

現場で「まず1丁」と言われやすいのが平鉋で、持ち歩きの基準になりやすい代表格が寸八です。寸八は“身幅70mm”クラスに相当し、台長の基本が9寸5分台と整理されており、サイズの基準点として便利です(身幅表示で呼ぶのが基本)。
寸八といっても、呼び名は旧称の目安で、実寸はメーカーや流儀で揺れます。だからこそ、購入や台替えの場面では「身幅(mm)」「押金幅」「台長」の組み合わせで確認するのが事故を減らします。
また、平鉋の役割は単に“削る”だけではなく、「材を真っ直ぐにする」「逆目を止める」「仕上げ面の品質を作る」という複数の目的を同時に担います。用途別に鉋を増やす前に、寸八クラスで“狙った削り”が安定するかを基準にすると道具立てが整理しやすいです。
現在一般的に使われるのは二枚刃(鉋刃+押金/裏金)で、逆目を止めるために押金を付けるようになった経緯がある、と整理されています。一枚刃は押金調整が不要な一方で、台直しに熟練を要するとされ、扱いの難しさは“仕込みの単純さ”と引き換えです。
二枚刃の利点は、刃だけで逆目と戦わず、押金の当て方・位置で削りの挙動を制御しやすい点です。逆に言うと、裏金がうまく当たっていないと「削り面が荒れる」「屑が詰まる」などのトラブル要因になりやすく、刃の研ぎと同じくらい“当たり”の確認が重要です。
現場教育としては、二枚刃で「同じ材・同じ姿勢で、押金の出し具合だけ変えた時の面の違い」を体験させると理解が早いです。理屈より、削り屑の出方と光の反射で“止まり方”を覚えると、他の鉋種に展開できます。
鉋台は樫材が代表的で、白樫・赤樫の2種類が主とされ、白樫は山陰地方、赤樫は南九州に多いという整理があります。さらに、晩秋〜早春に伐木した樫材を、2〜3年自然乾燥したものを使用するという記述があり、台の安定性に乾燥が直結することが分かります。
鉋台の木取り(柾目/追柾目)も、減りにくさ・狂いにくさの性格が違います。具体的には、マサ目(三方柾)は目が均一で減りにくく、オイマサ目(角柾)は減りが早いが狂いにくく割れにくい、という特徴で説明されています。
あまり表に出にくい実務の話をすると、「台が減りにくい=ずっと同じ状態」ではありません。減りにくい台ほど“直すタイミングを逃しやすい”ので、週単位で台直しの点検ルール(例:刃口と台尻の当たり、ひねりの有無)を作ると、仕上げの再現性が上がります。
台の調整には「どこを残して、どこを落とすか」という基準があり、中仕上げでは台頭(二分)・刃口(一分)・台尻(二分)の3点を残して調整し、仕上げでは刃口(五厘)・台尻(一分)を残すのが基本、と説明されています。つまり、台直しは“全面を均す”というより、「当たりを設計する」作業です。
台がひねったり内マルになった場合は、プレーナーや台直しペーパーで平らに加工してから調整する、という対処も明記されています。この“内マル”は、削りが軽く感じる一方で狙いの平面が出にくくなることがあり、真っ直ぐを出したい工程ほど早期に疑うべき症状です。
また、鉋台には包堀と普通口があり、用途や材質によって口入加工や勾配指定ができる、という整理があります。仕込勾配は材の硬さで目安が示され、例えば杉・桐の軟材は6.5〜7.5分、桧・松は8分、欅・桜は9分〜など、材に合わせて“台側の設計”を変える発想が重要です。
曲面用の代表が丸鉋・反り台鉋で、外丸鉋は凹型の曲面を削る、内丸鉋は凸型の曲面を削る、と明確に定義されています。さらに反り台鉋は大きく湾曲した面を削る用途で、外丸・内丸の反り台も存在し、四方反り台鉋や舟底鉋と呼ばれるものもあると説明されています。
面取鉋は「角材や板材に各種の刳形を削る(面取り)ため」に使い、必要な面に合わせて台下端を作り、刃先も同様の形に研ぐため種類が多い、と整理されています。面取り用には作業中の揺れを防ぐ定規付きがあり、固定式・可動式がある、複雑形状には二丁仕込みもある、というのは現場の段取り(専用化の度合い)を考えるうえで重要なポイントです。
ここからが独自視点ですが、反り台・内丸・外丸・面取は「加工」だけでなく“検査”にも使えます。たとえば、造作材の面のクセ(微妙な凸凹やねじれ)を見抜く時、長台や定盤だけでなく、あえて“弱い当たりの面取鉋”で軽く当てると、当たる場所=高い場所が可視化され、鉛筆や墨付け以上に早いことがあります(削るのではなく、当たりを見る)。
品質を揃える現場では、加工工程を増やさず“検査の速度”を上げる発想が効きます。面取鉋や反り台を、最終工程の専用品に閉じ込めず、前工程の精度出しの補助具として運用すると、手戻りが減り、結果的に鉋の寿命(無駄な削りの減少)にもつながります。
台の木取り・乾燥、サイズ表、台調整(台頭/刃口/台尻の残し)と仕込勾配の目安がまとまっている(鉋台と鉋のサイズの根拠)
https://www.tsune36.co.jp/kanna_kaitai_shinsho/page_003/
面取鉋・内丸/外丸・反り台鉋の用途定義と、定規・二丁仕込みなど“種類が増える理由”が具体的(特殊鉋の根拠)
https://www.dougukan.jp/tools/29