
2024年版の買取再販年間販売戸数ランキングでは、カチタスが11年連続で1位を獲得している。以下が上位10社の詳細データである。
順位 | 企業名 | 年間販売戸数 | 戸建て戸数 | マンション戸数 |
---|---|---|---|---|
1位 | カチタス | 5,535戸 | 5,227戸 | 308戸 |
2位 | レジデンシャル不動産 | 1,885戸 | 0戸 | 1,885戸 |
3位 | リプライス | 1,634戸 | 1,140戸 | 494戸 |
4位 | 大京穴吹不動産 | 1,428戸 | 0戸 | 1,428戸 |
5位 | スターマイカ | 1,270戸 | 0戸 | 1,270戸 |
6位 | インテリックス | 1,146戸 | 8戸 | 1,138戸 |
7位 | ホームネット | 1,022戸 | 21戸 | 1,001戸 |
8位 | フジ住宅 | 1,016戸 | 80戸 | 936戸 |
9位 | 長谷工リアルエステート | 964戸 | 8戸 | 956戸 |
10位 | イーグランド | 868戸 | 151戸 | 717戸 |
カチタスの圧倒的な強さは、全国100以上の拠点を持つ地方戸建て特化戦略にある。平均販売価格が戸建て1,602万円という低価格帯で、築36年の古い物件を189日という短期間で再販している点が特徴的だ。
売上高ランキングでは、販売戸数とは異なる傾向が見られる。カチタスが876億円で1位を維持しているものの、2位の大京穴吹不動産は561億円と、販売戸数4位ながら高い売上を実現している。
📈 売上高上位5社の分析。
大京穴吹不動産の平均単価は3,932万円と、カチタスの約2.5倍の価格帯で勝負している。これは都市部のマンション市場に特化した戦略の成果といえる。
地域別に見ると、各社の戦略が明確に分かれている。関西地域では、フジ住宅が「大阪の買取業者の雄」として君臨し、大阪南部を中心に強固な地盤を築いている。
🗾 地域別主要業者の特徴。
関東エリア
関西エリア
東海エリア
意外な事実として、カチタスは群馬県桐生市という地方都市に本社を置きながら、全国展開を成功させている点が挙げられる。これは地方の中古戸建て市場に特化した独自のビジネスモデルの成果である。
買取再販業界の収益構造を理解するには、仕入れから販売までの期間と価格設定が重要な要素となる。各社の平均的な仕入れから販売までの期間は以下の通りである。
⏰ 主要業者の販売期間比較。
レジデンシャル不動産の150日という短期間での販売は、マンション市場の流動性の高さと効率的な販売システムの構築によるものだ。一方、カチタスは戸建て市場特有の時間を要する販売プロセスでも189日という比較的短期間を実現している。
💡 仕入れ戦略の多様化。
競売・任売物件からの仕入れ
賃貸中物件の買取
仲介業者ネットワークの活用
買取再販業界は従来の地場業者中心から、大手企業の参入により競争が激化している。長谷工リアルエステートや大和ハウスグループなど、建設・不動産大手の参入が目立つ。
🔮 業界の変化要因。
デジタル化の進展
ESG経営への対応
新しい付加価値の創出
特に注目すべきは、レジデンシャル不動産の急成長である。2021年の7位から2024年の2位まで順位を上げ、マンション買取再販戸数では1位を獲得している。この成長は、若い営業チームによる積極的な営業活動と効率的な販売システムの構築によるものだ。
また、意外な事実として、カチタスの累計買取件数が7万件を超えている点が挙げられる。これは業界全体の歴史を物語る数字であり、同社の長期的な市場への貢献度を示している。
業界全体として、単純な価格競争から、サービス品質や付加価値での差別化へとシフトしている。インテリックスの新築マンション並みのアフターサービスや、ホームネットの充実したアフターサービスなど、購入後のサポート体制が重要な競争要素となっている。
今後の市場では、地域特性を活かした専門性と、デジタル技術を活用した効率性の両立が成功の鍵となるだろう。不動産業従事者にとって、これらの動向を把握し、適切な業者選択や連携戦略を構築することが重要である。