
ボルト規格におけるピッチは、ねじ山とねじ山の間隔を表す重要な寸法です。具体的には、ねじを真横から見たときに、ギザギザになっている山の頂点同士を結んだ長さがねじのピッチとなります。
ピッチの測定方法として、一般的にピッチゲージという専用工具が使用されます。このゲージを使うことで、メートルねじ(60°)およびインチねじ(55°)の正確な計測が可能です。
🔍 ピッチ確認の実用的手順。
メートルボルトの規格では、同じ呼び径でも並目と細目という2種類のピッチが規定されています。
並目ねじの特徴。
細目ねじの特徴。
JIS B 1180に規定される六角ボルト規格表では、各呼び径に対して並目と細目のピッチが明確に定義されています。
主要なボルト規格とピッチの例。
呼び径 | 並目ピッチ | 細目ピッチ |
---|---|---|
M3 | 0.50 | - |
M6 | 1.00 | - |
M8 | 1.25 | 1.00 |
M10 | 1.50 | 1.25 |
M12 | 1.75 | 1.25 |
M16 | 2.00 | 1.50 |
M20 | 2.50 | 1.50 |
建築現場で一般的に使用されるM6からM20までの範囲では、細目規格も豊富に設定されており、用途に応じた適切な選択が可能です。
ボルトのピッチ選択は、構造物の安全性と施工効率に直接的な影響を与えます。研究によると、ピッチの偏差や加工精度はボルトの予荷重や応力分布に変化をもたらすことが確認されています。
ピッチが与える具体的影響。
特に高強度ボルトを使用する鉄骨構造では、適切なピッチ選択がすべり係数や連結部の耐久性に大きく関わります。
建築現場でのボルト選定では、構造上の要求性能と施工条件を総合的に判断する必要があります。
選定時の重要チェックポイント。
📋 構造的要求事項。
🔧 施工性の考慮。
💡 コスト効率性。
実際の現場では、一般構造用では並目を標準とし、高張力ボルト接合部や薄板接合部では細目の採用を検討するのが一般的です。特に、耐震設計において重要な役割を果たす高力ボルト摩擦接合では、適切なピッチ選択が構造物全体の安全性を左右します。
近年の研究では、螺旋ピッチ距離の最適化により接合部の性能向上が図れることも報告されており、今後の技術発展にも注目が必要です。
六角ボルト規格の詳細な寸法表と許容差についての参考資料
メートルねじの基準寸法と計算式の詳細解説