
不動産業界は従来、長時間労働が当たり前とされる業界でした。しかし、近年の働き方改革関連法の施行とコロナ禍による働き方の変化により、業界全体で労働環境の見直しが進んでいます。
月間平均残業時間が32.9時間と全産業中ワースト3位だった不動産業界でも、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進により業務効率化が進んでいます。特に以下のような変化が見られます。
また、PropTech(不動産テック)の発展により、従来の紙ベースでの業務がデジタル化され、効率的な働き方が可能になっています。これにより、「仕事は面倒で、プライベートだけが楽しい」という従来の考え方から、「ワークアズライフ」という新しい概念も生まれています。
不動産業界への転職を検討する際、給与形態は働き方の質に大きく影響します。給与形態によって求められる働き方や責任の度合いが変わるため、自分の理想とするワークライフバランスに合わせて選択することが重要です。
歩合制のメリット・デメリット
固定給制のメリット・デメリット
特に賃貸仲介営業では、歩合制が多く採用されており、成果次第で5年目で平均年収1,000万円を超える企業も存在します。しかし、収入の波を考慮し、年間単位でのワークライフバランスを考えることが重要です。
不動産業界の労働時間は、顧客の都合に合わせた働き方が基本となるため、一般的な企業とは異なる特徴があります。
労働時間の特徴
近年の改善傾向
しかし、ワークライフバランスを重視する企業が増加しており、以下のような取り組みが進んでいます。
これらの制度により、営業管理職でも海外旅行に行けるような環境が整っている企業も存在します。
不動産業界では、顧客からの急な連絡や土日の営業活動により、仕事とプライベートの境界が曖昧になりがちです。しかし、適切な切り替えを行うことで、両方の質を向上させることが可能です。
効果的な切り替え方法
年間単位での調整
賃貸営業の場合、繁忙期(2-3月)と閑散期で業務量に大きな差があります。この特性を活かし、以下のような年間計画を立てることが効果的です。
従来のワークライフバランスの概念を超えた「ワークアズライフ」という考え方が、不動産業界でも注目されています。これは、仕事と私生活を分けるのではなく、「寝ている時間以外は、全て仕事であり、趣味であり、人生である」という統合的な捉え方です。
ワークアズライフの特徴
不動産業界での実践例
この考え方は特に以下のような不動産従事者に適しています。
大和財託株式会社の藤原社長は、「寝ている時間を除くと残りの時間の半分以上は仕事をしている。その時間を生活費を稼ぐためだけに仕方なく過ごすのはもったいない」と語っており、仕事自体を人生の一部として楽しむことの重要性を強調しています。
実践のポイント
このような新しい働き方により、不動産業界でも従来の「きつい」「長時間労働」というイメージから脱却し、充実した職業人生を送ることが可能になっています。
転職を検討する際は、企業の制度面だけでなく、自分にとっての理想的な働き方は何かを深く考え、それに合致する企業や職種を選択することが、真のワークライフバランスの実現につながるでしょう。