建築面積と床面積の違い|計算方法と建ぺい率容積率の関係

建築面積と床面積の違い|計算方法と建ぺい率容積率の関係

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建築面積と床面積の違い

建築面積と床面積の主な違い
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建築面積

建物を真上から見た水平投影面積で、建ぺい率の計算に使用

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延床面積

建物の各階床面積の合計で、容積率の計算に使用

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法定床面積

壁や柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積

建築面積の定義と計算方法

建築面積とは、建築物の外壁または柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積を指します。建築基準法施行令第2条に基づき、建物を真上から見たときの面積として算定され、建ぺい率の計算に使用される重要な指標です。
参考)『建築面積』とは?計算方法をわかりやすく図解【庇・出窓は緩和…

計算方法としては、2階建て住宅であれば最上階である2階部分の床面積を求めることで建築面積が算出されます。ただし、1階の面積が2階より広い場合は1階の面積が建築面積となり、平屋の場合は建築面積と延床面積が同じ値になります。​
建築面積の算定では、外壁や柱の中心線を基準とするため、実際の建物の影の面積よりも若干小さくなる点に注意が必要です。また、軒やひさしが外壁または柱の中心線から水平距離で1m以上突き出ている場合、その先端から1m後退した線が建築面積の算定基準となります。
参考)建築面積とは?どこまで算入?延床面積や敷地面積との違いも解説…

建築面積における床面積の種類と定義

建築現場で使用される「床面積」には、法定床面積、施工床面積、容積対象床面積の3種類があります。法定床面積は建築基準法で定められた算定方法により、建築物の各階において壁・扉・柱などの区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積を指します。​
延床面積(延べ床面積)は、各階の法定床面積を合計した面積のことで、建物全体の規模を表す指標となります。例えば、2階建て住宅で1階の法定床面積が70㎡、2階が50㎡の場合、延床面積は120㎡となります。​
施工床面積は、施工会社が実際に工事を行うすべての部分を含む面積を意味し、法定床面積には算入されない外部設備なども含まれます。容積対象床面積は、延床面積から容積対象外床面積を差し引いた面積で、容積率の計算に使用されます。
参考)https://saikenchikufuka-kaitori.com/column/%E5%BB%BA%E7%AF%89%E5%9F%BA%E6%BA%96%E6%B3%95%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E5%BA%8A%E9%9D%A2%E7%A9%8D%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F%E4%B8%8D%E7%AE%97%E5%85%A5%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%82%8B%E9%83%A8/

建築面積と建ぺい率の関係

建ぺい率は、敷地面積に対する建築面積の割合を示す指標で、「建築面積÷敷地面積×100」の計算式で求められます。例えば、100㎡の土地に建築面積50㎡の建物を建てる場合、建ぺい率は50%となります。
参考)https://calculator.jp/science/kenpei/

土地には自治体により定められた建ぺい率の上限があり、建物を建築する際は1階部分をその土地の建築面積以内に収める必要があります。建ぺい率の制限により、敷地いっぱいに家を建てるつもりが狭くせざるを得なかったケースも多々あります。
参考)「建築面積」「床面積」と「建物面積」の意味の違い

建築可能な建物面積を算出する場合は、「敷地面積×建ぺい率=建築可能な建物面積」の計算式を使用します。敷地面積60坪の土地に総2階建ての延床面積35坪の住宅を建築する場合、建築面積は概ね17.5坪となり、建ぺい率は約29.2%となります。​

建築面積における延床面積と容積率の計算

容積率は、敷地面積に対する延床面積の割合を示す指標で、「延床面積÷敷地面積×100」の計算式で求められます。例えば、100㎡の土地に1階70㎡、2階40㎡の建物を建てる場合、延床面積は110㎡となり、容積率は110%となります。
参考)建ぺい率・容積率とは?計算方法や緩和条件栃木セキスイハイム

容積率の制限により、同じ延床面積の家を建てる場合、平屋と2階建てでは必要な土地の広さが異なります。建ぺい率50%、容積率100%の土地に延床面積120㎡の家を建てる場合、平屋では240㎡の土地が必要ですが、2階建てでは120㎡の土地で建築可能です。
参考)平屋・2階建ての建築費用を比較!特徴の違いや建築費用を左右す…

建築可能な延床面積を算出する場合は、「敷地面積×容積率=建築可能な延床面積」の計算式を使用します。例えば100㎡の敷地で容積率の上限が150%の場合、延床面積は150㎡以下にする必要があります。​

建築面積と床面積の算定における不算入部分

建築面積および床面積の算定では、特定の部分が不算入となります。建築面積では、屋根のない中庭やテラス、ウッドデッキは算入されません。また、地階で地盤面上1m以下にある部分も建築面積に算入されません。
参考)https://www.iny.jp/regulation/cnstreg1_1.html

延床面積では、床のない吹き抜け、バルコニー、ポーチ、ロフト、出窓、外階段などが不算入となります。玄関ポーチは通常屋内的用途で用いられないため床面積不算入ですが、車庫や作業場として利用する場合は床面積に含める必要があります。
参考)バルコニーを床面積算入する条件とは?建築基準法における床面積…

出窓が床面積不算入となるには、下端の床面からの高さが30cm以上、外壁面から50cm以上突き出ないこと、面積の1/2以上が窓であることという3つの条件を満たす必要があります。ロフトは、床面積がロフトのある階の1/2以下、天井の高さが1.4m以下、内部に収納がないという条件で小屋裏部屋とみなされ床面積不算入となります。
参考)出窓は、床面積に算入しなくても良いのですか?

容積率の計算において、地下室は一定の条件を満たすことで建物全体の住宅部分の延床面積の3分の1まで容積率算定上の延床面積から外すことができます。地下室が容積緩和の要件を満たすには、床が地盤面の下にあり、天井部分が地盤面から1mを超えていないこと、住宅用途であることが条件となります。
参考)容積率に含まれない地下室を活用使用!工事費用に目安や利用例を…

ビルトインガレージ(車庫)も容積率を算出する際に緩和措置があり、延床面積の5分の1以内であれば延床面積から除外され、それを超えた面積に関しては延床面積に含まれます。これらの不算入部分を適切に理解し活用することで、限られた敷地面積の中でより広い居住空間を確保することが可能となります。
参考)地下室・半地下室とは?容積緩和のメリット、工事費用・事例を紹…

国土交通省:建築基準法に基づく床面積の算定方法に関する詳細な解説が掲載されています。建築確認申請時の参考資料として有用です。