
バタフライ弁の面間寸法は、JIS B2002:1987「バルブの面間寸法」において詳細に規定されています。一般機械装置用バタフライ弁の面間寸法は付表2-5に示され、系列番号42から48まで分類されています。
面間寸法の定義は、バルブの端面から端面までの距離(L)または一つの端面からバルブの中心線までの距離(L1)として規定されています。特にゴムシートや弁箱内面のライニング等がバルブの端面を形成している場合は、配管接続後のゴムやライニング等を含んだ実際の寸法で測定します。
📌 JIS規格による呼び径別面間寸法の許容差
寸法許容差の管理は施工精度に直結するため、特に大口径配管での設計時には十分な検討が必要です。また、フランジレス形(ウェハー形)では管フランジ間に弁箱を挟み込む構造のため、面間寸法の精度がより重要になります。
フランジ形バタフライ弁は、配管との接続にフランジを使用する最も一般的な形式です。クボタのBU-A形/BU-B形シリーズでは、JWWA B138(水道用バタフライ弁規格)に準拠した寸法設計が採用されています。
🔧 標準仕様と適用範囲
TBGテックのハイパフォーマンスバタフライバルブでは、M12型とM44型の2つの主要シリーズで寸法体系が構築されています。M12型は小口径から中口径まで対応し、M44型は大口径用として設計されています。
M44型の主要寸法例(呼び径350mm~600mm)
バックアップリング付き一体型シート構造により、高いシール性能と長寿命を実現している点が特徴的です。
ウェハー形バタフライ弁は、管フランジ間に挟み込む構造により、従来のフランジ形と比較して大幅な省スペース化を実現します。キッツの空気圧操作式ダクタイルウェハー形バタフライ弁(FA-10FJUF)では、JIS B2032系列番号46に準拠した設計となっています。
📊 ウェハー形の寸法仕様(呼び径50mm~300mm)
呼び径 | L(mm) | H(mm) | 質量(kg) |
---|---|---|---|
50mm | 43.0 | 255.0 | 3.40 |
80mm | 46.0 | 296.0 | 5.60 |
100mm | 52.0 | 306.0 | 6.40 |
150mm | 56.0 | 369.0 | 11.00 |
ウェハー形の最大の利点は面間寸法(L)の短縮です。従来のフランジ形と比較して約30~50%の短縮が可能で、特に配管スペースが限られる現場では重要な選択基準となります。
⚠️ 設計時の注意点
複作動型空気圧操作では、エアシリンダーの外形寸法も含めた全体配置の検討が不可欠です。
電動バタフライ弁は、手動操作が困難な大口径や高所設置において重要な役割を果たします。TBGテックの電動バタフライバルブでは、オペレータ取付方向や電動アクチュエータの種類により外形寸法が大きく変化します。
🔌 電動式の特殊考慮事項
トモエバルブの304Aシリーズでは、API・JPI・JV9規格に対応した高温高圧仕様を実現しています。特に304A-06では、最高2.0MPaシール(80~200mm口径)、最高1.6MPaシール(250mm、300mm口径)の高圧対応が可能です。
レバー型式別の主要寸法(304A-1T)
電動式では、手動式と比較して質量が2~3倍増加するため、配管サポートの強化や基礎設計の見直しが必要になる場合があります。
バタフライ弁の材質選定は、使用環境と寸法設計の両面から検討が必要です。特に建設現場では、腐食環境や温度条件により適切な材質の選択が施工後の維持管理コストに大きく影響します21。
💡 材質別の設計考慮点
ダクタイル鋳鉄製(標準仕様)
ステンレス鋼製(SUS304/316)
特殊合金製(SUS630等)
🎯 現場での選定実務
実際の現場では、流体の性質、使用圧力、設置環境、維持管理体制を総合的に評価した材質選定が求められます。特に既設配管への追加設置では、既存設備との材質適合性も重要な判断要素となります。
弁棒材質についても、口径により SUS420J2 や SUS630 など異なる仕様が採用されることがあり、寸法図面の詳細確認が欠かせません。メーカー技術資料の活用により、最適な仕様選定と正確な寸法管理を実現することで、品質の高い施工を達成できます。