
半ねじボルトのネジ部長さは、JIS B1180附属書に基づいて厳格に規定されています。首下長さに応じて3段階の計算式が設定されており、これが半ねじ規格の根幹を成しています。
首下長さ別の計算式
例えば、M12×150mmの半ねじの場合、首下150mmに対して12×2+12=36mmのネジ部長さとなります。この計算式により、ボルトの強度バランスと締結性能が最適化されています。
また、短寸法では半ねじが存在しないケースもあります。M10では26mm以下、M12では30mm以下が全ねじとなる実情があります。これは計算式上、ネジ部が首下長さを超えるためです。
半ねじボルトの最大の特徴は、ネジが切られていない軸部が太径化することです。この軸部は呼び径に対してわずかに太く設計されており(M6は同細)、せん断荷重に対する優れた耐性を発揮します。
軸部太径化による利点
転造下径という概念も重要です。ねじ山を転造加工で形成する際、元の材料径がねじ呼び径より細くなるため、軸部も転造下径となります。ただし、ナットは軸部に落ちることなく、ネジ部の終点で停止する設計です。
これらの特性により、半ねじボルトは全ねじボルトより若干強度が高くなり、フランジ接続や機械部品の組立に適しています。
半ねじボルトは多様な材質で製造されており、用途に応じた適切な選択が重要です。建築分野では特に耐食性と強度のバランスが求められます。
主要材質の特性
表面処理の選択
細目ねじ(M10×P1.25からM22×P1.5)も半ねじ規格に含まれ、精密な位置決めが必要な用途で活用されています。材質と表面処理の組み合わせにより、建築現場の多様な要求に対応可能です。
半ねじボルトの規格確認には、正確な測定技術が欠かせません。ネジの世界は0.01mm単位の精密さが要求されるため、適切な測定器の使用が重要です。
測定方法と基準寸法
寸法表による標準値も重要な参考データです。例えば、M12の場合、ds=12mm、k=8mm、s=19mmが基準寸法となります。ただし、メーカーや材質により若干の差異があるため、重要な用途では事前確認が必要です。
実務的な選定基準
市販の半ねじボルトでは、M6で約18mm、M10で約26mm、M16で約38mmのネジ部長さが標準的です。これらの実務値を参考に、用途に応じた最適なサイズ選定を行うことが重要です。
半ねじと全ねじの使い分けは、建築現場における締結品質と作業効率に大きく影響します。それぞれの特性を理解した適切な選択が重要です。
締結特性の比較
建築現場での実用例
ウォーターポンプや自動車部品でも半ねじが頻繁に使用されており、その汎用性の高さが証明されています。一方で、半ねじは調整や緩みの可能性が全ねじより高いため、定期的な締結確認が必要な用途もあります。
建築現場では、構造部材の接続には半ねじの位置決め性能を、仮設材の締結には全ねじの高い締結力を活用するなど、戦略的な使い分けが求められます。材料特性と現場条件を総合的に判断し、最適な締結方法を選択することが、品質向上と作業効率化の鍵となります。