
銅管サイズ表を正しく理解するためには、まず表の構成要素を把握することが重要です。一般的な銅管サイズ表には、呼び径、外径、内径、肉厚、断面積の5つの基本データが記載されています。
医療用裸銅管を例に取ると、呼び径8の場合、外径9.52mm、肉厚0.76mmという具体的な数値が示されています。これらの数値は配管設計において流量計算や圧力損失の算出に直接影響するため、正確な読み取りが求められます。
銅管の呼び径は実際の寸法とは異なる場合があることに注意が必要です。例えば、配管サイズのA呼称では、呼び径15に対して外径は21.7mmとなっており、これは配管業界の慣習的な表記方法によるものです。
表の読み方で特に重要なのは、外径と内径の関係です。
銅管には複数の規格が存在し、それぞれ異なるサイズ体系を持っています。主要な規格としてJIS H3300(りん脱酸銅管)、JCDA規格(日本銅センター規格)、さらに電線管規格などがあります。
JIS H3300のりん脱酸銅管では、呼び径8から100まで幅広いサイズが規定されており、外径9.52mmから104.78mmまでカバーしています。この規格は医療用配管や一般配管に広く使用されており、定尺4mで供給されるのが標準です。
JCDA規格は冷媒配管に特化した規格で、2022年に改正されたJCDA 0009、0010、0012などがあります。これらの規格では、冷媒の種類(第1種・第2種・第3種)に応じて適用可能な銅管サイズが詳細に定められています。
規格選定の判断基準。
電線管規格では厚鋼電線管と薄鋼電線管に分類され、それぞれ異なるサイズ体系を持っています。厚鋼電線管のG16では外径21.0mm、内径16.4mm、肉厚2.3mmとなっており、断面積は211㎟です。
冷媒配管用銅管の選定では、使用する冷媒の種類と運転圧力が重要な判断要素となります。第2種冷媒(R32、R410A等)では最高使用圧力4.30MPaに対応する必要があり、これに適した肉厚の銅管を選択する必要があります。
被覆銅管のネオパイプ2M-KHE(NH-2M-KHE)シリーズでは、銅管外径22.22mmから38.10mmまでの範囲で、それぞれに適した保温材厚さが設定されています。例えば、22.22mm外径の場合、保温材厚は20mmで、保温材外径は64mmとなります。
冷媒配管における重要な技術的ポイント。
空調用銅管継手の価格表から見ると、銅管径12.7mmから38.1mmまでの継手が一般的に使用されており、肉厚も0.8mmから2.0mmまで幅広く対応しています。これらの継手は最高使用圧力4.3MPaに対応しており、冷媒配管用として十分な性能を持っています。
保温材被覆銅管の場合、銅管本体のサイズに加えて保温材の厚さも考慮する必要があります。国土交通省標準仕様書では、保温材厚さの最小値が規定されており、これを満たさない場合は公共工事での使用ができません。
被覆銅管と裸銅管では、同じ銅管径でも全体のサイズが大きく異なります。これは保温材の厚さが加わるためで、配管スペースの計画において重要な考慮事項となります。
裸銅管の医療用JIS H3300では、外径9.52mmから104.78mmまでの範囲で標準化されています。一方、被覆銅管では同じ銅管外径でも保温材外径が大幅に増加します。例えば、22.22mm外径の銅管に20mm厚の保温材を施した場合、全体の外径は64mmになります。
サイズ比較の実例。
被覆銅管の選定では、銅管本体の性能に加えて保温材の性能も重要です。保温材の種類により断熱性能、耐久性、施工性が異なるため、使用環境に適した組み合わせを選択する必要があります。
配管ルートの設計では、被覆後の外径を基準とした配管間隔や支持間隔を計画する必要があります。特に天井内配管や壁内配管では、保温材込みのサイズで空間を確保しなければなりません。
裸銅管は曲げ加工や溶接加工が容易で、現場での加工性に優れています。一方、被覆銅管は保温工事が不要で施工工期の短縮が可能ですが、現場での加工には制約があります。
銅管継手の選定では、銅管の外径と肉厚の両方を考慮した適合性の判断が必要です。同じ外径でも肉厚が異なる場合、継手の接続部の寸法が変わるため、適切な継手を選択しなければなりません。
空調用銅管継手の実例では、銅管径19.05mmに対して肉厚1.0mm、1.05mm、1.2mmの3種類が規定されており、これらすべてに対応する継手が製造されています。しかし、施工現場では肉厚の違いを見落としやすいため、注意深い確認が必要です。
継手選定の実践的チェックポイント。
プレス式継手では、銅管の外径と肉厚の組み合わせによってプレス工具の選択が変わります。例えば、28.58mm外径で肉厚1.0mmと1.55mmでは、プレス時の圧縮量が異なるため、専用の工具設定が必要です。
継手の価格表から見ると、銅管径が大きくなるほど継手価格も上昇し、38.1mm径では5,760円と高価になります。このため、配管設計では経済性も考慮したサイズ選定が重要です。
フレア継手やろう付け継手では、銅管の端末加工精度が接続性能に直接影響します。特にフレア加工では、銅管の肉厚が薄すぎると加工時に割れが発生する可能性があるため、用途に応じた適切な肉厚の選択が必要です。
実際の施工現場では、継手メーカーが提供する適合表を参照し、銅管と継手の組み合わせを事前に確認することが重要です。また、施工後の接続部の気密試験により、適切な接続が行われていることを確認する必要があります。
継手の選定ミスによる施工トラブルを避けるため、発注時には銅管の規格書と継手の仕様書を突き合わせ、寸法の適合性を詳細に確認することが実践的な対策となります。