的容易で、鋼材はリサイクル価値が高いため、スクラップバリューが期待できます。RC造は解体に多くの労力とコストがかかりますが、近年はコンクリートのリサイクル技術も向上しています。

 

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の特性と両構造のハイブリッド効果

鉄骨造と鉄筋コンクリート造のそれぞれの長所を組み合わせたのが、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)です。この構造は、鉄骨フレームを主体とし、その周囲に鉄筋を配置してコンクリートで覆う複合構造となっています。

 

SRC造の最大の特徴は、その卓越した強度と耐震性にあります。鉄骨の靭性(じんせい)と鉄筋コンクリートの剛性を併せ持つため、地震などの横からの力に対して非常に高い抵抗力を発揮します。そのため、超高層ビルやタワーマンション、大規模商業施設など、高い安全性が求められる建築物に採用されることが多いです。

 

SRC造のハイブリッド効果は以下のような利点をもたらします:

  1. 優れた耐震性:鉄骨の変形能力とコンクリートの剛性が組み合わさることで、地震エネルギーを効果的に吸収・分散できます。

     

  2. 高い耐火性:鉄骨がコンクリートで覆われているため、火災時に鉄骨が高温で強度低下するリスクを軽減できます。

     

  3. 大スパン設計の実現:鉄骨の高い引張強度を活かし、柱間の距離を広くとった開放的な空間設計が可能です。

     

  4. 自由度の高い設計:鉄骨フレームが主要な荷重を支えるため、間仕切り壁などの配置に高い自由度があります。

     

ただし、SRC造にはいくつかの課題もあります。最も大きな課題はコストの高さです。鉄骨と鉄筋コンクリートの両方の材料を使用するため、材料費が高くなります。また、施工も複雑で時間がかかるため、工期が長くなり、労務費も増加します。一般的に、SRC造の建設コストはRC造より15〜20%程度高くなると言われています。

 

また、施工の複雑さから、高度な技術と経験を持つ施工業者が必要となります。特に鉄骨と鉄筋の干渉を避けながら適切に配置する作業は難しく、施工品質の管理が重要です。

 

近年では、技術の進歩により、従来SRC造が必要とされていた規模の建築物でも、高強度コンクリートや高性能な鉄骨を用いたRC造やS造で対応できるケースが増えています。そのため、純粋なSRC造の採用は減少傾向にありますが、特に高い耐震性や耐火性が求められる特殊な建築物では、依然として重要な選択肢となっています。

 

鉄骨造と鉄筋コンクリート造の環境性能と居住性の比較

建築物の構造選択は、環境性能や居住性にも大きな影響を与えます。鉄骨造と鉄筋コンクリート造は、断熱性、気密性、遮音性などの面で異なる特性を持っています。

 

断熱性と気密性については、一般的にRC造の方が優れています。コンクリートは熱容量が大きく、外部の温度変化に対するバッファとして機能します。そのため、RC造の建物は夏は涼しく、冬は暖かい傾向があります。特に適切な断熱材と組み合わせることで、高い省エネ性能を発揮します。

 

一方、鉄骨造は熱伝導率が高いため、断熱対策が不十分だと「熱橋(ヒートブリッジ)」が生じやすく、エネルギー効率が低下する可能性があります。ただし、近年は高性能な断熱材や外壁システムの開発により、この問題は改善されつつあります。

 

遮音性については、RC造が圧倒的に優位です。コンクリートの質量が大きいため、空気伝播音や固体伝播音を効果的に遮断します。特に集合住宅では、階下からの騒音や隣室からの生活音を軽減する効果が高く評価されています。鉄骨造は構造自体の質量が小さいため、遮音性に劣りますが、適切な遮音材や二重床・二重天井などの工夫により改善が可能です。

 

湿気対策については、両構造にそれぞれ課題があります。RC造は気密性が高いため、適切な換気システムがないと結露やカビの発生リスクが高まります。特に浴室や台所など湿気の発生源となる場所の換気は重要です。鉄骨造は通気性が比較的良好ですが、断熱材の施工が不適切だと内部結露のリスクがあります。

 

居住快適性という観点では、RC造は温度変化が緩やかで安定した室内環境を提供しやすい一方、鉄骨造は間取りの自由度が高く、大開口や高い天井など開放的な空間設計が可能です。

 

環境負荷の面では、鉄骨造は材料のリサイクル性に優れています。鋼材は100%近くリサイクル可能で、解体後のスクラップ価値も高いです。一方、RC造はコンクリートの製造過程でCO2排出量が多いという課題がありますが、長寿命であるため、建物のライフサイクル全体で見ると環境負荷が分散されるという利点もあります。

 

最近では、両構造の環境性能を高めるための技術開発が進んでいます。例えば、RC造では低炭素型コンクリートの開発や、鉄骨造では高効率な断熱システムの導入などが進められています。建築主の環境への配慮や居住者の快適性への要求が高まる中、構造選択においても環境性能や居住性は重要な判