トルクスJIS規格解説ヘクサロビュラ穴寸法検査方法

トルクスJIS規格解説ヘクサロビュラ穴寸法検査方法

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トルクスJIS規格詳細解説

トルクスJIS規格の基本概要
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ヘクサロビュラ穴の規格化

JIS B 1015によりトルクス形状が正式に規格化され、建築業界での標準化が進行

六角星形状の特性

従来の六角穴付きボルトと比較し、面接触によるトルク伝達効率の向上を実現

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規格適用範囲

ボルト、小ねじ、タッピンねじ用のヘクサロビュラ穴形状と基準寸法を明確化

トルクスJIS規格制定の背景と意義

トルクスは1967年にアメリカのテキストロン・カムカー社によって開発された六角星形のねじ頭部形状の規格です。当初は商標登録された名称でしたが、構造に関する特許が失効した後、国際的な標準化が進みました。
日本では、JIS B 1015:2018として「おねじ部品用ヘクサロビュラ穴」の規格が制定されています。この規格では、ボルト及び小ねじ及びタッピンねじ用のヘクサロビュラ穴の形状及び基準寸法、並びにゲージによる検査方法について規定されています。
建築業界においても、高精度な締結が求められる構造部材や金属建具において、このJIS規格の活用が増加しています。

 

トルクス規格寸法とT形サイズ体系

トルクスのサイズは「T」で始まる数字で表され、この数字が大きいほどネジ穴も工具先端も大きくなります。建築現場で使用される主要なサイズは以下の通りです:

  • T6(1.70mm):精密電子機器、制御盤内部の小型ボルト
  • T10(2.74mm):ノートPC、小型電子機器の筐体固定
  • T15(3.27mm):軽量建材、内装パネルの固定
  • T20(3.86mm):中型建材、設備機器の取付ボルト
  • T25(4.43mm):構造用ボルト、外装材固定
  • T30(5.16mm):重量建材、主要構造部材

ヘクサロビュラ穴の寸法は、ISO 10664の国際規格に準拠しており、T形の基準寸法はねじの呼び径に応じて決定されます。

トルクス締結の機械的特性と強度評価

トルクスネジの最大の特徴は、工具とネジ穴が面で接触することです。従来の六角穴付きボルトが点で接触するのに対し、トルクスは曲線で構成された穴形状により、工具を穴に入れた際に面接触となります。
この面接触により以下の機械的優位性が実現されます。

  • トルク伝達効率の向上:駆動角が小さく、トルクが中心に集中
  • カムアウト現象の防止:分力が発生しにくく、工具が外れにくい
  • 応力集中の軽減:摩耗や割れといった応力集中が減少
  • 耐久性の向上:工具とネジ双方の寿命が延長

建築用途では、特に高力ボルト接合や重要な構造接合部において、この高いトルク伝達効率が安全性の向上に直結します。

 

トルクス検査方法とゲージ規格

JIS B 1015では、ヘクサロビュラ穴の検査方法についても詳細に規定されています。検査は専用のT形ゲージを使用して行われ、穴の形状精度と寸法精度を確認します。
検査項目は以下の通りです。

  • 穴径の測定:基準寸法に対する許容差の確認
  • 穴深さの測定:T形のゲージ沈みの深さℓの確認
  • 形状精度:六角星形の角度と曲率の検証
  • 表面粗さ:穴内面の仕上げ状態の評価

建築現場での品質管理においても、これらの検査基準を満たすことで、長期的な構造安全性を確保できます。

 

トルクス建築応用における品質管理システム

建築業界におけるトルクスネジの活用は、従来のプラスねじや六角穴付きボルトでは対応困難な高精度締結が求められる箇所で特に有効です。

 

構造用鋼材での活用事例

  • 軽量鉄骨造の接合部材
  • カーテンウォールのブラケット固定
  • 屋根材の耐風圧対策締結部

品質管理のポイント

  • 専用工具の使用による作業の標準化
  • トルク管理の簡素化と精度向上
  • 施工後の緩み点検の効率化

また、トルクスには「タンパープルーフ・トルクス」という、いたずら防止機能を備えた規格も存在します。ネジのリセス中央部に突起を設けることで、一般的なドライバーでは操作できない仕様となっており、公共建築物のセキュリティ向上に活用されています。
建築現場においては、JIS規格に準拠したトルクスネジの採用により、施工品質の向上と長期耐久性の確保が可能となります。特に高層建築や重要構造物においては、この規格化された高性能締結システムの導入が今後さらに拡大していくことが予想されます。