
六角ボルトの寸法は、JIS B 1180付属書により厳格に規定されています。基本的な寸法要素として、ねじの呼び径(b)、ピッチ(P)、頭部の2面幅(S)、頭部の高さ(k)があります。
主要サイズの寸法一覧:
これらの寸法は建設現場での互換性を確保するため、国際標準との整合性も考慮されています。特に不動産開発プロジェクトでは、構造部材の接合において正確な寸法管理が安全性に直結します21。
許容差についても厳密に規定されており、2面幅(S)の許容差は径が大きくなるにつれて段階的に設定されています。M6では±0.25mm、M20では±0.35mmとなっており、精密な施工が要求される場面での品質管理に重要な指標となります。
六角ボルトの材質は、使用環境と要求強度に応じて選択する必要があります。JIS規格では主に以下の材質区分が定められています。
鋼・合金鋼の強度区分 💪
ステンレス鋼の強度区分 ✨
不動産建設では、屋外使用や湿気の多い環境ではステンレス鋼が選択されることが多く、特にA4-50は海岸近くの物件で重宝されています21。一方、構造用途では8.8以上の強度区分が一般的で、重要な接合部では10.9や12.9が指定されることもあります。
材質選択の際は、コスト面も重要な考慮事項となります。炭素鋼の4.8は最も経済的ですが、耐食性に劣るため、防錆処理との組み合わせで総合的に判断する必要があります。
ピッチは、ねじ山の間隔を示す重要な仕様で、並目(粗目)と細目の2種類があります。選択基準は用途と要求性能によって決まります。
並目ピッチの特徴 🔩
細目ピッチの特徴 🔧
主要サイズの並目・細目ピッチ比較。
ボルト径 | 並目ピッチ | 細目ピッチ | 用途例 |
---|---|---|---|
M8 | 1.25mm | 1.00mm | 自動車部品 |
M10 | 1.50mm | 1.25mm | 精密機械 |
M12 | 1.75mm | 1.25mm/1.50mm | 建築金物 |
M16 | 2.00mm | 1.50mm | 重構造物 |
M20 | 2.50mm | 1.50mm | 橋梁・建築 |
不動産業界では、建築金物の接合に細目ピッチが使用されることがあり、特に制振ダンパーや免震装置では微調整機能が重視されます22。
六角穴付きボルト(キャップスクリュー)は、頭部に六角形の穴があるボルトで、省スペース設計や美観を重視する用途で使用されます。
六角穴付きボルトの寸法特性 🔘
頭部の高さはねじ径と同じ値に設定されており、設計時の計算が簡単になっています。例えば、M6なら頭部高さは6.0mm、M12なら12.0mmとなります。
主要サイズの詳細仕様。
沈頭加工する際は、ねじ径以上の深さを確保すれば表面から突出しません。この特性により、不動産の内装工事では見た目を重視する箇所でよく採用されています。
細目ピッチの六角穴付きボルトも製造されていますが、M8からM37までと範囲が限定されており、実際の使用頻度は並目に比べて大幅に少なくなっています。
不動産開発・建設現場での六角ボルト選定には、独特の考慮事項があります2122。単純な強度計算だけでなく、施工性、メンテナンス性、コストパフォーマンスを総合的に判断する必要があります。
建物用途別の選定基準 🏢
住宅建築では、軽量鉄骨造でM12からM16が主流となり、耐震性能とコストのバランスが重要です。特に制振装置の取り付けでは、微調整が可能な細目ピッチが指定されることがあります。
商業施設では、大スパン構造が多いため、M20以上の大径ボルトが多用されます。強度区分は8.8以上が一般的で、重要部位では10.9が指定されます。
工場・倉庫では、クレーン荷重や振動を考慮し、緩み止め対策として細目ピッチの採用や、ステンレス製による長期耐久性の確保が重要になります。
施工環境による材質選択 🌊
海岸近くの物件では塩害対策として、必ずステンレス鋼(A4-50)を選択します。内陸部でも、温泉地域では硫黄による腐食を考慮し、特殊な表面処理を施した製品を使用することがあります。
維持管理の観点では、交換頻度の高い箇所には六角穴付きボルトを採用し、専用工具での確実な作業を可能にします。特に、テナントが頻繁に変わる商業施設では、この配慮が長期的なコスト削減につながります。
現場での実際の調達では、JIS規格品の在庫状況も重要な要素となり、特殊サイズは納期とコストが大幅に増加するため、設計段階での標準化が効果的です。