

方向指示器の「個数」を考えるとき、最初に固定しておきたいのは、前後方向から見える主たる方向指示器については「少なくとも左右1個ずつ」を備える、という大原則です。これは「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」第137条で、車両中心線上の前方および後方30mから照明部が見通せる位置に、左右1個ずつ備える旨が示されています。
ここで重要なのは「左右に1個ずつ=計2個あればOK」と短絡しないことです。告示は「見通せる位置」という条件とセットで規定しており、個数を満たしても、積載物・架装・ガード類・作業灯・建機のアタッチメント等で視認が阻害されれば基準適合が崩れます。
現場での実務上は、まず次の順番で判断するとミスが減ります。
参考リンク(告示原文:個数・取付位置・点滅回数・視認範囲がまとまっている)
道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第137条(方向指示器)
「個数」に関して見落としやすいのが、側面の方向指示器の扱いです。第137条では、一定の車両(大型貨物自動車等など)について、両側面の前部に1個ずつ備えるだけでなく、両側面の中央部に1個ずつ、または両側面に3個ずつ備えること、といった追加配置が明記されています。
さらに同じ条文で、側面の方向指示器の代替として、方向指示器と同時に点滅する「側方灯を両側面にそれぞれ3個以上」備える構造にできる、という“逃げ道”も規定されています。
建築・土木の現場車両(ダンプ、ミキサ、クレーン、架装トラック等)だと、荷台・アウトリガー・工具箱・保護柵が側面視認を邪魔することがあり、「純正はOKでも架装後にNG」になり得ます。追加個数の要否は車種区分で決まりますが、最終的に検査で見られるのは「実車として見えるか/基準範囲を満たすか」です。
参考)https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/S137.pdf
実務でのチェック観点(個数に直結するポイント)
狙いワードが「個数」でも、実際に不適合が出やすいのは取付位置(高さ・間隔・車体外側からの距離)です。第137条では、(二輪等を除く)自動車の方向指示器は、照明部の上縁が地上2.1m以下(例外あり)、下縁が地上0.35m以上となるように取り付けることが示されています。
また、前方または後方に対して方向の指示を表示する方向指示器の左右間隔について、最内側どうしの間隔が600mm以上(幅1,300mm未満の車は400mm以上)といった数値要件も書かれています。
「個数は合っているのに落ちる」典型例は、次のようなパターンです。
「取付位置の測り方」そのものも告示内で別添(測定方法)に委ねられており、現場では“見た目OK”で進めず、測定の前提を揃える必要があります。
方向指示器は、個数や位置だけでなく、点滅回数と視認範囲(角度)も保安基準で固定されています。第137条では、点滅周期は「毎分60回以上120回以下」と定められています。
さらに、二輪以外の自動車の前面・後面に備える方向指示器について、水平面より上方15°・下方15°、内側45°・外側80°の範囲など、見通せる範囲が細かく示されています(取付高さが低い場合の読み替えも含む)。
ここが「意外に効く」ポイントは、灯体そのものの性能よりも、周辺部材が視認範囲を削ってしまうことです。例えば、建築現場車両で多い“後付け”のプロテクタ、泥除け、工具箱、ラダー、養生材固定具などが、特定角度からの見通しを阻害しやすく、結果として「個数はあるのに視認範囲不足」になります。
現場での簡易チェック(検査前の予防)
検索上位の記事は「車検に通るか」に寄りがちですが、建築・設備・土木の現場で本当に事故・手戻りを生むのは、架装や現場施工による“後から起きる不適合”です。保安基準は「方向指示器を備えること」だけでなく、「他の交通を妨げない」「損傷や汚損が著しいものではない」「緩み・がたがない」など、運用状態の健全性も要求しています。
つまり、納車時点で適合でも、現場での運用・改造・補修で基準から外れる可能性があり、施工側(架装・取付)にも品質管理の論点が残ります。
現場で起きやすい“落とし穴”と対策例(方向指示器の個数に波及する)
さらに「意外に見落とされる」点として、告示第137条は、方向指示器の“性能が正常であるもの”という条件を繰り返し強調し、適合の判断を単なる個数チェックに閉じない構造です。
建築従事者の視点では、車両そのものを触らない現場でも、足場材・型枠材・長尺物の積載で視認性が落ちることがあるため、「積み方」も実質的に保安基準適合に影響する、と理解しておくと安全管理の質が上がります。
参考リンク(方向指示器の技術基準:配光・色など性能要件を深掘りできる)
別添73 方向指示器の技術基準(配光特性・色など)