

団信の保険料は「無料」だと思っていませんか?実は金利に含まれていて、35年で100万円以上の差が生まれます。
団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンの返済中に借り手が死亡・高度障害状態になった場合、保険会社が住宅ローン残高を肩代わりしてくれる仕組みです。遺族がローン返済に追われることなく、住む家を守れるという意味で、住宅ローンに欠かせない保障といえます。
保険料の負担方法は少し独特で、一般団信(死亡・高度障害のみ)の場合、保険料は銀行が負担する形をとっていますが、実態としては金利0.2%程度の相当額がすでに住宅ローンの金利に組み込まれています。つまり「無料」ではなく、「見えない形で払っている」というわけです。
| 団信の種類 | 上乗せ金利の目安 | 保障内容 |
|---|---|---|
| 一般団信 | 0%(金利に内包) | 死亡・高度障害 |
| がん50%保障団信 | 0〜0.1% | 上記+がん診断で残高半額 |
| がん100%保障団信 | +0.1〜0.2% | 上記+がん診断で残高ゼロ |
| 3大疾病保障団信 | +0.2〜0.3% | がん・急性心筋梗塞・脳卒中 |
| 8大疾病保障団信 | +0.2〜0.3% | 3大疾病+高血圧・糖尿病など |
| 全疾病保障団信 | +0.1〜0.3% | すべての病気・ケガによる就業不能 |
| ワイド団信 | +0.3% | 引受条件を緩和した一般団信 |
金利上乗せがどれだけ返済総額に影響するか、3,000万円を35年・金利0.45%で借りた場合を例に確認してみましょう。上乗せなしなら総返済額は約3,243万円ですが、0.3%上乗せの保障手厚いタイプを選んだ場合は金利0.75%で総返済額が約3,413万円になります。
差額は約170万円です。これはおおよそ軽自動車1台分に相当する金額です。
金利上乗せが大きいほど保障は手厚くなりますが、その分だけ長期間にわたってコストが発生します。最初にしっかり選ぶことが大切です。
参考として、三井住友銀行による金利上乗せの仕組みについての解説はこちらが詳しいです。
団体信用生命保険とは?種類ごとの保障内容や選ぶ際のポイントを紹介 | 三井住友銀行
特約付き団信を選ぶかどうか迷う人は多いです。どういうことでしょうか?
結論から言うと、「支払い条件が甘いかどうか」が選び方の核心です。特約の種類は豊富に見えますが、実際に保険金が支払われるかどうかは、「支払い要件」によって大きく変わります。特に3大疾病や8大疾病保障では、急性心筋梗塞・脳卒中について「就業不能状態が60日以上継続した場合」と「365日以上継続した場合」とでは、実際に支払われる確率に天と地ほどの差があります。
ここが落とし穴です。
たとえば脳卒中の場合、平均入院日数は約45.6日(厚生労働省「患者調査」より)とされています。就業不能が365日以上継続しないと支払われない条件の団信では、多くのケースで保険金は支払われません。表向きの保障が充実していても、支払い条件が厳しければ「ほとんど使えない特約」になりかねないのです。
一方で「診断確定だけで支払われる」「60日以上の就業不能で支払われる」タイプなら現実的に機能します。特約付き団信を選ぶときは、次の点を確認しましょう。
- 🔍 急性心筋梗塞・脳卒中の支払い条件が「入院・手術」または「60日以上の就業不能」かどうか
- 🔍 がん保障が「診断確定」だけで支払われるか、それとも「入院・手術」が必要か
- 🔍 がんの範囲から除外されるものがないか(例:上皮内がん・皮膚がんの一部は対象外のことがある)
加えて、特約を選ぶ際に忘れがちなのが「年齢制限」です。3大疾病保障などのオプション団信には「50歳未満まで」という加入制限を設けている銀行が多くなっています。三菱UFJ銀行・みずほ銀行・三井住友銀行などのメガバンクでは「56歳未満まで」の疾病保障団信を用意しているので、年齢が気になる方はメガバンクを中心に検討するのも一つの方法です。
また見落とされがちな点として、団信の保険料(金利上乗せ分)は生命保険料控除の対象外であることも覚えておきましょう。たとえばがん100%保障団信で0.2%の金利上乗せがある場合、3,500万円借入・35年返済のモデルでは総返済額に約136万円の上乗せとなります。その分が控除されないため、年末調整での節税効果を期待することはできません。
つまり金利上乗せ分が条件です。しっかりメリットに見合うかを確認してください。
参考:がん団信と一般保険の比較について専門的な視点で解説されています。
がん団信は50%と100%のどちらを選ぶべき?|SBIエステートファイナンス
建築現場では体を使う仕事が多く、腰や膝の痛み、高血圧などの持病を抱える方は少なくありません。こういった健康状態は、団信の審査に大きく関わってきます。
団信に加入するには「告知書」への記入が必要です。過去3年以内に、以下のような病気や状態で2週間以上にわたる医師の治療・投薬を受けている場合、一般団信には原則として加入できません。
- 高血圧症・不整脈などの心臓・血圧系疾患
- 脳卒中・てんかんなどの脳・神経系疾患
- 糖尿病・肝機能障害・腎炎などの内臓系疾患
- うつ病・自律神経失調症などの精神・神経系疾患
