ストレーナー 建築 配管 ろ過装置 異物除去

ストレーナー 建築 配管 用途

建築物における配管システムは、建物の機能を支える重要な要素です。その中でもストレーナーは、配管内を流れる液体から不純物や異物を取り除く「ろ過装置」として欠かせない存在となっています。適切なストレーナーの選択と設置は、配管システム全体の効率と寿命に大きく影響します。

 

ストレーナーは、配管内を流れる水、温水、蒸気などに含まれる異物を除去することで、ポンプや弁、計器などの機器を保護する役割を担っています。これにより、システム全体の故障リスクを低減し、メンテナンスコストの削減にも貢献します。

 

建築分野では、給水設備、排水設備、空調設備など様々な場所でストレーナーが使用されています。それぞれの用途に応じて、適切な材質、サイズ、形状のストレーナーを選定することが重要です。

 

ストレーナー 建築における基本的な役割と機能

建築物の配管システムにおいて、ストレーナーは非常に重要な役割を果たしています。その主な機能は、配管内を流れる液体から固形物や不純物を分離・除去することです。これにより、下流に位置する機器や装置を保護し、システム全体の効率的な運用を可能にします。

 

ストレーナーは基本的に、本体とフィルター（スクリーン）から構成されています。液体が本体内を通過する際に、フィルターが異物をキャッチする仕組みです。フィルターのメッシュサイズは用途によって異なり、除去したい異物のサイズに合わせて選定します。

 

建築設備におけるストレーナーの主な役割は以下の通りです。

• 配管内の異物（砂、錆、スケールなど）を除去
• ポンプ、弁、熱交換器などの機器保護
• 配管詰まりの防止
• システム全体の効率維持
• メンテナンスコストの削減

特に新設の配管システムでは、施工時に混入した異物（溶接カス、シール材の破片など）を除去する役割も担っています。また、経年劣化による配管内部の錆やスケールの除去にも効果を発揮します。

 

ストレーナーは単なるフィルターとは異なり、液体そのものを洗浄するのではなく、主に機器の保護を目的として設置される点が特徴です。そのため、極めて細かなメッシュを使用する必要はなく、用途に応じた適切なメッシュサイズを選定することが重要です。

 

ストレーナー 建築配管で使用される主な種類と形状

建築配管システムで使用されるストレーナーには、様々な種類と形状があります。それぞれ特徴が異なるため、用途や設置場所に応じて適切なものを選定することが重要です。

 

Y型ストレーナー
最も一般的に使用されるタイプで、その名の通りY字型の形状をしています。液体の流れを大きく妨げることなく効率的にろ過できる特徴があります。

 

• 特徴：シンプルな構造、メンテナンスが容易、圧力損失が少ない
• 用途：給水配管、空調配管、蒸気配管など幅広い用途
• 材質：青銅製、ステンレス製、鋳鉄製など

U型ストレーナー
U字型の形状をしており、大量の異物を捕捉できる特徴があります。主に大口径の配管で使用されます。

 

• 特徴：大容量のゴミを捕捉可能、フィルター面積が大きい
• 用途：大口径の配管、異物が多い環境
• 材質：鋳鉄製、ステンレス製など

バケット型ストレーナー
内部にバケット状のフィルターを持ち、大量の異物を捕捉できます。主に冷却水系統などで使用されます。

 

• 特徴：大容量のゴミを捕捉可能、メンテナンス性に優れる
• 用途：冷却水配管、工業用水配管など
• 材質：鋳鉄製、ステンレス製など

T型ストレーナー
T字型の形状をしており、フィルターが垂直に設置されています。沈殿物が多い場合に効果的です。

 

• 特徴：沈殿物の捕捉に優れる、フィルター交換が容易
• 用途：沈殿物が多い配管系統
• 材質：鋳鉄製、ステンレス製など

これらの他にも、自動洗浄機能を持つ自動ストレーナーや、二重構造のデュプレックスストレーナーなど、特殊な用途に応じた様々なタイプが存在します。建築物の規模や用途、配管システムの特性に合わせて、最適なストレーナーを選定することが重要です。

 

ストレーナー 建築物の排水システムにおける役割

建築物の排水システムにおいて、ストレーナーは特に重要な役割を果たしています。屋上やベランダ、外廊下などの排水口に設置されるストレーナーは、雨水と共に流れ込む落ち葉やゴミなどの異物を捕捉し、排水管の詰まりを防止します。

 

屋上・ベランダ用ストレーナーの特徴
屋上やベランダに設置されるストレーナーは、主に以下のような特徴を持っています。

• 耐候性に優れた材質（アルミ合金、ステンレス、塩化ビニルなど）
• 強風で飛ばされないための固定機構
• 全方位から流入する排水に対応した設計
• メンテナンスが容易な構造

特に、アルミ合金製のストレーナーは、軽量でありながら耐久性に優れ、さびにくいという特性から広く使用されています。また、塩化ビニル製のストレーナーは、塩害に強く、耐候性、難燃性、自己消火性に優れているため、沿岸部や厳しい環境下での使用に適しています。

 

タテ型・ヨコ型ドレン用ストレーナー
排水システムの形状に応じて、タテ型とヨコ型のストレーナーが使い分けられています。

• タテ型ドレン用ストレーナー：垂直に設置された排水管に使用。保持スプリングで固定するタイプが一般的。
• ヨコ型ドレン用ストレーナー：水平方向の排水管に使用。水の流れを妨げない形状設計。

これらのストレーナーは、防水改修工事の際にも重要な役割を果たします。既存の排水システムを生かしながら、新たな防水層との接続を確実にするために、改修用のストレーナーが開発されています。

