
E19電線管における一発ベンダーでの寸法出しは、電気工事の基本技術として必須のスキルです。最も使用頻度の高いE19サイズの詳細な計算手順を解説します。
基本計算式の適用方法
E19電線管で実寸法1,000mmの90度曲げを行う場合。
計算:1,000 + 95 - 19 = 1,076mm
この1,076mmが必要な電線管の長さとなります。さらに曲げ加工の始点分190mmを罫書いて作業を行えば、正確な90度曲げが完成します。
天井から壁面への引き下げ計算
天井面から壁面へ引き下げる配管では、追加の計算が必要です。
この計算により、複合的な曲げ加工でも正確な寸法出しが可能になります。
実務での簡易計算テクニック
現場では複雑な計算は非効率的です。E19電線管の場合、外径19.1mmの約10倍である190mmを基準値として覚えておけば、大部分の作業に対応できます。この方法は内線規定にも適合しており、公共事業でも問題なく使用できます。
E25電線管は大容量配線で頻繁に使用され、一発ベンダーでの正確な寸法出しが重要です。しかし、サイズが大きいため曲げ作業での管の潰れや変形に注意が必要です。
E25電線管寸法計算一覧表
実寸法(mm) | アール寸法(mm) | 外径(mm) | 必要長さ(mm) | 簡易計算(mm) |
---|---|---|---|---|
500 | 119 | 25 | 594 | 250 |
1,000 | 119 | 25 | 1,094 | 250 |
1,500 | 119 | 25 | 1,594 | 250 |
2,000 | 119 | 25 | 2,094 | 250 |
E25配管特有の注意点
E25電線管での一発ベンダー作業では、以下の点に特に注意が必要です。
新米電気工事士の実例では、E25パイプが潰れてしまう問題が報告されており、力の入れすぎや角度の不正確さが原因として挙げられています。
簡易計算法の活用
E25の場合、外径25.4mmの約10倍である250mmを基準として記憶しておくと便利です。この値は曲げ開始位置から完了位置までの必要寸法を表しており、現場での迅速な判断に役立ちます。
各電線管サイズにおける一発ベンダーでの90度曲げアール寸法は、正確な配管設計の基礎データとなります。内線規定に準拠した標準値を一覧で整理します。
電線管サイズ別アール寸法表
電線管サイズ | 外径(mm) | アール寸法(mm) | 曲げ開始位置(mm) | 簡易計算基準(mm) |
---|---|---|---|---|
E16 | 16.8 | 76 | 160 | 170 |
E19 | 19.1 | 95 | 190 | 190 |
E22 | 22.2 | 105 | 220 | 220 |
E25 | 25.4 | 119 | 250 | 250 |
E28 | 28.6 | 133 | 280 | 290 |
アール寸法の実務的意味
アール寸法は一発ベンダーで作成される曲線部分の内側半径を表しています。この値は以下の要素で決定されます。
特殊ケースでの寸法調整
標準的な90度曲げ以外の角度が必要な場合。
これらの計算により、様々な配管レイアウトに対応可能です。
寸法表の活用法
現場では寸法表をラミネート加工して工具箱に常備することを推奨します。瞬時に必要寸法を確認でき、作業効率が大幅に向上します。
一発ベンダーでの寸法出し作業を効率化するには、計算の簡略化と標準化された手順が重要です。熟練工が実践している独自のテクニックを紹介します。
マーキング治具の自作活用法
寸法計算を簡略化する独自の方法として、マーキング治具の活用があります。
バッチ作業による効率化
同一現場での複数配管は、バッチ処理が効果的です。
デジタル技術の導入
現代の電気工事では、デジタル技術の活用が進んでいます。
📱 配管計算アプリの活用
💻 CADとの連携
品質管理の標準化
一発ベンダー作業の品質を安定させるため。
一発ベンダーでの寸法ミスは材料の無駄と作業時間のロスに直結します。確実な品質確保のための体系的なチェック体制を構築することが重要です。
作業前チェック項目
作業開始前に必ず確認すべき項目一覧。
✅ 工具・材料の確認
✅ 寸法計算の再確認
✅ 作業環境の整備
作業中チェック項目
曲げ加工実施中の重要確認点。
🔧 ベンダー操作確認
🔧 寸法確認
作業後検査項目
完成後の品質確認は以下の順序で実施。
🔍 外観検査
🔍 寸法検査
トラブル時の対処法
よくある問題とその対策。
⚠️ 管の潰れが発生
⚠️ 寸法不良
⚠️ 角度不良
記録・改善サイクル
品質向上のための継続的改善。
定期的な技能確認テストを実施し、一発ベンダー作業の標準化を図ることで、現場全体の品質向上につながります。