

地理院地図で「ダウンロード」と言うと、実務ではまず“画面の地図を画像化して保存する”意味で使われがちです。国土地理院のヘルプでも、地理院地図は「地図や写真を紙に印刷したり、画像を保存」できる機能として整理されています。
この機能は現場写真台帳の位置図、工事説明資料の添付図、社内打合せの図面差し込みなど、建築・土木のドキュメントに直結します。
具体的な手順はPCで、画面右上の操作から「共有」→(保存範囲の指定)→「画像を保存」で、PNG形式の画像ファイルを生成します。
参考)印刷・画像として保存|地理院地図の使い方 - 国土地理院
保存範囲は「表示されている範囲全体」「範囲を固定(四隅の緯度経度を固定)」「大きさを固定(ピクセル数を固定)」があり、目的に応じて“ズレない地図”を作れるのがポイントです。
建築従事者の視点で「範囲を固定」が効く場面は、同一敷地で複数回資料を作るケースです。例えば近隣説明、工程ごとの案内、仮囲い変更、搬入計画の更新で地図を差し替えるとき、毎回表示範囲が微妙に変わると比較できませんが、四隅を固定しておけば“同じ切り出し”を維持できます。
一方「大きさを固定」は、社内の定型フォーマット(A4の指定枠)に貼り込むときに強く、地図画像の縦横ピクセルが毎回揃うので、PowerPointやExcelに貼ったときのレイアウト崩れが減ります。
注意点として、ヘルプには(スマートフォンでは利用できません)と明記されています。現場でスマホだけで完結させたい場合は、いったんPCで保存して共有する運用に切り替えるか、別手段(アプリ等)を検討する必要があります。
「ダウンロードできたのに、後で使いにくい」事故の多くは、解像度・範囲・縮尺感の不一致から起きます。地理院地図の画像保存は、単にスクリーンショットを撮るのではなく、保存範囲を選べる点が重要です。
建築の現場管理でよくある落とし穴は、地図を貼ったのに「次の版で微妙に縮尺感が変わって、距離の印象がズレる」ことです。地理院地図側で「範囲を固定」にしておけば、更新版でも同じ外形の地図画像を作りやすく、説明の整合性を保ちやすくなります。
また、印刷・保存の出口を「PNG」で統一できる点も運用上は効きます。PDFにする前段としてPNGにしておけば、編集担当がIllustrator等で追記する、図面に貼って回覧する、電子小黒板の位置図にする、といった派生作業がやりやすくなります。
地理院地図を業務で使うとき、最も軽視されやすいのが「利用規約」と「権利関係」です。地理院地図の利用規約では、maps.gsi.go.jp配下で提供される地理院地図(Globe、Vectorを含む)のサービス利用に規約が適用されるとされています。
また、本サービスで公開している地図・空中写真等(地理院タイル)を利用する際は「国土地理院コンテンツ利用規約」に従う旨が明記されています。
参考)地理院地図|利用規約
さらに地理院タイルの中には「第三者が権利を有しているもの」や「個別法令による利用の制約があるもの」が含まれる可能性があるため、該当する場合は追加の注意が必要です。
建築の成果物は、社内資料だけでなく、発注者提出、協議資料、近隣配布、Web掲載(自社サイトの施工実績等)へ流用されることがあります。用途が広がるほど権利リスクは増えるので、「地理院地図で作った画像=自由に何でもOK」と決めつけず、出典明示やタイル種別の制約確認を作業手順に組み込むのが安全です。
参考:利用規約(地理院地図/タイル利用時の注意、第三者権利・個別法令の制約の示唆)
地理院地図|利用規約
地理院地図の「画像として保存」で生成されるファイル形式はPNGです。
PNGは、図面に貼ったときに文字や線が比較的崩れにくく、スクリーンショットより再現性が上がりやすいので、位置図・案内図用途で扱いやすい形式です。
現場向けにおすすめの運用は、「地図画像はPNGで原本保存 → そこからPDF化/台帳化」という流れです。こうしておくと、後から“同じ位置図だけ差し替えたい”ときに、PNG原本が残っているため差分管理が簡単になります。
また、社内で「地図画像の保存条件(範囲固定 or 大きさ固定)」を統一すると、担当者が変わっても品質が安定します。
参考:画像保存の手順(共有→表示範囲→画像を保存、PNG形式、範囲固定・大きさ固定の説明)
印刷・画像として保存|地理院地図の使い方 - 国土地理院
検索上位は「保存できる/印刷できる」で終わりがちですが、建築従事者に効くのは“再現性の設計”です。地理院地図は保存範囲に「範囲を固定」「大きさを固定」が用意されているため、ここを意識して設定すると、資料の版管理が一段ラクになります。
たとえば、近隣説明資料で「工事車両ルート」と「通学路の注意喚起」を別紙に分ける場合、同一範囲・同一ピクセルに揃えた地図画像を用意しておくと、注記だけ差し替えて流用できます。
また、施工計画の更新で“搬入ゲート位置”が変わったときも、地図側の切り出しが一定なら、見る側(発注者・監理者・近隣)にとって変更点が直感的で、説明コストが下がります。
最後に、成果物の扱いが社内から社外へ広がる前提で、利用規約を確認し、出典明示などのルールをチームで統一してください。地理院地図の利用規約には、地理院タイル利用時は国土地理院コンテンツ利用規約に従うこと、第三者権利・個別法令の制約があり得ることが示されています。