 

排水システムの保護と維持管理
排水システムにおけるストレーナーの役割は、単に異物を捕捉するだけではありません。適切なストレーナーの設置により、以下のような効果が期待できます。

• 排水管の詰まり防止による浸水リスクの低減
• 排水システム全体の寿命延長
• メンテナンスコストの削減
• 建物構造体の水害からの保護

定期的な点検とメンテナンスが重要で、特に台風シーズン前後には、ストレーナーの清掃や損傷確認を行うことが推奨されています。

 

ストレーナー 建築設備におけるメンテナンス方法と頻度

建築設備におけるストレーナーの適切なメンテナンスは、配管システム全体の効率と寿命を維持するために極めて重要です。ストレーナーが目詰まりを起こすと、流量の減少や圧力損失の増加を引き起こし、最悪の場合はシステム全体の故障につながる可能性があります。

 

メンテナンスの基本手順

1. システムの停止と減圧：メンテナンス前に、対象となる配管システムを停止し、圧力を解放します。
2. ストレーナーの分解：ストレーナー本体からフィルター部分を取り出します。Y型ストレーナーの場合は、通常キャップを外すことでフィルターにアクセスできます。
3. フィルターの清掃：フィルターに付着した異物を除去します。小さなブラシや圧縮空気を使用すると効果的です。
4. 本体内部の点検：ストレーナー本体内部にも異物が残っていないか確認します。
5. パッキンの交換：必要に応じてパッキンを新品に交換します。
6. 再組み立て：清掃したフィルターを元に戻し、キャップを適切な締め付けトルクで固定します。
7. 漏れ確認：システムを再起動し、漏れがないことを確認します。

メンテナンス頻度の目安
メンテナンスの頻度は、システムの用途や環境によって大きく異なります。一般的な目安

• 新設システム：運転開始後1週間以内に最初の点検
• 一般的な給水システム：3〜6ヶ月ごと
• 空調冷却水系統：1〜3ヶ月ごと
• 工業用水系統：使用状況に応じて1週間〜1ヶ月ごと
• 排水系統のストレーナー：季節の変わり目や台風シーズン前後

特に、落ち葉が多く発生する秋季や、台風シーズン前には、屋上やベランダの排水口ストレーナーの点検・清掃が重要です。

 

効率的なメンテナンス計画
大規模な建築物では、ストレーナーの数が多く、すべてを同時にメンテナンスすることは現実的ではありません。効率的なメンテナンス計画を立てるためのポイントとして。

• 重要度の高いシステムから優先的にメンテナンス
• 圧力計や流量計を設置し、性能低下を早期に検知
• メンテナンス履歴を記録し、傾向を分析
• 季節変動を考慮したスケジューリング

適切なメンテナンス計画と実施により、ストレーナーの性能を最大限に発揮させ、建築設備全体の信頼性と効率を維持することができます。

 

ストレーナー 建築現場での選定ポイントと施工上の注意点

建築現場でストレーナーを選定・施工する際には、様々な要素を考慮する必要があります。適切なストレーナーの選択と正しい施工は、配管システムの性能と寿命に直接影響します。ここでは、選定のポイントと施工時の注意点について詳しく解説します。

 

選定ポイント

1. 用途と流体の種類
   • 水、温水、蒸気、油など流体の種類に適した材質を選定
   • 腐食性のある流体には耐食性の高いステンレス製を選択
   • 高温流体には耐熱性のある材質を選定
2. 圧力と温度条件
   • 使用圧力と温度に耐えられる定格のものを選定
   • 安全係数を考慮した余裕のある選定が重要
   • 圧力損失を考慮した適切なサイズ選定
3. フィルターのメッシュサイズ
   • 除去したい異物のサイズに応じたメッシュを選定
   • あまり細かすぎると目詰まりが頻発し、メンテナンス頻度が増加
   • 一般的な給水配管では40〜80メッシュが標準
4. 設置スペースとメンテナンス性
   • フィルター交換や清掃に必要なスペースを確保できる場所に設置
   • メンテナンスのしやすさを考慮した選定
   • アクセスが困難な場所には自動洗浄タイプを検討

施工上の注意点

1. 流れ方向の確認
   • ストレーナーには流れ方向が指定されている場合が多い
   • 本体に表示された矢印の方向に合わせて設置
   • 逆向きに設置すると性能が発揮されないだけでなく、故障の原因になる
2. 適切な取り付け位置
   • 保護したい機器の上流側に設置
   • 水平配管の場合、フィルター部分が下向きになるよう設置
   • 垂直配管の場合、流れが下から上の場合のみ設置可能な場合がある
3. サポートと応力対策
   • ストレーナー自体の重量を適切にサポート
   • 配管からの応力がストレーナーに伝わらないよう配慮
   • 熱膨張による応力を考慮した設置
4. シール材の選定
   • 流体の種類と温度条件に適したシール材を使用
   • 高温用途ではノンアスベストガスケットやPTFEシールを使用
   • シール材の過剰な締め付けによる変形に注意
5. 清掃と試運転
   • 施工後、システム内の異物を除去するための洗浄運転を実施
   • 初期運転時は特に頻繁にストレーナーの点検を実施
   • 漏れや異常な圧力損失がないことを確認

建築現場では、図面や仕様書に基づいた適切なストレーナーの選定と施工が求められます。特に、建築基準法や各種設備基準に準拠した施工が重要です。また、将来のメンテナンス性を考慮した設計・施工を心がけることで、建物のライフサイクルコスト削減にも貢献します。

 

ストレーナーの詳細な種類と選定方法についての参考情報