
ビケ足場(くさび式足場)の踏板寸法は、労働安全衛生規則に基づいて規格化されており、建設現場での安全性と作業効率を両立するために設計されています。基本となるスパン長さは1800mmで、これは労働安全衛生規則で定められた支柱間隔の最大長さ1.85mに対応しています。
踏板の長さは300mmの倍数で展開されており、1800mm、1500mm、1200mm、900mm、600mmの5つの標準サイズが用意されています。この300mm刻みの設計により、様々な現場条件に対応可能な柔軟性を確保しています。
また、特殊な狭小現場に対応するため、150mmスパンの踏板も製造されており、通常の300mm刻みでは対応できない複雑な現場レイアウトにも対応可能です。
400mm幅踏板寸法一覧
品番 | 寸法(幅×長さ) | 重量 | 用途 |
---|---|---|---|
F-4018 | 400mm × 1,800mm | 12.3kg | 標準作業用 |
F-4015 | 400mm × 1,500mm | 11.0kg | 中間スパン用 |
F-4012 | 400mm × 1,200mm | 7.8kg | 短スパン用 |
F-4009 | 400mm × 900mm | 6.3kg | 狭小部用 |
F-4006 | 400mm × 600mm | 4.5kg | 最小スパン用 |
250mm幅(240mm)踏板寸法一覧
品番 | 寸法(幅×長さ) | 重量 | 特徴 |
---|---|---|---|
F-2418 | 240mm × 1,800mm | 9.0kg | 軽量標準サイズ |
F-2415 | 240mm × 1,500mm | 7.8kg | 中間サイズ |
F-2412 | 240mm × 1,200mm | 5.7kg | 短距離用 |
F-2409 | 240mm × 900mm | 4.7kg | コンパクト設計 |
F-2406 | 240mm × 600mm | 3.5kg | 最軽量タイプ |
150mm幅踏板寸法一覧
品番 | 寸法(幅×長さ) | 重量 | 適用場面 |
---|---|---|---|
F-1518Ⅱ | 150mm × 1,800mm | 6.3kg | 狭小現場標準 |
F-1515Ⅱ | 150mm × 1,500mm | 5.4kg | 狭小現場中間 |
F-1512Ⅱ | 150mm × 1,200mm | 4.4kg | 狭小現場短距離 |
F-1509Ⅱ | 150mm × 900mm | 3.6kg | 特殊レイアウト |
F-1506Ⅱ | 150mm × 600mm | 2.6kg | 最小設置面積 |
踏板の幅選択は作業内容と現場条件によって決定されます。400mm幅は作業効率を重視する現場で使用され、250mm幅は軽量性と作業性のバランスを取った標準的な選択肢、150mm幅は狭小現場や特殊な構造物周辺での使用に適しています。
主要メーカーごとに踏板の寸法規格には若干の違いがあり、重量や詳細仕様も異なります。以下に代表的なメーカーの比較を示します。
ダイサン製踏板寸法
信和製踏板寸法
カセツリース製踏板寸法
メーカー間で重量に差が生じる理由は、アミ(メッシュ)の材質や厚さ、フック部分の設計の違いによるものです。信和製の405mm幅踏板は他社の400mm幅よりもやや幅広に設計されており、より安定した作業面を提供します。
踏板選択において重量は重要な要素であり、作業効率と安全性の両方に影響します。重量が軽いほど運搬や設置が容易になりますが、安定性や耐久性とのバランスを考慮する必要があります11。
重量別分類と特徴
労働安全衛生規則では、踏板の積載荷重について1平方メートル当たり400kg以上の耐荷重を要求しており、各メーカーの踏板はこの基準を満たしています12。また、踏板の幅は240mm以上が基本要件とされているため、150mm幅踏板は特殊用途での使用に限定されます。
踏板表面のアミ(メッシュ)は滑り止め効果を持ち、雨天時の安全性確保に重要な役割を果たします。メッシュの目の大きさやパターンもメーカーによって異なり、作業靴との相性や清掃のしやすさに影響します。
設置時には踏板の両端がビケロックピンでしっかりと固定されることを確認し、たわみや浮きがないことを点検する必要があります。特に長尺の踏板では中央部のたわみに注意が必要で、適切なスパン設定が安全性確保の鍵となります。
不動産業界において足場工事の踏板寸法選定は、物件の特性と周辺環境を総合的に考慮した戦略的判断が求められます1112。特に都市部の不動産開発では、狭小地での効率的な作業と近隣への配慮が重要な要素となります。
物件タイプ別推奨寸法
不動産業界特有の考慮点として、工期短縮によるコスト削減効果があります。適切な踏板寸法選択により、作業員の移動効率が向上し、1日あたりの作業進捗が15〜20%改善される事例も報告されています。これは月単位の工期短縮につながり、金利負担軽減や早期販売開始による収益向上に直結します。
また、近隣住民への配慮として、騒音発生を抑制する踏板選択も重要です。重量の軽い踏板は設置・撤去時の騒音が少なく、住宅密集地での夜間作業制限がある現場では特に有効です12。
コスト最適化の観点
踏板の購入・リース費用は寸法と重量に比例しますが、作業効率向上による人件費削減効果を含めた総合コスト評価が重要です。400mm幅踏板は初期費用が高い一方で、作業効率向上により総工費の3〜5%削減を実現できる場合があります。
中古物件のリノベーション工事では、既存構造物への干渉を避けるため、150mm幅や特殊長さの踏板需要が高まっています。これらの特殊寸法踏板は標準品より高価ですが、工事の実現可能性確保という点で投資価値があります。
さらに、将来的な維持管理を考慮した踏板選択も不動産業界では重要な視点です。軽量で扱いやすい踏板は、定期メンテナンス時の足場設置コストを長期的に削減する効果があり、物件の収益性向上に貢献します。