建築業従事者に関わりが深いのは、高血圧と腰・膝の慢性的な障害です。高血圧については告知が必要な疾患に明記されており、治療中の場合は一般団信の審査に影響する可能性があります。一方で腰や膝のケガ(骨折・ヘルニアなど)は、告知書の問いかけが「過去の手術歴」や「2週間以上の投薬治療歴」であるため、状況によって判断が分かれます。
厳しいところですね。
告知義務違反のリスクについても知っておく必要があります。仮に健康上の問題を隠して団信に加入した場合、万が一の際に保険金が支払われないだけでなく、金融機関からローンの一括返済を求められる可能性があります。数千万円の住宅ローンが一括請求されれば、家を手放すしかないケースも現実にあります。
正直に告知したが一般団信に通らなかった場合、2つの選択肢があります。
①ワイド団信に加入する
通常団信より引受条件が緩和された団信です。高血圧・糖尿病・肝炎など、さまざまな持病を持つ方でも加入できるケースがあります。金利上乗せは+0.3%が一般的ですが、住宅ローンを組める点が大きなメリットです。
②フラット35(団信なし)を活用する
住宅金融支援機構のフラット35は、団信への加入が任意です。団信なしの場合、金利が0.2%低くなります。ただし万が一の際に残債が残るリスクは自己負担となるため、別途生命保険での備えが必要です。
どちらが向いているかは、健康状態や保険加入歴によって変わります。気になる方は住宅ローンの専門相談窓口で確認するのが確実です。
住宅ローンを組んだ後も既存の生命保険をそのまま続けている人は多いですが、実はこれが「保険の二重払い」になっている場合があります。
団信に加入した時点で、少なくとも「住宅ローン残高の死亡保障」はカバーされます。もし既存の生命保険で「住宅ローンを払い続けるための保障」を目的として保険金額を設定していた場合、その分は不要になります。見直すことで年間数万円〜10万円以上の保険料節約になるケースも珍しくありません。
これは使えそうです。
ただし、団信でカバーできるのはあくまで住宅ローンの残高のみです。遺族の生活費・子どもの教育費・葬儀費用などは、団信では支払われません。団信加入後の生命保険見直しでは、「不足する保障額」を計算し直して、必要な保険金額を正確に割り出すことが重要です。
具体的な見直しの考え方として、以下のような順番で整理するのがわかりやすいです。
1. 団信でカバーされる金額を確認する(=住宅ローン残高)
2. 遺族に必要な総額を試算する(生活費・教育費・その他)
3. 2から1を差し引いた金額が、民間生命保険で備えるべき金額になる
子どもがいない共働き世帯などでは、団信加入後に死亡保険が不要と判断されるケースもあります。一方で、建築業で働く一家の大黒柱がローンを1人で背負っている場合は、団信では賄えない生活費分を別途死亡保険でカバーする必要があります。
住宅ローン返済中は生命保険の必要保障額が変化します。見直しのタイミングとしては、住宅ローン契約時・子どもが独立したとき・ローン残高が大幅に減ったときの3回が節目です。
保険の見直しに不安がある場合は、保険会社や独立系FP(ファイナンシャルプランナー)に無料相談を活用するのが手軽な一歩です。
住宅ローンを組む時は保険の見直しチャンス!そのワケと上手な見直し方|カーディフ生命
金利だけを比較するのではなく、団信の内容を加味した「実質金利」で住宅ローンを選ぶ視点は、建築業に限らず重要です。しかし建築業従事者ならではの事情も加わります。
まず、独立・自営の建築業者(工務店・大工・職人など)は、勤務先のある会社員と比べて住宅ローン審査が通りにくい傾向があります。審査では「直近3年分の確定申告書」が求められることが多く、所得が安定して見えないと審査通過が難しくなります。
この場合、フラット35がひとつの選択肢になります。フラット35は民間銀行ローンより審査が比較的通りやすく、全期間固定金利なので返済計画が立てやすいのが特徴です。ただし変動金利タイプと比べると金利水準が高めに設定されることが多く、2026年2月時点の主要銀行の変動金利が0.3〜0.6%程度である一方、フラット35は1.8%前後が相場になっています。
会社員の場合は、ネット銀行(住信SBIネット銀行・auじぶん銀行・ソニー銀行など)が団信の保障と金利のバランスが取れていて選びやすいです。たとえばauじぶん銀行とソニー銀行はがん50%保障の団信を追加費用なしで付帯しています。
以下に建築業従事者の立場ごとに向いているローンの方向性を整理します。
| 属性 | ローンの方向性 | 団信の選択 |
|---|---|---|
| 建設会社勤務(会社員) | ネット銀行や地銀の変動金利 | がん団信や3大疾病を検討 |
| 独立した大工・職人(個人事業主) | フラット35が通りやすい | 任意加入。別途生命保険で補う |
| 持病あり(高血圧など) | ワイド団信対応の銀行 | ワイド団信+0.3%の上乗せを検討 |
実質金利の考え方についても理解しておきましょう。表面金利だけでなく、手数料・保証料・団信のコストをすべて加味したものが「実質金利」です。住宅ローン比較サービスのモゲチェックやダイヤモンド不動産研究所では、実質金利ベースのランキングを公開しているので参考になります。
実質金利が原則です。
建築業の現場仕事は体に負担がかかります。腰・膝・心臓など、加齢とともにリスクが増す部位への備えも含めて、団信と生命保険をセットで考えておくことが、将来の安心につながります。少しでも不安があれば、住宅ローン選びの段階で専門家の無料相談を活用してみてください。